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エレメンターズ  作者: 至田真一
集まるエレメンター 後編
18/202

緑の町の草少女

 ホワーツの町を出て四日。

 新しく仲間になったミスクを加えて、エレメンターを探す旅を続けていた。

 残るエレメンターは三人だ。


「意外と馬車って暇なのね」


 ミスクが退屈そうに言う。

 ちなみにミスクの服装は初めて会った時の様な道着ではなく、白いスポーツブラの様な服に茶色のショートパンツと言った動きやすそうな格好だ。


「まだまだ馬車の旅は続くんだから我慢しなよ」

「こんな事で随分情けねぇな」

「何よ、私に勝てなかったくせに偉そうに」

「ああっ!?」


 ウィドがミスクを睨む。


「やめんかお主等。そんなことで喧嘩するでない」


 ジーリュに言われて、二人は少し落ち着く。すると、馬を扱っているクロエが馬車を停めた。


「ジーリュさん。こちらの道はどちらに進めばよろしいでしょうか?」


 窓から顔を出して前を見ると、前方に分かれ道があった。


「実はどちらの道の先にもエレメンターが居るんじゃよ」

「じゃあどっちに進んでも良いのか」

「いえ、最後のエレメンターが住んでいる町の場所を考えると……左に進んだ方が良いわ」

「分かりました」


 ヒレアの言葉で、馬車は左に進んだ。


――――――――――――――――――――


 それから翌日。道なりに馬車を進めていくと、前方に大きな町が見えた。


「あれは緑の町、リフルじゃ。あそこには草のエレメンターがいるはずじゃ」


 草のエレメントは確か植物を操る力だって前に言ってたな。緑の町に住んでるのは確かに合ってるかも。

 町の中に入ると、これまでの町に比べて街路樹が多く、花も多い。如何にも緑の町って感じだ。

 町を進んで宿に着くと馬車を預けた。


「じゃあ次はエレメンターの住んでる家の聞き込みだな」

「いや、今回はその必要はない」

「何で?」

「草のエレメンターは代々、この辺りの領主をしておる。じゃから領主の屋敷に行けば会えるはずじゃ」


 領主って事は、草のエレメンターは貴族とかなのかな? 貴族なんてどう相手すればいいんだろう?

 まぁとりあえず、今は領主の屋敷に行こう。


――――――――――――――――――――


 町中を進み、俺達は領主の屋敷にやって来た。

 屋敷の門の前には二人の衛兵が立っていた。


「こちらは領主様のお屋敷だ。何か用か?」

「えっとー、俺達エレメンターで、草のエレメンターに会いに来たんですけど」


 俺がそう言うと、衛兵の二人は表情を驚かせる。


「少々お待ちください」


 衛兵の一人が屋敷へ入り、しばらく待つと衛兵が戻ってきた。


「お持たせしました。ご案内します、こちらへ」


 俺達は衛兵の後をついて行き、屋敷に案内された。

 衛兵に案内されて屋敷に入ると、玄関に執事の恰好をした70代ぐらいの男性がいた。


「現代のエレメンターの皆様、初めまして。私、こちらの屋敷で執事をしております、フカードと申します。早速ですが旦那様の元へ案内いたします。こちらへ」


 俺達はフカードさんについて行き、ある部屋に案内されて入るとそこは食堂で、長いテーブルの奥の椅子に緑色の髪をした男性が座っていた。


「おおフォレイス、久しぶりじゃのう」

「久しぶりだなジーリュ。ヒレアも。まぁ皆、座りたまえ」


 俺達は言葉通りに椅子に座った。


「さて、私がこの町の領主にして、先代の草のエレメンターのフォレイスである。それで、光のエレメンターは誰だい?」

「あ、俺ですけど」

「そうか、君が。エレメンターが来たという報告を聞いた時は驚いたと同時に嬉しかったよ」

「ワシもじゃよ、フォレイス」


 ジーリュとフォレイスさんはお互いを見て笑う。

 先代のエレメンター達は、光のエレメントが復活するのを信じて20年も待ってたんだもんな。


「ところで、現代の草のエレメンターは何処におるのじゃ?」

「ああ。娘なら今メイドが呼びに行っている。もうそろそろ来ると思うが……」


 すると、ドアからノック音が聞こえて、ドアが開くとメイドが一人入ってきた。


「失礼します。旦那様、お嬢様をお連れしました」


 メイドの後ろから、黄緑色のドレスに身を包んだ、緑のロングヘアーに花の髪飾りを付けた女の子か出てきた。


「ただいま参りましたわ、お父様」

「来たか。紹介しよう。私の娘で、現代の草のエレメンターのレイフだ」

「初めまして、レイフと申します」


 レイフはドレスの裾をつまんでたくし上げて挨拶をする。

 こういう挨拶初めて見たな。本当にいるんだ。

 レイフはフォレイスさんの近くの椅子に座った。


「レイフ。彼等はお前と同じエレメンターだ。これからお前は彼等と共に行動し、いろんな人達の為に――」

「嫌です」


 レイフの言葉に、俺達は思わず驚く。


「……だがなレイフ。私も含めて歴代のエレメンター達は、エレメントの力でいろんな人の為に力を使い助けてきたんだ。だからお前もそうしてほしいんだ」

「何度も言われましても、(わたくし)は嫌です。それでは」


 レイフは立ち上がるとそのまま食堂を出てしまった。

 出て行った後、フォレイスさんは頭を抱えてため息を吐く。


「すまないな。昔は色んな場所を見たいと言って他のエレメンターが来るのを楽しみに待っていたんだが……最近それが嫌だと言うようになってしまったんだ。理由も教えてくれない」

「それは困ったのう。早く次のエレメンターにも会わないといけないんじゃが」


 確かに、あの子を除いて、あと二人いるからな。


「皆、今日は泊っていくと良い。私はあの子が一緒に行ってくれるよう、何とか説得してみる」

「そうか、頼んだぞ」


 俺達はフォレイスさんの屋敷に一泊してもらうことになった。

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