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エレメンターズ  作者: 至田真一
最後の一本
159/203

分断

「何っ!? それはホントか!?」

「はい。捕らえたあの女の家に最後の一本の在処が描き残されていました」


 ペルセネからそう報告を聞いたクロークは舌打ちをして歯を食いしばる。


「ゴサの奴め、既に策を打っていたか」

「どうすんだ兄貴」

「決まっている! 一刻も早くその場所へ向かい、奴等よりも先に手に入れろ! 最後の一本なんだぞ!」

「わーったわーった。人造エレメンターを全員集めたらすぐに行く」


 クロースは部屋を出て人造エレメンターを全員呼びに行った。

 しばらくしてクロースが人造エレメンターを全員引き連れて戻ってきた。


「今回はお前達全員で行け。勿論『お前』もだ」


 クロークは新しく造った人造エレメンターに向かって言うと頷いた。


「まぁ俺達に任せて兄貴はここで待ってろよ。行くぞオメェ等」


 クロースは人造エレメンターと共に向かおうとすると、クロークが呼び止めた。


「待て。最後に重要な任務がある」

「任務? 何だよそれ」

「とても重要な任務だ」


――――――――――――――――――――


 最後の時の短剣の在処を掴んだ俺達は召喚獣に乗って早速その場所の上空に着いた。


「あそこか?」

「うむ。間違いない。山に囲まれたあの洞窟が、ゴサのメモに描かれた場所じゃ」


 こんなに高い山々に囲まれていれば、確かに見つけにくいな。時の短剣を隠すにはうってつけかも知れない。

 俺達は洞窟の前に下りると召喚獣を戻した。


「地上から見ると、周りの山が空から見た以上に高く感じるな」

「そうね。ここに来るには山を登るしか無さそうね」


 エンとミスクが周りの山を眺め終えると、洞窟の前に集まった俺達の元に来る。


「この洞窟の奥に、最後の時の短剣が……」

「恐らくな。じゃがゴサがここを示したのならあるじゃろう。きっと予言で知ったのじゃろう」

「でも、あの子どうしていなかったのかしら? 大事な水晶玉を置いて出かけるなんてありえないし」

「……もしかしたら、何かに巻き込まれたのかも知れんのう。じゃがあやつは簡単にはくたばらん。無事だと信じよう」


 ジーリュの言葉にヒレアは頷く。


「今は時の短剣じゃ。早くせんと、人造エレメンターが来てしまうかも知れんからのう」

「そうだな。行こう!」


 俺達は洞窟に入ると、いきなり地下に続く様に道が下がっていて、俺達はそのまま地下へ進む。

 道を出ると、その先には下に川が流れている大きな橋に差し掛かった。

 橋の上に乗り真ん中辺りまで渡った時だった。

 突然橋が小さく揺れ俺達は足を止めると、橋が崩れて俺達は川に落ちてしまった。


『うわぁぁぁぁぁぁぁ!?』


 川の流れが思ったよりも速く、岸も見当たらない為、やむなく俺達は流れに従うしかなかった。


「皆。この川の流れは思ったより強い。岸が見つかるまで固まるんじゃ」


 俺達はジーリュの言葉通り、俺達は何とか泳いで集まろうとした。ちなみに泳げないリューラはミスクに抱きかかえられながら集まった。

 俺も泳いで皆の所まであと少しの時だった。

 洞窟の岩肌から土の手が俺の元に伸びてきて掴み上げられた。


「うあっ!?」

「勇也!?」


 土の手に締め付けられ岩肌に目を向けると、土の人造エレメンター・グラデの顔が浮かび上がっていた。


「捕まえたぜ」

「人造エレメンター。もう来てたのか!?」

「バカな!? なぜここが分かったのじゃ!?」

「そんなもん自分で考えな!」


 グラデが一笑して言うと、ウィドが風で飛んで川から出ると、グラデに向かってウィンドブーメランを投げようとした。

 すると風の人造エレメンター・ズーパが飛んできてウィドを蹴り飛ばし、ウィドは川に落ちてしまった。


「ズーパか。見ろ、これで任務一つ完了だぜ」

「何を言っている。そいつを捕らえることが任務じゃ無いだろ」

「あ? ……あぁ、そういやぁそうだった。んじゃあさっさとアイツのとこに行くか」


 俺を掴んでいるグラデの手が岩肌の中に沈んでいき、俺も岩肌の中に沈みこまれそうになると、ウィドが風を纏ったウィンドブーメランが投げて土の手を斬り落とすと、土の手が崩れて俺は川に落ちた。


「何っ!?」


 どうにか助かったが、川の流れが急に変わり、振り向くと皆とは違う方向に続く穴の中に流されてしまった。


「うわぁぁぁ!」

「勇也!」


 レインが泳いで向かおうとするが、流れが強く全く進めなかった。


「くそ。もう一回俺が」


 ウィドが飛んで向かおうとするとグラデによって穴が塞がれ、更にズーパが放った風で再び川に落とされた。


「奴を追わさせるか」

(こやつ等、なぜ勇也を?)


 ジーリュは人造エレメンターが何故勇也を狙うのか気になっていたが、川に流されて行く皆を追って行った。


「取り逃がしちまったが分断は出来たな」

「ああ。後は『アイツ』の力なら奴を簡単に捕らえられるだろう。俺はアイツの元に行く。お前は他の奴等と一緒にエレメンター共の足止めをしておけ」

「言われるまでもねぇ、指図すんじゃねぇ」


 グラデは岩肌の中に潜り、ズーパは洞窟の奥へ飛んで行った。

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