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エレメンターズ  作者: 至田真一
エレメンターの決戦
184/203

魔王の島の戦い②

「うおおっ!!」


 刀身に光のエレメントを乗せたライトカリバーを振り下ろし、ラペーナの右腕を斬り落とした。


「ああぁ、腕が……」


 腕を斬り落とされたっていうのに全く慌てる素振りを見せないな。やっぱり痛みを感じないからか。

 ラペーナは斬り落とされた腕を拾い断面同士を合わせると、腕がくっ付き元に戻った。


「っ!? お前も再生出来るのか!?」

「あの後クローク様が再生能力を付けてくれたのよ。流石にスパーダとイセクがやられたのが大きく応えたみたい」


 厄介な事してくれたな。

 再生能力は人造エレメンター全員に付いてなかったのに、それが全員に付いたって事なのか。

 この間の騒動で人造エレメンターを厚達が倒せたのは、再生出来ない程のダメージを与えたり、首を斬り落としたからだ。

 そのぐらいしないとコイツを倒せないか。


「はいよっと」


 ラペーナが崩れかけている建物の壁を俺の方に向けて蹴ると、壁は俺に向かって崩れ、光の壁を張って防ぐ。


「危なっ。……アレ? 何処に行った?」


 壁が崩れた際に起きた砂埃が晴れると、ラペーナの姿が見えなくなっていた。

 辺りを見渡しても姿が一切見えない。あの一瞬で何処に?

 周囲を警戒していると、背後から気配を感じ振り向くと、木の中からラペーナが出てきてナイフを振りかざした。


「うわっ!?」


 ギリギリ飛び退いて躱すが、左腕に掠ってしまった。


「木の中に? ……いや、木に化けていた?」

「そうよ。私が変身出来るのは人だけじゃないわよ」


 つまり、物にも変身出来るのか。

 そんな事されたらまるで透明人間だな。

 姿が見えなくなるのは困る。


「ほらほら。ボーっとしてたら、切っちゃうわよ」


 ラペーナが走りだしナイフを振りかざすと、俺は光の玉を投げつけ、ラペーナは飛び退いて避けられる。

 やっぱ効くわけ無いか、こんな単純な攻撃。

 また姿が見えなくなる前に倒した……。


(光……姿が見えない……そうだ!)


 俺はもう一度光の玉を投げると、ラペーナは再び飛び退いた。


「まーたそんな攻撃? 効かないって分かってやって――」


 次の瞬間、俺が投げた光の玉が弾けるように強い光を放つと、ラペーナは腕で顔を覆い隠す。


「うっ……目くらましのつもり? そんなんで……あれ?」


 ()()()()で姿を消した俺を見失ったラペーナは、動揺して辺りを見渡す。


「ど、どういう事? どうしてあの一瞬で見えなくなるの? 近くに隠れる場所なんて――」


 ラペーナが振り向いた瞬間に、俺はライトカリバーの刀身に光のエレメントを乗せてラペーナを真っ二つに斬ったと同時に、俺は姿を見せた。


「え?」


 ラペーナは動揺を隠せないような表情のまま、真っ二つに斬られ地面に倒れると、ひび割れて崩れた。


「はぁー……上手く行って良かった」


 光のエレメントの力で、周囲の光を屈折させて姿を見えない様に出来るか試してみたけど、成功だ。

 ……でもこれ、凄い集中力が必要だから、常時発動は出来ないな。

 エレメントラインを消して膝に手を付けると、息を整える為深呼吸をした。


「ハァー……。さて、どうにかコイツは倒せたし、何処かへ向かったジーリュとヒレアを追うか? ……でも、あっちも気になる」


――――――――――――――――――――


 レヴィアータが指から伸ばした水の触手をレインに向かって伸ばすと、レインは避けたり大海の杖から放つ水の玉で弾いていく。


「う~ん。全然捕まえられないわね~」

「簡単に捕まってたまるわけ無いわよ!」

「そうよね~。……それなら」


 レヴィアータが視線を外すと、その先にいるウィアに狙いを定めて水の触手を伸ばした。


「母さん!!」


 レインは駆けつけ、大海の杖から水の壁を張って防いだ。


「ありがとうレイン」

「うん。どうして母さんを狙うの!?」

「ふふ。母親が捕まってしまえば、貴女は抵抗出来ないと思っただけよ~」


 レインは歯を食いしばると、ウィアがレインの肩に手を乗せた。


「レイン。私に構わなくて大丈夫よ」

「母さん……でも……」

「私は元エレメンターよ。簡単に捕まらないわ。それに、娘の足手まといになりたくないわ」

「……分かった」


 レインはレヴィアータの方を向くと、大海の杖から無数の水の矢を放った。

 レヴィアータは水になって矢を避けると、地面を這って壁から天井に移動する。


「じゃあ、私のフィールドにしましょうかな~」


 レヴィアータは体の中から大きな壺を取り出すと地面に落とした。

 壺が割れると、中から大量の水が出てきて、あっという間に地面が水浸しになった。


「しまった!?」

「ふふ~」


 レヴィアータは天井から降り水の中に入った。

 レインは周囲を警戒すると、ウィアの足元から水の触手が伸びてきてウィアに巻き付いた。


「ああっ!!」

「母さん!!」

「は~い、動かな~い」


 レインは駆けつけようとすると、ウィアのすぐ近くにレヴィアータが姿を見せ、ウィアの首を水の触手で締め付ける。


「一歩でも近づいたら、貴女の大事なお母さんが死んじゃうわよ~」

「うっ……卑怯者」

「ううっ……れ、レイン……」


 ウィアは目を薄っすら開かせながらレインに向かって言葉を放つ。


「私に構わないで……良いから、うっ!」

「母さん!」

「ほ~ら。抵抗を止めないと、貴女のお母さん、どうなっちゃうかしらね~」

「っ……!」


 レインは杖を握る力を弱くすると、エレメントラインを消し両腕を下げた。


「良い子ね~」

「レイン……」


 レヴィアータは両手の指を水の触手に変えると、レインに向かって伸ばした。


「さぁ見てなさい。貴女の娘が凌辱される様をね」

「や、止めて……うっ!」


 唇を強く噛むレインの体に水の触手が纏わりつき出し、レヴィアータは舌なめずりをする。

 ……と、光の斬撃が飛んできて、レインに伸びる水の触手を斬り落とした。


「はぁ!? まさか、ぶわっ!?」


 振り向いたレヴィアータに光の玉が飛んできて上半身が吹き飛ぶと、ウィアに巻き付いている水の触手が消えた。


「レイン! 大丈夫か!?」

「勇也!?」


 レインとウィアの元に勇也が駆けつけてきた。

 レインが安堵の表情になると、レヴィアータは再生した。


「ああっもうっ!! 何でいっつも大事な時に邪魔すんのよ!! ラペーナは何やってんの!?」

「あの変身女なら倒したさ」

「はあっ!?」

「やったわね勇也!」


 勇也とレインは微笑み合うと、レヴィアータは地団駄を踏んだ。

 するとレインはエレメントラインを出し大海の杖を構える。


「……勇也、ジーリュの所に行ってきて。アイツは今度こそ私が倒す」

「でも……」


 レインを心配する勇也に、ウィアが声を掛ける。


「勇也君……だったわね。多分ジーリュはクロークを探しに行ったと思う。クロークをなんとかしない限り、この戦いは終わらないわ」

「それは、分かるんですけど……」

「心配する気持ちは分かるわ。でも大丈夫よ。レインを信じてあげて」


 ウィアの言葉に勇也は考え込むと頷いた。


「……分かりました。レイン、気を付けてな」

「ええ」


 勇也はその場を後にし、ジーリュを探しに行った。


「あら~いいの? あの坊や行かせて」

「平気よ。それに……アンタみたいな卑怯者は、私の手で倒すわ。絶対に」

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