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エレメンターズ  作者: 至田真一
空の激闘
148/203

天空の国の王

「エレメンターの皆さん。ようこそスカイダムへ」


 使いの天空族の案内で、俺達は時の短剣がある天空の国、スカイダムにやって来た。

 本当に大きな雲の上に国が建ってるよ。

 何とも幻想的な光景に、俺達は歓喜し言葉を失う。


「王宮にて陛下がお待ちしております。こちらへ」

「あ、はい」


 俺達は使いの人について行き、奥にそびえ建つ王宮へ向かった。

 王宮の正門に着くと、使いの人は正門を開けて中に入り、俺達も続けて王宮の中に入った。


「正門の前に衛兵とかいませんでしたけど、大丈夫なんですか?」

「この国には空でも飛ばない限り来られませんので大丈夫ですよ。基本、王宮の中には誰でも入れますし。まぁ、流石に大事な物がある部屋の前には見張りがいますけど」


 大事な物って言うと、やっぱり時の短剣か? あと地上の様子が見られる泉があるって言ってたし、それもかな。

 王宮の中を進み、玉座の部屋の前に着くと、使いの人が扉を開け中に入った。

 俺達も続けて入ると、奥の玉座に長い白い髭を生やした天空族の老人が座っていた。


「陛下。エレメンターの皆様をお連れしました」

「ああ、ご苦労じゃった。下がって良いぞ」

「はっ」


 使いの人は一礼すると玉座の間を出た。


「さて、まずは……。久しぶりじゃな、ジーリュ殿」

「久しいのう、スカイブ殿」


 この感じ、ジーリュと面識があるみたいだな。

 まぁジーリュはドラゴンの長で長く生きてるから当然か。


「お主達が此処に来たがっていた理由は知っておる。時の短剣じゃろ?」


 本当に俺達が此処に来た目的を分かってる。

 地上の様子が見える泉のお陰か?


「そうなんじゃが、時の短剣を受け取る前に、二つ聞きたいことがあるんじゃ」

「何じゃ?」

「まず、残る一本の時の短剣は何処にあるのか分かるか?」


 そっか。泉の力があれば、最後の時の短剣の在処が分かるかも。


「……スマンが、最後の一本は何処にあるのか詳しくは分からんかった。何処かの洞窟と言うのは分かったのじゃが……」

「そうか……」

「スマンな。最近、泉の力が弱ってる気がしてな、細かな事が見えなくなってしまったんじゃ」

「泉の力がか……それは難儀な事じゃ」


 洞窟なんて幾つもあるから余計分からないな。


「では最後に一つ。クローク達は何処に隠れておる?」

「……スマン。それも分からんのじゃ」


 分からない事だらけじゃね? 意外と泉役に立ってない?

 他の皆も同じ気持ちなのか、難しい顔をしてる。


「何処かの島、というのは分かったんじゃが、それ以上は……」

「むぅ~……仕方が無い。とにかく、本来の目的である時の短剣を受け取ろう」

「そうじゃったな。では、時の短剣がある部屋まで案内しよう」


 国王のスカイブ王は立ち上がると、部屋に案内するために俺達の横を通り過ぎた。その時だった。


「ぬおっ!?」

「うわっ!?」


 突然外から轟音が鳴ると同時に王宮が揺れ、俺達はフラつき転ばない様にしゃがみ込んだ。

 やがて揺れが収まると、俺達は立ち上がった。


「何だったんだ今の?」


 すると、玉座の間の扉がバンッと開かれ、一人の天空族が入ってきた。


「陛下、大変です! 城下を突然無数の竜巻が襲い、その後何故か地上の者が数名現れました!」

「数名の地上の者……」


 その報告を聞いた俺達は目を向け合うと頷いた。


「俺達は城下に行ってくるから、ジーリュとヒレアと小森先生は時の短剣を頼む」

「うむ。分かった」

「皆さん、気を付けて下さい」

「私は念の為、王宮に結界を張ってから行くわ」


 玉座の間を出ると、俺達は城下の方へ向かい、ジーリュ達はスカイブ王の案内で時の短剣がある部屋へ向かった。


――――――――――――――――――――


「話には聞いてたが、本当に雲の上にあるんだな」


 城下の広場に下り立ったクロースは、頭を掻きながら城下を見渡す。

 風の人造エレメンター・ズーパの力で空を飛び、クロースと人造エレメンター達はスカイダムに来た。


「で、時の短剣は何処にあんだ?」

「さぁ~? そこまでは知りませ~ん」

「ちっ。ん~、あるとしたらやっぱあのデケェ建物か?」


 奥の王宮に目を向けたクロースは歩き出そうとすると、そこに勇也達エレメンター達が駆けつけてきた。


「やっぱりあいつ等か」

「へっ! 来たなオメェ等!」


 クロースは鼻で笑うと、人造エレメンターも何人か笑い、エレメンター達の中には緊張が走る。


「人造エレメンターは、全員じゃ無いみたいだな」

「ああ。兄貴が護衛で三人残したぜ。相変わらず心配性だぜ兄貴は。まっ、これがあるから良いか」


 クロースが取り出した水晶玉に勇也達は首を傾げると、クロースは水晶玉を地面に叩きつけて割った。

 すると水晶玉が割れた所から、以前戦った武装したリザードマンの様に、鎧を身に付けた魔物が何体も現れた。


「武装した魔物!?」

「あの時のリザードマンもコイツ等の仕業か」

「へっ。行け、武装獣!」


 クロースの掛け声と共に、武装した魔物、武装獣が勇也達に向かって行った。

 勇也達は武器を手に取り武装獣と戦い始めると、その中を掻い潜ってクロースが王宮へ走った。


「しまった!」


 王宮へ走るクロースが王宮前の広場に差し掛かった次の瞬間、王宮が結界で覆われクロースは足を止めた。


「何だこれ? 結界か?」


 クロースがしかめっ面で結界を睨むと、勇也が光弾を放ち、クロースはギリギリ飛び退いて躱す。


「ヒレアの結界、間に合ったのか」

「ちっ! あーそうだった。アイツ結界得意だったんだ」


 イラついて体を掻くクロースに、勇也はライトカリバーを構える。


「お前等に時の短剣は渡さない!」

「フンッ! あれは元々兄貴のだっつーの!」


 クロースは二本の剣を鞘から抜くと剣先を勇也に向ける。

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