ダーケルとの決戦①
「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」」
ダーケルとの戦闘が始まると、最初にエンとウィドが火球と風の刃を放った。
対してダーケルは避けようともせず、二人の攻撃が命中した。
しかしダーケルは何事も無いように平然と立っていた。
「はぁ!? 効いてねぇ!?」
「何だ? エレメントラインが全身に出てもこんなもんか?」
「なんて奴だ。タフさも化け物級か」
ダーケルの背中のイバラが二本、エンとウィドの方を向くと、先端から黒い火球と黒い風の刃を放った。
「うおっ!?」
エンとウィドは避けて直撃を免れたが、衝撃で二人は吹き飛ばされてしまった。
「なんつー威力だ。人造エレメンターの倍はあるぞ」
「ハハハハッ!! まだまだ行くぞ!!」
ダーケルは更にイバラの先端から黒い火球と黒い風の刃を放つと、その二つに加えて黒い水の玉、黒い雷、黒い土の弾丸、黒い氷の矢を放ち続けた。
「うっ!!」
俺達は散開してダーケルの攻撃を避けていくが、この猛攻を全て避けるのは流石に難しい。
そんな中、ランさんから刀を受け取ったリューラが攻撃の嵐を掻い潜り、ダーケルの顔に向けて刀を振り下ろした。
「はぁぁぁっ!!」
リューラが振り下ろした刀がダーケルの顔に当たるが、なんと刀が弾かれた。
「なんて硬さだ」
ダーケルがリューラに目掛けて背中のイバラを伸ばすと、リューラは後ろに飛んで躱したが、ダーケルは右拳をリューラに向けると、手首が煙になってリューラに向かってロケットパンチの様に伸びた。
「何っ!? ぐあっ!!」
飛んできた拳がリューラに命中し地上に落ちると、ダーケルの右手が元通りにくっ付いた。
「どんな手で来ようとも無駄だ。今の俺は無敵だ!」
「無敵だぁ? 調子乗んじゃねぇ!!」
ウィドは空を飛び無数の風の刃をダーケルに向かって放つが、全て弾かれてしまう。
「クソ! どんだけ硬ぇんだアイツ!」
「ウィド、アイツの体は鉄だ! 普通の攻撃じゃあ効がねえ!」
スチアがウィドに向かってそう叫ぶと、そのスチアに向かってダーケルが左手を広げて叩き潰そうと振り下ろす。
スチアは右手をガントレット状に変形させて、迫り来るダーケルの左手を殴りつけた。
「うぐぐぐぐぐぐぐぐ……!!」
スチアが力負けし少しづつ押されて行くと、そこにアルツが駆けつけ、アースハンマーで一緒にダーケルの左手を押し返した。
「おらぁぁぁ!!」
左手が上がり、その隙に二人は走ってその場から離れた。
「ホントに硬ぇな」
「マーフェより硬えな。多分ずっと鉄化してる状態だ」
見上げるアルツとスチアに、ダーケルは再び左手を叩きつけようとすると、レイフが地面から伸ばした蔦がダーケルの左腕に巻き付く。
「チッ。鬱陶しい」
ダーケルは蔦を掴んで引き千切ろうとすると、ミスクとビトがダーケルの体を上って顔の近くまで来ると、ミスクは蹴り、ビトはビーストクローをダーケルの顔に当てるが、少し動いた程度で、全く効いていない。
「っ……!」
「このぉ……」
あまりの硬さにミスクは脚に痛みを感じ、ビトは悔しそうに歯を食いしばると、イバラが二人を絡めとり放り投げ、口から黒い炎を吐いて蔦を燃やすと、続けてレイフにも向かって吐き、レイフは走って炎から逃れる。
「全てのエレメントを扱う……やはり厄介ですね」
背後に回ったフィーズが背中のイバラを凍らせようと、フリーズボウで氷の矢を射抜くと無数に分裂するが、尻尾のダークカリバーで全て防がれ更に振り下ろすと、フィーズは地面を凍らせて滑る様に躱す。
今度は突き刺すようにフィーズに向かってダークカリバーを突き出すと、ライデンが横からサンダーランスを当て軌道を逸らした。
「助かりましたライデン」
「もうコイツやべーよ! 攻撃も効かねぇし、色々ぶっ放すし! もう滅茶苦茶だ!」
皆の攻撃が効かず、焦りが出始める。
俺は一回呼吸をすると、ダーケルへ向かって走りだす。
脚に光のエレメントを乗せて大きくジャンプしダーケルの頭上まで行くと、ライトカリバーから光の光線を放ちダーケルに命中する。
だが、これもダーケルにあまり効かなかった。
「駄目か。……ん?」
よく見ると、さっきの光線が当たった所を中心に、ダーケルの体の色が明るく見える。
しばらくすると、そこが塞がる様にみるみる暗くなっていった。
(今のは何だったんだ? まるで、何かが覆っているみたいだった)
「覆う……もしかしたら」
「どうしたの? 勇也」
「見つけたかも知れない。ダーケルに攻撃を当てる方法が」
 




