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エレメンターズ  作者: 至田真一
ウェアークでの激突
175/202

ウェアークの戦い⑤

 イセクは生やした(さそり)の尻尾を伸ばすと、楓華は両手の短剣でどうにか受け止めて受け流した。

 屋根の上にいる玲が矢を放つと、イセクは左手を蟷螂(かまきり)の前脚に変えて弾く。


「ううぅ~。またコイツの相手するの嫌だなぁ」

「なら大人しく死ね。もうお前達は用済みだからな。始末して構わないと言われている」

「そんな事言われたら余計抵抗するよ!」


 楓華が短剣を構えると、イセクの背中から虫の羽が生えて空を飛んだ。


「えっ!? 空飛ばれたら手が出せないじゃん!」

「楓華ちゃん。うちが落としたる!」


 玲は狙いを定めて矢を放つと、イセクは矢を躱す。

 だが玲は、弓の力で矢を操ってイセクに向けて再び放つ。


「あー。そういやぁ矢を操れるんだったな!」


 イセクは右手を蠍の鋏に変えると、矢を掴んで折った。

 今度は矢を二本同時に放つと、イセクは回転して蠍の尻尾で矢を弾き落とした。


「鬱陶しい!」


 イセクは両手を蜂の腹部に変えると、屋根の上の玲に向けて針を飛ばした。


「って、そんな事出来るん!?」


 玲は走って逃げだすが、屋根が崩れて建物の中に落ちた。


「玲!?」

「友達の心配してる場合か、小娘」


 次は楓華に向けて針を飛ばすと、楓華は走りだす。

 徐々に追い詰められていくと、足に針が掠った。


「痛っ!」


 楓華は転び、足を押さえる。

 そんな楓華の元にイセクが下りてきた。


「失敗したな。毒針にしとけゃよかった。ま、これで終わりだ」


 イセクは右手を蟷螂の前脚に変え、右手を振り下ろすと、楓華は目を瞑った。

 すると、クラスメイトの女子達が駆けつけて、イセクを押さえつけた。


「何っ!?」

「皆!?」

「楓華! 私達が押さえるから、今の内に!」


 女子達を振り払おうとイセクが楓華から離れると、楓華は起き上がる。


――――――――――――――――――――


「ううっ……ん? クラスの皆おるやん!? 大丈夫なん?」


 起き上がった玲は建物の中から外を見ると、クラスの皆が楓華を助けているのが見えた。


「こりゃあ負けていられん。うちも頑張らな」


 玲は立ち上がって背中の矢筒から矢を取り出そうと、矢が残り三本しか無い事に気付く。


「あかん。きっとさっき落ちたせいやな」


 周りに折れた矢が幾つも落ちているのを見て、玲は少し焦る。


「この二本だけで、何と勝たなあかん」


 玲は再び外を見てチャンスを待つ。


――――――――――――――――――――


「このっ、離れろ小娘共!!」


 イセクは押さえつける女子達を振り落とし、楓華に目を向ける。


「今度こそ終わりだ!」


 走りだしたイセクの尻尾に、一人の女子が槍を突き刺して、そのまま地面に押さえつける。


「なっ、小癪な!! だが無駄だ!」


 イセクは左手の蜂の腹部を楓華に向けて針を放とうとした。

 すると、一本の矢が飛んできて、イセクの左手を射抜き左手が落ちた。


「っ!?」


 イセクは矢が飛んできた方向を見ると、建物の中にいる玲と目が合った。


「またあの小娘か。いい加減くたばれ!」


 右手を蜂の腹部に変え、玲に向けて針を放つ。

 玲は建物の中を走って針を避けていく。

 針を放つイセクの背後から、魔法が飛んできて背中に当たり振り向くと、杖を持った数名の女子達がいた。


「チッ。さっきから鬱陶しいなぁ!!」


 イラつき出し、声を荒げるイセクは、地面ごと尻尾に突き刺さった槍を無理やり抜くと、尻尾が伸びて周りにいる女子達を薙ぎ払った。

 すると、また一本の矢が飛んできて、イセクの尻尾を射抜き尻尾が落ちた。


「またかよ!?」


 玲を睨んだイセクは針を飛ばそうと向けると、楓華がイセクに跳びつき、首に短剣を突き刺した。


「ぐっ……! こんなんで、俺を倒せると思うな、小娘ぇぇぇ!!」


 イセクは右手を蟷螂の前脚に変え、楓華の首に向けて放った。

 そして、玲は最後の一本の矢を放つと、イセクの右手を射抜いた。

 楓華は玲に向けて親指を立てると、玲も親指を立てて返す。


「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 楓華はイセクの首に突き刺した短剣に体重を乗せると、イセクの首を更に深く刺し、そしてイセクの首を斬り落とした。


「痛っ!」


 その拍子に地面に落ちて転がると、近くにイセクの首が落ち、胴体が倒れると、首と胴体がひび割れていき、やがて崩れた。


「や……やった~……」


 楓華は全身の力が抜け、地面に寝そべった。

 玲がいる建物に目を向けると、丁度壁が崩れて中が見える所に座り込んでいる玲が見え、楓華はピースをすると、気付いた玲もピースをした。

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