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エレメンターズ  作者: 至田真一
戻った日常
131/201

武装したリザードマン

「おーい、お前達」


 庭で特訓をしていたある日、グレスさんが訊ねてきた。


「グレスさん。また依頼ですか?」

「ああそうだ。何度も頼んでスマンな」

「良いですよ。もう慣れましたから」


 グレスさんと一緒に屋敷に入ると、俺達は依頼の内容を聞いた。


「今回の依頼の内容は、リザードマンの討伐だ」

「リザードマンじゃと? そんなにランクが高くない冒険者でも討伐出来る魔物じゃぞ」

「そうなんだけどな。今回討伐してほしいのは武装したリザードマンなんだ」

「いや、リザードマンも武装しておるじゃろう」


 確かに、前にリザードマンと戦った事あるけど、剣と盾を持ってたし、胸当てを身に着けてたから武装しているとは言えるね。


「それもそうなんだが。普通以上に武装しているリザードマンなんだ」

「どういう事じゃ?」

「俺も実際に見た訳では無いから詳しくは知らないんだが、冒険者の話によると、全身に鎧を着けていて、質の良い剣と盾を持っていたらしいんだ。普通の冒険者じゃ太刀打ち出来ず、お前達に頼みに来たんだ」


 通常以上に武装したリザードマンか。

 冒険者でも勝てなかったって事か。そんなに強いのか?


「とりあえず、その依頼受けよう。そのリザードマンの強さ次第では大きな被害が出るかも知れないし」

「そうじゃな。グレスよ、場所は何処じゃ?」

「ウェアークから北西に五キロの森の中だ」

「北西に五キロ……あの森じゃな」


 準備を終え、庭に出て召喚獣を呼び背に乗ると、俺達は目的の森へ向かった。


――――――――――――――――――――


 目的地の森に着くと、分かれてリザードマンを探す。

 結構大きい森だけど、見渡しは良いから意外と探しやすい。

 レインと一緒にライトドラゴンに乗って空から探していると、通話機に通信が入った。


『皆聞こえる?』


 通話に出たのは地上から探しているビトだ。


『それらしいリザードマンを見つけたよ。確かに凄い武装してる』


 クロエの声案内でビトの元に集合すると、大きな岩の陰に隠れるとビトが指差した先を見る。


「ほら、あれ」

「うわぁ。本当に凄い武装だな」


 俺達が目にしたそのリザードマンは、顔に胸、腕、脚、尻尾に鎧を纏い、丈夫そうな剣と盾を手に持つ五匹のリザードマンだ。


「あれほど武装したリザードマンは初めてじゃ」

「全身の鎧だけじゃないわ。剣と盾も質が良いわ。かなり丈夫ね」

「見た感じだけど、あれ結構良い金属で作られてるな」

「素材は何でも良いだろ。とにかく倒そうぜ」


 俺達は戦闘準備を整えて岩陰から出ると、リザードマンは俺達に気付き襲い掛かる。

 リザードマンが振り下ろしてきた剣を予見の盾で防いで弾くとライトカリバーを振るが、鎧の硬さに弾かれた。


「硬っ!? エレメントを乗せないと駄目か?」


 今度はライトカリバーに光のエレメントを纏わせて斬ると、弾かれはしなかったが、少ししか鎧を斬れなかった。


「本当に硬いな。どうなってんだこの鎧」

「皆も苦戦してる。油断しない方が良いかも」

「そうだね。気合入れないと」


 どうにか鎧を纏っていない部分を攻撃して少しづつダメージを与えていき、思ったより時間が掛かったけど、なんとか五匹倒した。


「あ~。まさかリザードマンに苦戦するとはな」

「それほど、この鎧や剣が強固と言うことだ」


 少し休憩して息を整えていると、ジーリュが倒れたリザードマンをジッと見る。


「このリザードマンを持ち帰りたい。魔法袋に入れてくれぬか?」

「おお、分かった」


 アルツがリザードマンと剣と盾を魔法袋に入れると、ビトが「ん?」と振り向いた。


「どうしたの?」

「視線を感じた気がしたんだけど……気のせいか」


 召喚獣を呼び背に乗ると、俺達はウェアークへ戻った。


――――――――――――――――――――


「本当に武装しているな」


 ギルドの一室でグレスさんはリザードマンの鎧を叩く。


「かなり硬い金属で作られてるな。リザードマンが作ったとは思えない」

「うむ。恐らく何者かが作った装備をリザードマンに装着させたんじゃろう」

「でも、何の為に?」

「分からん。これまでに薬物を使った魔物の強化実験などもあった。その類かも知れんな。強い装備でどこまで強くなれるか、とかな」


 もし実験とかなら、また武装した魔物が現れるのかもしれないな。

 結構硬かったし、もっと強くならないと。


「それではグレス。ワシ等はここで。何か分かったら教えてくれ」

「ああ。ありがとな」


 俺達はギルドを後にした。


――――――――――――――――――――


「しかし、こんな装備一体誰が? 作った奴はかなりの腕前だぞ」


 エレメンターが帰った後、グレスはリザードマンが被っていた兜を持ち眺める。


「ん?」


 兜の裏に何かを見つけ、グレスは凝視する。


「これは……紋様か? なんか見覚えがある気がするな……」


 兜の裏に描かれている、火を円で囲った様な紋様を見て、グレスは首を傾げる。


――――――――――――――――――――


 エレメンターとリザードマンが戦った場所に、フードで身を隠す一人の男が足を踏み入れた。


「あの程度の装備でもエレメンターには通じるみたいだな。だがまだ駄目だ。もっと強力な装備を作らせんとな。あいつ等も大分力が付いてきた。あいつに会えたら、早速行動開始とするか」


 男はその場から離れると姿が消えた。

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