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エレメンターズ  作者: 至田真一
集まるエレメンター 前編
15/202

八人目のエレメンター

 俺達は盗賊団の情報を得るためにヴァイルの警備団の屯所にやって来た


「ん? ウィドか。一緒にいるのは?」

「こいつ等は俺と同じエレメンターだ。俺達は盗賊団をぶっ潰そうと思ってんだ。アジトの場所知らねえか?」

「おおぉ! エレメンターなら心強い。ぜひ頼みたい。さて、アジトの場所だが、我々もまだ特定出来てないんだ。大体の場所なら予想出来るんだが」

「構わねぇ。教えてくれ」


 ウィドがそう言うと、警備団の人は町の周辺の地図を出して机の上に広げた。


「前に盗賊団の後を追っていたんだが、この辺りで見失ってしまった」


 町から離れた所にある一つの山を指で囲んで示す。


「この辺りを中心に探せば見つかるかもしれないね」

「そうじゃろうな」

「後は俺達に任せて下さい」

「ああ、頼んだ」


 俺達は屯所を後にして地図の場所に向かった。


――――――――――――――――――――


 ヴァイルの町を出て、俺達は地図の場所に向かった。

 その道中でも、俺はまだ人と戦うということに緊張していた。


「勇也、緊張してる?」


 レインの言葉に思わずビクッと肩を震わせる。


「いや、その……」


 図星を突かれて言いにくそうにしていると、頭の上のジーリュが何かに気づき口を開いた。


「そう言えばお主、人と戦った事はなかったのう」


 ジーリュに言われ、俺は口を強く閉じる。


「はぁ? おいおい。親父から光のエレメンターはエレメンターのリーダーって聞いたが、大丈夫なのか?」

「まぁ……やるだけやってみるさ、俺なりに」

「そうかよ。ま、ちっとは頑張れよ」


 ウィドにそう言われながら進むと、地図の場所に到着した。


「じゃあこの辺りを捜索しよう」


 俺達は一旦バラけて盗賊団のアジトを探した。

 ウィドは風のエレメントの力で、ビトは鳥に変身して二人は空から探した。


――――――――――――――――――――


 探し始めて一時間程経った。

 未だにアジトらしいものが見つからない。


「この辺りには無いのか?」


 一回皆と合流しようとすると、空から鳥になったビトが声を掛けた。


「おーい勇也! ウィドが怪しい建物を見つけたって。他の皆も向かってる」

「ホントに!? 分かった、すぐ行く!」


 俺はビトの案内でその場所に向かうと、皆が集まっていた。


「ごめん、待たせた。それで、怪しい建物って?」

「アレだ」


 ウィドが指さした先には、岩山に隣接するように大きめの一件の小屋が建っていた。


「アレが盗賊団のアジトなのか?」

「分かんねぇ。ただ、あんなところに小屋なんて無かったはずだからとりあえず報告した」


 俺達は近くの茂みに隠れてしばらく小屋を監視していると、小屋のドアが開いた。

 中から、ガラの悪い二人の男が出てきた。


「アイツ等は……間違いねぇ、盗賊だ」


 ウィドの反応からして、前に見たことがあるんだな。


「んじゃあ行くぜ」


 ウィドは両手に生み出した風の弾を盗賊の男二人に向かって放つと、男達は吹き飛ばされ倒れる。


「見張りは潰した。後は……」


 ウィドがそう言った後、俺達は小屋に目を向けた。


「勇也よ。大丈夫か?」


 ジーリュが俺に声を掛けると、俺は深く深呼吸した。


「ああ、大丈夫。行こう!」


 ウィドが小屋のドアを蹴破ると、中にいた盗賊達が驚く。


「な、何だテメェ等!?」

「テメェ等をぶっ潰しに来た!」

「ガキが生意気な。殺っちまえ!」


 盗賊達が襲ってくると、俺達も立ち向かった。

 盗賊の一人が俺に向かって剣を振り下ろすと、俺は剣で受け止め蹴り飛ばした。

 殺意を感じて一瞬背筋が凍ると、剣を左手に持ち替えて、光のエレメントを乗せた右拳でみぞおちを殴ると、盗賊は「ごふっ」と倒れる。

 やっぱり少し抵抗があるなぁ。

 他の皆を見ると、レインは水の玉で吹き飛ばし、エンは火を纏わせた剣で斬り、ライデンは電撃を浴びせ、アルツは土の拳で殴り飛ばし、フィーズは冷気で凍らせ、ビトは猫獣人の姿で蹴り飛ばし、ウィドは風の刃で切りつけて倒していく。

 他にいないのか小屋の中を見ると、壁の一部が壊されて岩山のトンネルと繋がっていた。


「この中にまだいるのかな?」

「可能性はあるのう」


 俺達は洞窟に入って進んだ。

 しばらく進むけど、特に誰もいなくて奥に扉があって警戒しながら入ると、中には宝石など高価そうな物が沢山あった。


「これって?」

「恐らく盗品じゃろう。やはり宝石など高価な物が多いのう」

「じゃあ盗まれた人に返してあげよう」


 盗賊を倒したのを確認すると縄で縛り上げ、盗品を回収してヴァイルの町に戻る。


「確かに、盗賊団で間違いない。お陰で助かったよ。ありがとう」


 警備団にお礼を言われると、俺達は屯所を後にした。


「それでウィド。盗賊団を捕まえたら俺達についていくって」

「あ~そういやぁそうだった。仕方ねぇ、約束は約束だ。一緒に行ってやる」


 ウィドは頭を掻きながらそう言う。

 とにかくこれで、エレメンターは八人目。残り四人だ。


――――――――――――――――――――


 翌日、町の宿で一泊した俺達は宿の食堂で朝食を食べていた。その途中で、ウィドもやって来た。


「エレメンターが順調に集まっておる。再び揃うのが楽しみじゃ」


 確か残りのエレメントは草、鉄、煙、龍の四つだったな。


「次行く町にいるエレメンターは誰なの?」

「次の町には煙のエレメンターがいるはずじゃ」


 煙のエレメントは確か体を煙に変えることが出来る力って聞いたな。

 俺達は朝食を食べ終え、必要な物を買った後次の町に向けて出発した。

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