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エレメンターズ  作者: 至田真一
戻った日常
132/201

異変調査

「最近調査が多いな」

「それほど異変が広がってるって事よね」


 依頼である森の様子がおかしいという事で、調査にやって来た俺達は、情報を得るためにその森に住む部族の村を訪れた。……けど。


「なんて酷い有様だ」


 その村は、無数の木の根やイバラで既に滅んでいた。

 建物は当然、人は木の根に栄養を吸い取られたようにミイラになっている。

 前に似た話を聞いたけど、実際に目の当たりにすると恐ろしいな。


「自然の物じゃないよな。これ」

「明らかに不自然だもんね。魔物……人の仕業かも知れないわね」


 しばらく村の中を見て回るが、生存者はやっぱりいないかも知れない。

 一番奥の建物に発生している木の根に触れているレイフと一緒にいるジーリュとヒレアを見かけると三人の元へ行った。


「ジーリュ。何か分かった?」

「うむ……分かったのは、この木の根は以前、王都の冒険者ギルドで見た、あの魔物の死体に生えていた木の根と同じ物という事じゃ」

「あれと同じか。本当に何なんだろうな?」

「とにかく……今は部族の者達を埋葬しよう」


 俺達はアルツが作った穴に部族達の遺体を入れていくと、埋めた穴の上に簡単な墓を建てて合掌する。


「理由は知らぬが、このような事をする輩は許せぬな」

「ああ。俺もだよ」


 埋葬を終え、村の探索を再開する。

 巨大な木の根の下を潜って進むと、レイフが一本の木をじっくり触っていた。


「何してるの? その木がどうかした?」

「いえ。なんだか、この木の中に何かいた気がしたのですけど……気のせいみたいです」

「木の中? そんなところにいるとは思えないけど」

「ええ。だから気のせいみたいです」


 その後調べても、特に何も分からなかったから、俺達はその村を後にして森の調査を始めた。


――――――――――――――――――――


 エレメンターが去った後、レイフが調べていた木の幹の一部が盛り上がると、人の形になって地面に立つ。


「危うく見つかる所だったわね。時が来るまで見つかるなって言われてるし。見つかって怒られるのも嫌だわ。前にあの子も勝手に勝負挑んだから怒られてたし。……でも、ちょっと味見したかったなぁ」


 木から出てきた緑の髪の女は口惜しそうな顔をした後、ペロッと舌なめずりをすると再び木の中に入った。


――――――――――――――――――――


 森の中を調べる俺達だが、特に変わった物は見つけられなかった。


「何も見つからない……どころか生き物もあんまり見かけないな」

「本当ね。魔物だけじゃなくて動物も見かけないわね」


 さっきの村の木の根の影響がここまで広がってるのか? それで生き物がいなくなったとか?

 魔物までいなくなるなんて、余程の事態だな。


「皆、ちょっと集まってくれ」


 ジーリュが急に呼び出し、俺達は集まった。


「こっちの方角に村がある。距離があるが行ってみようではないか」

「少しは情報を得られるかもな」


 俺達は召喚獣に乗ってその村へ向かった。

 しばらくして村に近づくと、頭の上に乗っているジーリュが何かを見つけた。


「何じゃ? 様子がおかしい」


 村が見えた俺達だが、その村を見て言葉を失う。

 その村は、草木や花。建物に人までが凍り付いていた。


「何だこれ?」

「凍ってる……」

「一体何が起こっておる? この辺りに凍らせる力を持った魔物は居らんぞ」


 じゃあ何で凍ってるんだ?

 俺達は村に降りて村の中を見回る。


「この氷。前にエルーシンの近くで見つけた氷と同じです」

「あの色々と凍らせてたあの氷と?」

「はい。自然の氷とは違う、不気味な感じは間違いありません」


 あの木の根の次はあの氷か。

 本当に何なんだ、これ?


「人まで凍って……もし人災なら酷いわね」

「ああ」


 村の中を見て回ってみたが、ここでも何も分からなかった。

 分からないってだけで、こんなに不安になるんだな。


――――――――――――――――――――


 氷漬けの村からエレメンターが去ると、氷の中から一人の男が出てきた。


「ふむ……あれがエレメンターですか。大したこと無さそうですね。『あの方』がまだ手を出すなと言っていましたから、命拾いしましたね」


 男は村を出て近くの海へ行くと、海面を凍らせて歩いて行った。

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