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エレメンターズ  作者: 至田真一
戻った日常
133/202

動き出す者達

「うわっ!?」


 足元の地面から魔物が飛び出し、俺は間一髪で避けた。

 飛び出てきたのは、牙が生え揃った丸い口に緑色の長い胴体をしたグリーンワームという魔物だ。

 そのグリーンワームが大量発生したという依頼を受けて、俺達はある森にやってきて、今まさに交戦中だ。

 対峙していたグリーンワームは再び地面の中に潜った。


「地面の中に潜られると厄介だな」


 どこから現れるのか分からないから、左腕の予見の盾で10秒先を見てみた。

 地面の上に立つ俺に、真下からグリーンワームが出てきて俺に襲い掛かる光景が盾に映った。


「10秒後か」


 俺はその場で立ち止まり10秒待った。

 10秒経った頃、俺は光のエレメントで脚力を上げて大きくジャンプすると、丁度真下の地面からグリーンワームが飛び出してきた。

 グリーンワームに向かってライトカリバーから光の光線を放つと、グリーンワームを貫き緑の血を出して倒れる。


「よし」

「勇也ー、大丈夫?」


 地面に着地すると、少し離れた所で戦っていたレインが駆け寄って来た。


「ああ、大丈夫。レインは?」

「私も大丈夫よ」

「良かった。皆の様子も見てこよう。多分もう倒し終えてると思うし」


 森の中を歩いて行き、予想通り倒し終えた皆と次々と合流していく。

 全員揃うと、周囲を捜索しグリーンワームがいないことを確認する。


「もういないみたいだね」

「結構いたからな、流石ちょっと疲れた」

「もう長くてウネウネしたのは皇蟲で勘弁~」

「文句言うても仕方あらへんよ」


 20匹以上もいたから流石に疲れた。

 肩を回していると、誰もいないのにレインが後ろを振り向いた。


「どうしたの?」

「水が流れる気配を感じる」

「そう言えば……確か向こうに川が流れていたはずじゃ。そこで休憩してから屋敷に戻るかのう」

「そうしましょう。(わたくし)も疲れました」

「僕も喉が渇いたし」


 ジーリュを先頭に進むと、言う通り川が流れていて、俺達は川のほとりで休むことにした。

 レインから渡された水を飲んでいると、ジーリュが上流の方にある小さな滝をジッと見つめていた。


「どうしたんだジーリュ?」

「いや、ここには先代のエレメンターと来たことがあってのう。少し懐かしんでいた。あまり良い思い出では無いがな」


 ジーリュの少し沈んだ表情を見て、本当に良い思い出じゃないって事が伝わった。

 あの顔……前に先代エレメンターの話をした時と同じ顔だ。

 流石に聞くのは野暮だと思ったから聞かないでおこう。


――――――――――――――――――――


 日が沈み、満月がハッキリと見える夜。

 勇也達がグリーンワームを討伐した森の中で流れる川にある小さな滝の上空に、突如小さな穴が開くと、穴の中から一人の男が出てきて川の中に落ちた。


「ぶはっ!!」


 男は川の中から顔を出すと川から上がった。


「はぁ……はぁ……、地面じゃなくて助かったが、此処は……」


 男は周囲を見渡す。


「あの森か? 景色は似てるが……地面は荒れてねぇな。って事は……」


 すると、近くの茂みが揺れバッと振り向くと、全身をマントで覆った一人の男が歩いて近づいてきた。


「誰だぁお前は?」

「……久しぶりだな」

「っ! その声は……!?」


 男がフードを外し顔を見せた。


「兄貴!!」

「久しいな、我が弟よ」

「ああ! ……にしても老けたな、兄貴」

「あれから22年も経っているからな。その間にも色々な事が起きた。私の隠れ家へ行きながら話そう」


 マントの男が杖を取り出し掲げると、一体の翼竜が現れ二人の男は背に乗り翼竜は飛んで行った。


「凄ぇ所を隠れ家にしたなぁ。……にしても、ライトスとダーケルが死んだとはな」


 隠れ家に着くと、男はマントの男から聞いた話を思い返していた。


「一番我々の邪魔をしたあいつ等がいなくなったのは別に良い。だが光のエレメントが復活し、新たなエレメンター達と共に活動を始めた」

「あいつ等の子って事か。で、強いのか?」

「厄介なのは間違いない。なんせ封印獣を全て倒したのだからな」

「マジかよ!? 確か一体で町一つ滅ぼせるって聞いたぞ!?」

「それだけではない。封印獣全てが合体したデスキメラと言う怪物までも奴等は倒した」

「うぇ~。また俺達の邪魔されたら(たま)ったもんじゃねぇな」


 男が顔を歪めるのに対して、マントの男はニヤリと笑う。


「安心しろ。何もこの22年間、何もしていなかった訳ではない。この長い年月のお陰で、”とっておき”が完成したのだからな」

「とっておき?」

「お前も驚くぞ」


 自信満々のマントの男に、男は首を傾げると、二人は大きな部屋に入った。

 その部屋の中にある物を見て、男は目を見開く。


「あ、兄貴……これって……!?」

「ハハッ。流石のお前でも言葉が出ないか? そう、これがとっておき……私の最高傑作だ!!」


 マントの男は腕を大きく広げて、人が入った幾つものカプセルを男に見せる。

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