決戦、人造エレメンター①
「ふふふふ~」
怪しく笑うレヴィアータは、背中から無数の水の触手を伸ばした。
しかもこれまでと違って、不気味な黒い水だ。
「何? あの黒い水」
「それは~、これから分かるわよ~」
レヴィアータが水の触手を伸ばすと、レインは大海の杖から水の斬撃を放って斬り落とそうとするが、レインが放った水の斬撃はレヴィアータの水の触手に当たっただけで弾かれてしまった。
「え!?」
驚くレインは水の触手を避けると、これまでと力が段違いだという事に気付く。
(力も強度もこれまでと全然違う。闇のエレメントで強くなったせい?)
「ほぉ~ら。これならどぉ~?」
触手の先端が手の形になると、再びレインに襲い掛かる。
レインは大海の杖を握り構えると、ウィアが熱した鉄をレヴィアータに向かって投げつけた。
熱した鉄がレヴィアータの目の前まで迫ると、水の手で鉄の持ち手を掴んで受け止めた。
「ま~たこれ~? 何度も同じ事やっても無意味よ~」
レヴィアータは鉄を投げ捨て、水の手を全て地面に突き刺すと、レインとウィアの足元の地面から水の手が伸びてきて、二人は宙に放り出された。
「「きゃあああ!!」」
二人は地面に落ちて倒れると、水の手がレインに向かって伸びていった。
レインは何とか起き上がって水の手を躱していくが、一本の水の手がレインの足を掴み持ち上げると地面に叩きつけた。
「かはっ!!」
地面に叩きつけられたレインは立ち上がるが、水の手がレインの腹を殴りつける。
「うっ!!」
「レイン!」
腹を押さえてうずくまるレインを心配し起き上がろうとするウィアを、水の手が叩きつけた。
「うあっ!!」
「母さん……」
腹の痛みに耐えレインは立ち上がるが、水の手がレインの顔を引っぱたきレインは倒れると、首を掴んで持ち上げ、地面に叩きつけた。
「っ…………!」
今の一撃でレインは気を失ってしまい、エレメントラインが消えた。
気絶しているレインに、レヴィアータは水の手を伸ばして掴んだり巻き付けたりして持ち上げて引き寄せた。
「折角なら此処で楽しみたいけど、それは後の楽しみにとっておきましょ。それまでは~……」
レヴィアータがニヤリと笑うと、腹から大きな水の触手が伸びてきて、先端が口の様に大きく割れてレインに近づける。
「え……?」
レインが目を覚ますと同時に、水の触手はレインを飲み込むように包み込んだ。
「レイィィィン!!」
ウィアが叫ぶもレインには聞こえず、レインを飲み込んだ水の触手は引っ込んでレヴィアータの腹に戻った。
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エンはフレイムソードから熱線を放つと、アスルモスは手から黒い熱線を放った。
「黒い炎!?」
両者の熱線がぶつかり合うと、エンの熱線が押されて行き、エンはギリギリの所で躱した。
「あの炎、熱いだけじゃねぇ。当たったら間違いなくヤベェ」
「ハハハハ!! ビビってんのか!? 情けねぇな!!」
「あぁん!? な訳ねぇだろ!!」
フレイムソードに火を纏わせて振るうと、アスルモスは剣に黒い炎を纏わせて振るい、互いの剣がぶつかる。
「うっ!」
(近づくと増々この炎がヤベェ事が伝わる。俺の体だけじゃねぇ。魂まで焼き尽くす。そんな感じだ)
エンは弾いて距離を取ると、火球を連続で放つが、アスルモスの黒い炎に火球は焼き消された。
「火が焼かれた!?」
「今の俺なら……何でも焼きつけらる。良い気分だぜ!!」
アスルモスが両腕を広げると、体から無数の黒い火球を放った。
「ぐあああっ!!」
黒い炎がエンに降り注ぎ服が所々焼けると、辺りに広がった黒炎の中からアスルモスが飛び出してきた。
「っ!!?」
エンはすぐに構え直そうとするが、それよりも先にアスルモスが剣を振り下ろし、エンの右目を斬った。
――――――――――――――――――――
「すぅぅぅ……」
リューラは深呼吸をすると、刀を抜きエレメントラインを出す。
そして、前に立っている、黒いオーラを纏ったディーテと対峙する。
「今度こそ決着をつけるとするか」
「望むところだ」
リューラは龍の角、翼、尻尾を生やすと、ディーテも同じように変身した。
だがこれまでと違い、鱗の色は黒に変わり、大きな二本の牙が生え、背中には背骨に沿って尖った背ビレの様な物が生えており、これまでに比べて更に刺々しい見た目になった。
(なんと禍々しい姿だ……)
少し緊張気味になりながら刀を構えた瞬間、ディーテが一瞬で目の前までやって来て、リューラは目を見開く。
その隙にディーテは体を回転させて尻尾を当てると、リューラの腰から「ビキッ」という音が鳴り、リューラは吹き飛ばされた。
「かはっ!!」
(マズい、骨をやられた。また同じ場所を受ければ危険だ)
痛みに耐えながらリューラは刀を構えると、ディーテに向かって飛ぶ。
ディーテも飛び、空中で両者の剣がぶつかり合う。
(スピードもパワーもこれまでと桁違いだ。長期戦になればこちらが不利だ)
リューラは刀を横に振りディーテが躱すと、リューラは回転の勢いを利用してディーテに尻尾を当てる。
……が。ディーテはリューラの尻尾を掴み、リューラは咄嗟に刀で突き刺そうとしたが、ディーテの体の鱗に弾かれた。
(何て硬さだ!?)
「ふんっ!」
ディーテはリューラを地面に向かって投げ叩きつけ、すぐに距離を詰めるとリューラを蹴り飛ばし建物にぶつけた。
「ぐっ!!」
建物に叩きつけられフラついたリューラに、ディーテはリューラの腹に剣を突き刺した。
「こはっ!!」
心臓には刺さらず急所は避けられたリューラだったが、致命傷を受け出血し吐血すると、ディーテは剣を抜き、気を失ったリューラは建物にもたれ掛かりながら地面に倒れる。




