増える侵入者
朝、目を覚まして横を見ると、いつも通りレインが寝ていた。
体を起こすと、丁度レインも目を覚ました。
「おはよう、勇也」
「おはよう」
起きたレインは体を起こすと、何故かレインは体を震わせ両腕を掴む。
「どうした?」
「分かんない。急に寒気みたいなのを感じて……」
寒気? 今はそんなに寒く無いけど。
「大丈夫? 寒いの?」
「ううん、そうじゃないの。なんか、嫌な感じがした……様な気がして……」
自分の腕を摩るレインの頭に、俺は手を乗せた。
「大丈夫。何があっても俺が守るから」
「うん……」
安心したのか、レインは俺に寄りかかった。
「ほら。もう朝食の時間だから行こう」
「ええ」
俺達はベッドから下りてダイニングに行こうとすると、俺は何かに気付き足を止めた。
「どうしたの?」
「……いや、何でもない」
(気のせいか? なんか絨毯が湿ってた様な気がしたけど)
少し疑問に思いながらも、俺達は部屋を出てダイニングに向かった。
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「ふわぁ~……」
勇也達が屋敷の庭で特訓をしている中、庭の隅で水になってエレメンターの監視をしているレヴィアータは退屈そうに欠伸をする。
(ここに侵入してもう四日。なんの進展も無いじゃない。もう監視も飽きてきたわ~)
エレメンターが入手した時の短剣の情報を得るために、屋敷に侵入したレヴィアータだが、全く進展が無く、監視に飽きていた。
そんな中、休憩中の勇也と楽しそうに話をしているレインをレヴィアータはジッと見ていた。
(ああ……本当に良い体。この四日間、眺めるだけでずっと我慢してきたけど、もう今夜襲っちゃおうかしら。でもどうせあの坊やと一緒に寝るわよね~)
レヴィアータは諦めようかと思うと、ある事を思いつきにやけだす。
(そうだ。あの坊やの目の前で凌辱するのも良さそうね。彼氏に見られながら他の女に凌辱される……どんな顔するのかしら。ああ……想像しただけで……)
「ふふ。ふへへへっ……」
「何ニヤけてんだお前。気持ち悪ぃな」
レヴィアータがバッと振り向くと、体を土にし、頭だけを出している土の人造エレメンター・グラデがいた。
「グ、グラデ!? アンタ何でいるのよ!?」
「全く情報が来ねぇから様子を見て来いってクローク様に言われたんだよ。ついでにペルセネもいるぞ」
「ついでとは酷いわね」
近くの木の幹の一部が膨れると、女性の上半身の形になり、草の人造エレメンター・ペルセネが姿を現した。
「悪かったわね。しょうがないじゃない~、だってエレメンターの奴等、全然場所掴まないんだもの~」
「チッ! 奴等の情報網も大したことねぇな」
「ホント。だから水のエレメンターのあの子の事を考えちゃうわ~。初めて見た時から、辱め甲斐のある体だと思ったのよ~」
「分かるわぁその気持ち。私も草のエレメンターを見た時キュンとしちゃったわ。一目惚れってやつかしら? あの子もコレクションに加えたいわぁ」
(怖ぇなコイツ等)
レヴィアータとペルセネの会話に、グラデは若干引いていた。
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「うおぉぉぉ!!」
俺は手から光の玉を放ち、アルツが作った土の壁に当てると半分程崩れ、崩れた分をアルツが修復した。
エレメントラインを伸ばすには、エレメントをどんどん使って力を上げていくしかない。
だから、アルツの土の壁を的にして当てていき、崩れたらその度にアルツが修復の為に土のエレメントを使うから、アルツにとってもいい特訓になる。
「ふぅ……まだジーリュ達は戻ってこないのか」
時の短剣の情報を得るために、ジーリュ、ヒレア、小森先生が、リューラの青龍に乗ってウィスダルムの叡智図書館へ向かい、もう四日経った。
あれほどの量の本なら、確かに情報は得られそうだけど、時間もかかるよな。
この間にも、きっとクロークは良からぬことを企んでいる。
何か情報を持って帰ってくることを願って、俺は特訓を再開する。
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「お主等ー!! 時の短剣の場所を掴んだぞー!!」
次の日の昼過ぎ頃、庭で特訓をしているとウィスダルムへ行っていたジーリュ達が戻ってきて、ジーリュが声を上げながらやって来た。
「本当ですか!?」
「うむ。残念ながら残り二本の内一本だけじゃが、場所は掴んだぞ」
「それで、何処にあんだ?」
ウィドが訊ねると、ジーリュは前脚で真上を指した。
「空じゃ!」
『は?』




