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エレメンターズ  作者: 至田真一
集まるエレメンター 後編
20/202

大農村の鉄少年

 リフルで草のエレメンター・レイフが仲間になり、俺達は次の町へ向かった。

 残るエレメンターは二人。鉄と龍のエレメンターだ。


「なぁジーリュ。鉄と龍のエレメントってどんな力なの?」

「鉄のエレメントは触れた鉄の形を自在に変えることが出来、肌を鉄に変えることが出来る。龍のエレメントは自身の身に龍の力を纏う力でな、今あるエレメントの中では二番目に強い力じゃ」

「へぇー」


 残りの二つも協力そうだな。

 時間が経ち、今日は河原で野宿をすることにした。


「野宿ですか。(わたくし)初めてです」


 馬車から降りて日傘をさしたレイフが言う。貴族だし、当然かもな。

 レイフの服装は初めて会った時の様なドレスではなく、高価そうな黄緑色のワンピースだ。

 ヒレアが結界を張ると、俺達は野宿の準備を進めた。


「すみません。私、川で体を洗って来ても良いでしょうか?」


 準備が殆ど終わり、後は夕食の準備だけになると、レイフが近くの川を指差して言う。


「構わんぞ。手短にな」

「はい」


 レイフが川の方へ歩いて行くと、レインも川へ歩き出した。


「折角だから私も行こ」

「じゃあ私も」

「ぼーくも」

「私は後で入るわ」


 レインに続いてミスクとビトも川へ向かうと、ミスクが俺達を指差した。


「覗かないでよ」

「覗かないよ」

「でしたら」


 レイフが地面に手をかざすと、地面から大量の蔦を生やし壁を作った。


「女はホントめんどくせーな。少し汚れてるぐらい我慢しろっつーの」

「まぁ良いじゃん」

「そうだよウィド。そんなんじゃモテねーぞ」

「知るかよ」

「じゃあ俺、バケツで水汲んでくる」


 ライデンはバケツを持って川へ行くが、レイン達が洗ってる所から離れた所ではなく、結構近い所に向かっている。


「ライデン、覗こうとしていませんか?」

「放って置けよ。どうせ失敗すんだ」

「ギャァァァァァァァ!!」


 エンの予想通り。ライデンは悲鳴を上げながら地面から生えてきた蔦で空中に縛り上げられていた。

 その後、レイン達が川から戻ってくると、俺達は夕食を済ませて眠りについた。

 翌朝。またまた寝ぼけたレインが俺の毛布の中に入り、俺は顔面に強烈な水玉を食らった。


――――――――――――――――――――


 馬車を進めて二日。遠目に次のエレメンターが住む場所が見えた。


「あそこが鉄のエレメンターが住むビファル村じゃ」


 ビファル村に入ると、ある違和感に気付く。


「なんか、活気が無くない?」

「そうじゃな」


 歩いてる人が少ないし元気もない。

 それに屋台に並んでいる野菜がとても少ないし値段も高い。これまで訪れた町より五倍以上もある。


「確かこの村は大農園が有名ではありませんでしたか?」

「そうじゃ。沢山の野菜や果物を育てられる巨大な農園があり、近くの町や村とも取引しており、遠方から買いに来る者がおるほどじゃ」


 そんな風に見えないな。

 俺は馬車から顔を出した。


「クワァァァ!」


 突然、空から黒い鳥が襲ってきて、クロエは馬車を停めた。


「何だ、鳥!?」

「あれは……ただの鳥ではない、魔物じゃ」


 鳥の魔物は再び襲ってくると、クロエは左手を小さな大砲に変え、電気の玉を撃ち鳥の魔物に命中させると、鳥の魔物は馬車のすぐ横に落ちた。


「これはクロウと言う(からす)の魔物じゃな」


 そう言えば鳴き声も烏っぽかったな。


「何で村中に魔物が?」

「どうやらただ事では無いのう」


 俺達は村の宿に馬車を預けて、宿の店主のおばあさんに話を聞いた。


「実は一月ほど前から山の方からクロウの群れが村にやってくるようになったんだ。特に農園の被害が大きくてね。作物の殆どが被害に遭って全く収穫が出来なくなってしまったんだよ」

「村に活気が無かったり、値段が高いのもそのせいか」

「スチア君や村の男達が頑張ってんだけどねぇ」

「スチア?」

「この村に住んでる鉄のエレメンターだよ」


 俺達は偶然とはいえ鉄のエレメンターの名を聞いた。


「俺達、その鉄のエレメンターを探してるんですけど、今何処にいますか?」

「そうだねぇ。この時間だと、農園にいるんじゃないかい?」

「情報感謝する。皆行くぞ」


 俺達は宿を後にして村の農園に向かった。

 農園に着くと、視界一杯に広がる田畑や果樹に思わず言葉を失ってしまった。

 遠くからでも一応見えてはいたんだけど、近くで見るとさらに広く感じる。


「こんな広いと探すの大変だぞ」

「そうね。人もまぁまぁいるしね」


 手分けでもして探そうとすると、山の方から20羽程のクロウが飛んできて、真っ直ぐ農園に向かっていた。


「おいおい。いきなり来たぞ」


 俺達はクロウの群れが向かう方へ走ると、その先に鉄パイプを持った短髪黒髪の少年が立っていた。

 少年は鉄パイプを構えると、鉄パイプが光って伸び、長くなった鉄パイプをクロウに当てていく。

 クロウを半分程倒すと、残りのクロウは逃げていき山に帰っていく。


「あの力……間違いない。彼が鉄のエレメンターじゃ」

「やっぱり?」


 俺達はその少年の元に駆け寄ると、少年も俺達に気付いた。


「何だべ、アンタ等?」

「俺達はエレメンターだ。君もだろ?」

「おお、アンタ等エレメンターなんだべか。んだ。オラ鉄のエレメンターのスチアだべ」

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