秘密兵器
レヴィアータと戦っているレインは、レヴィアータが背中から伸ばす無数の水の触手を避けていた。
「はぁ……はぁ……」
「あらあら、息が切れてるわよ~? 人間の体は大変ね、疲れがあるから」
「貴方の気遣いなんかいらないわよ。まだ戦えるんだから」
「そ~う? じゃあ頑張ってね~」
レヴィアータは再び背中の無数の水の触手を伸ばし、レインは躱したり大海の杖から放った水で弾いていく。
しかし疲れのせいか足元がフラつくと、水の触手が脚に巻き付き転ばされてしまった。
「きゃっ!」
レインは尻餅を着くと、今度は両腕に水の触手を巻き付け動きを抑えられる。
レヴィアータはニヤリと笑うと、右腕を水に変えてレインの顔に向かって伸ばす。
顔を引きつかせるレインの目の前まで迫り来ると、ウィアが熱した鉄をレヴィアータの右腕に投げつける。
「あっつ!!」
レヴィアータは伸ばした右腕をすぐに引っ込めると、レインに巻き付いていた水の触手が消えた。
「あっつ~い。あ~……ムカつくなぁ~」
レヴィアータの背中から伸びている水の触手の先端が槍の様に尖ると、ウィアに向けて一斉に伸ばした。
顔を引きつかせるウィアの前にレインが立ち、大海の杖にエレメントを集中させて放つ。
……その瞬間、近くの地面から何かが飛び出し、レイン達は吹き飛ばされた。
「「きゃあ!?」」
「うああっ!?」
地面に倒れ込んでしまったレインとウィアは、何かが飛び出した地面に目を向けると、ライトドラゴンが白い大蛇の首に噛みついていた。
「ライトドラゴンと……あの蛇は、まさか!?」
「知ってるの母さん?」
「間違いないわ。アレは時のエレメントの召喚獣、トキノオロチよ」
「え? じゃあ、時のエレメントが!?」
ウィアが深刻な顔になると、ライトドラゴン達が飛び出してきた穴に目を向ける。
「地面の中から出てきた……つまり、クロークは地下にいるのね」
「ライトドラゴンも出たから、勇也も……」
レインは意を決した顔つきになると、起き上がったレヴィアータの方を振り向く。
(勇也も頑張ってる。私も頑張らないと)
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「………………うあっ!?」
時を止める力の効力が切れ、ようやく体が動く様になった。
「どのぐらい止まってたんだ?」
「時のエレメントの効力は最大で三十秒じゃ。恐らくそのぐらいじゃろう」
「三十秒かぁ。思ったより長いな。……そんな事より、クローク達は?」
「おらんな……」
時を止められると、その間何が起きてるのか分かんないな。体感だと一瞬だったから。
広間を見渡すがクロークとクロースが見当たらない。
外に出たのか俺達が通った道に目を向けると、ヒレアが何か見つけた。
「皆。あの装置の後ろに通路が出来てるわ」
「ホントだな。クローク達はそこに?」
「恐らくそうじゃろう。急いで追うぞ」
俺達は装置の後ろの通路に足を踏み入れ進む。
時を止められる前に、嫌な気配を感じた。もしかしたら、その気配の主がこの奥にいるかもしれない。
そう思いながら長い通路を進むと、先程よりも狭い広間に出た。
その奥にはクロークとクロースがいた。
「やっと来たかお前達」
俺達を見るクローク達の後ろには、液体が入った人一人入れるような巨大なカプセルが立っていた。
そのカプセルの中に『何か』が入ってる様に見えるが、液体の中が気泡まみれでよく見えない。
「クローク、そのカプセルは何じゃ?」
「これか? ふっふっ。この中にはな、私の秘密兵器とでも呼んでいい最高傑作の人造エレメンターがいるのだ! そして先程、遂にコイツが完成した!!」
さっきの気配は、その人造エレメンターが完成したからなのか。
最高傑作の人造エレメンター……一体何なんだ?
「折角だ。此処にいるお前達だけではなく、この島にいる奴等、全員に見せてやろう」
クロークはカプセルの横にあるスイッチを押すと、広間が揺れ出し、更に地面がせり上がっていく。
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「きゃあ!」
ペルセネのイバラの猛攻にレイフはつまずき倒れると、先端に巨大な口が付いたイバラがレイフに狙いを定めていた。
「さぁ、今度こそコレクションに! ……ん?」
突然地面が揺れ出すと魔王城全体が揺れてペルセネの動きが止まると、足元が吹き飛び二人は吹き飛ばされた。
「きゃあああ!!」「うわぁぁぁぁ!?」
同じく魔王城で戦っていたスチアとマーフェも魔王城の外まで吹き飛ばされ、突然魔王城から上がった土煙に全員の戦闘が止まった。
「何だよこれ!?」
空中でズーパと戦っていたウィドも驚くと、魔王城からレイフが吹き飛ばされ空中に放り出されるのが見えた。
ウィドはレイフの所まで飛んで受け止めると、同じく放り出されたペルセネがズーパの方に飛んでくると、ズーパは受け止めもせず目で追い、ペルセネは建物に激突した。
「大丈夫かレイフ? 何があった?」
「分かりません。突如足元が崩れて吹き飛んでしまいましたので」
地上に下りたウィドがレイフから話を聞き魔王城に目を向けていると、建物の中から右肘と左膝が逆に曲がり、首も半分程切れ、腹に木が刺さっているペルセネが出てきて、同じく地上に下りたズーパの元へ力強く歩く。
「ちょっとズーパ! 何で受け止めなかったの!? お陰でこんなになったじゃない!」
「どうせ再生するだろ」
「そうだけど!」
ペルセネは腹に刺さった木を抜くと、腹の穴が木の根で塞がり、逆に曲がった右肘と左膝も戻り、切れた首もくっ付いた。
土煙が晴れると、そこには勇也達がいる広間が地下から地上にまでせり上がっていた。
「此処は……?」
「地上じゃ。ワシ等は広間ごと地上に出たようじゃ」
「その通りだ。人造エレメンター共、集まれ!!」
クロークの声が響くと、人造エレメンター達はクロークの元まで移動し、エレメンターの皆も後を追うように向かった。




