力を一つに
「ハアアアアアアア……」
ダーケルが力を溜めると、オーラが広がり、空気が重く感じた。
(とんでもない威圧感。何かする前に止めないと!)
「皆! ダーケルを止めよう!」
「賛成だ! 嫌な予感しかしねぇ!」
俺達はダーケルを止める為に、俺、エン、ライデン、アルツ、ビト、ミスク、スチア、リューラは走り、レインは水の玉、フィーズは氷の矢、ウィド風の刃、レイフは葉の弾丸を飛ばした。
目の前まで近づき、俺達の攻撃が当たろうとした次の瞬間、ダーケルの目が光り、天に向かって身体から紫の光の柱が伸びた。
俺達はその衝撃で吹き飛ばされ、放った攻撃もかき消された。
吹き飛ばされた俺達は起き上がりダーケルに目を向けると、光の柱の中で、ダーケルの姿がみるみる変形し、更に巨大化までしていく。
「ウオオオオオオオ!!」
光の柱が消えると、中から現れたダーケルは、腕や脚、首に紫の毛が生え、背中からは無数の黒いイバラ、尻尾の先端にはダークカリバーがある黒いドラゴンの様な姿に変貌し、俺達は息を呑む。
「体の奥底から力が溢れてきやがる。流石エレメントの力だ」
「何て姿だ。それにこの威圧感……気を抜くと押しつぶされそう」
肌身で感じて分かる。こんなの、人造エレメンターと比べ物にならないぐらい危険だ。
「内に溜めたエレメントを解放し、人の姿が保てなくなったか。いくらホムンクルスの体とは言え、下手をすれば体が崩壊するぞ」
「この体を甘く見るなジジイ。この体は俺やお前が思っている以上に丈夫だ。さて……これならもう魔王の力はいらねぇな。『コイツ』にやるか」
ダーケルの右手に黒いエネルギーが集まると、それを空に向かって放り投げると、今度は尻尾のダークカリバーから光が飛び出し、先程放り投げたエネルギーと融合した。
黒いエネルギーと融合した光は俺達を挟んでダーケルの反対側に下りると、禍々しさを感じる大きな黒いドラゴンが現れた。
「あれは、闇のエレメントの召喚獣、ダークドラゴン! じゃが……何じゃあの姿は?」
「魔王の力をダークドラゴンにやったのさ。そうだな……デモンドラゴンと名付けるか」
「召喚獣になんて事を……」
でもあのダークドラゴン……いや、デモンドラゴンからもとんでもないエネルギーを感じる。
ダーケルも一緒に相手をするのは今の俺達でも厳しいな。
「ここは……。皆、デモンドラゴンは召喚獣に任せよう」
「召喚獣に? 確かにその方法もあるが」
「じゃが勇也よ。例え召喚獣達に任せたとしても、あのデモンドラゴンは間違いなく強い。下手をすれば瞬殺されるぞ」
「うん……。でも、召喚獣達だって力を合わせれば、きっと勝てる。いや、絶対!」
しばらく皆が無言になると、意を決した表情になって頷く。
俺達はデモンドラゴンを見て念じると、それぞれのエレメントアーマーから光が飛び出た。
すると、光が集まりだして一つになると、一つの虹色の光になり、一体の巨大なドラゴンへと変わった。
その姿は、皆の召喚獣が合体した様な姿だった。
「これは……!」
「何と、召喚獣達が合体じゃと!? こんな事は初めてじゃ!」
ジーリュでも知らなかったのか。
俺は合体した召喚獣を改めて見る。
ライトドラゴンの顔に、ウッドディールの角。額には麒麟の角。首にはキングレオの鬣。腹はアーマーコング、背中にはホワイトウルフの毛が生え、そこからフェニックスとスカイイーグルの四つの翼。腕はアイスベアー。足はグランドタートル。そしてリヴァイアサンと青龍の二本の尻尾。
「凄ぇな! これならデモンドラゴンに勝てるんじゃねぇか!?」
「ああ。えっと、名前は……そうだなぁ。……よし、『エレメントドラゴン』にしよう」
「キュオォォォォォォォ!!」
合体召喚獣……エレメントドラゴンは咆哮を上げると、デモンドラゴンへ向かって走りぶつかり合った。
エレメントドラゴンにデモンドラゴンを任せた俺達は、振り向いてダーケルを見上げる。
「まさか召喚獣共が合体するとはな。まぁいい。俺はテメェ等を思う存分叩きのめすとするか」
見下ろすダーケルに、俺達は武器を構えて決戦に挑む。
(ライトスさん。今度こそ……終わらせます!)




