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エレメンターズ  作者: 至田真一
戻った日常
128/201

ウェアーク、復興作業

 王都からウェアークに戻ったその日の夜、寝ようとしたらいつものようにレインがやって来た。

 ……なんかグッと密着してきていつもより距離が近い気がする。


「あのぉレイン」

「何?」

「いつも以上に近くないですか?」

「だって、王立学園じゃあ部屋が違うせいで一緒になれなかったんだもん」


 その分ってわけかよ。そりゃあ男子寮と女子寮で分かれてたんだから。

 レインはギュッと抱き付いてくると、顔を近づけて唇を合わせてきた。濃い方を。

 なんかいつも通りの日常に戻ってきた感じがする。


――――――――――――――――――――


「さて。封印獣とジョルクスの問題は解決し、王立学園の問題も解決しウェアークに戻ってきたが、早速皆にやってもらいたいことがある」

「やってもらいたいこと?」

「ウェアークの復興じゃ。あれから日は経っているが、まだ半分程しか進んでおらぬ」

「あれほどの事態だからな。無理もないだろう」


 本に封印された魔導士、ジョルクスが封印獣の魂を融合させて生み出した最強の魔物、デスキメラ。

 そのデスキメラの進撃で、ウェアークは壊滅的な被害を受けた。

 俺達も大分苦戦した。あの時はジョルクスが制御不能に陥ったお陰で倒す事が出来たけど、もしそうならなかったら俺達は全滅。ウェアークは完全に滅んでいた。

 今もまだウェアークの復興はまだ終わってなくて、まだ半分近くが瓦礫の山になっている。


「まぁ此処を拠点にしてるわけだし。町ぐらい元に戻さねぇと居心地悪いもんな」

「世話になった方も沢山いますからね」

「クラスの皆もいるし、早く元に戻したいね」

「ああ」

「うむ。帰ってきて早々じゃが、復興作業を手伝いに行くとするか」


 俺達は頷くと準備をして屋敷を出た。


――――――――――――――――――――


「よいしょっと」


 瓦礫を持ち上げて手押し一輪車に乗せると、押して瓦礫を運んだ。

 思ったより重く感じない。腕の筋力が上がってるのかな?

 瓦礫をアルツの元まで運ぶと、アルツの力で崩れた建物に瓦礫をくっ付けて修復していく。

 町の塀は直ってるけど、まだまだ町の方は直るのに時間が掛かりそうだと思った。だけどアルツの土のエレメントなら修復が速いから、俺達が王都に行っている間にあまり進まなかった理由はそれだと思う。……けど。


「この範囲は時間かかるな。デスキメラ……いや、ジョルクスか? どちらにしても恨めしく思う。……もういない奴を恨んでも仕方ないし、早く瓦礫運びの続きをしよう」


 次の瓦礫を運びに手押し一輪車を押した。まだまだ復興する場所はあるからな。


――――――――――――――――――――


 昼頃になり、クロエが食事を持ってきて復興作業をしてる人達に渡していく。


「意外と進まねぇもんだなぁ。こりゃあ時間かかるわけだ」

「こんなに被害が出てるんだもん。当然と言えば当然だね。よくニュースで見る被災地の復興作業の大変さが分かった気がする」

「ホントだな」


 大貴と厚も大変だったみたいだ。

 厚が言ってた事も分かるなぁ。魔法があるこういう世界でも復興は大変なんだな。

 ふと目を向けると、遠くで風間と氷室がクラスの女子達と楽しそうに話してる。

 ……今一人の女子が俺を指差した後、風間が手を振って拒否してるように見えたけど、何話してるんだ?


「勇也ぁ。何してるの?」

「え? いや、何でも無いよ。ただ復興が大変だなぁって思って」

「そうね。多くの人が住む家を失っちゃったけど、私達が頑張ったお陰でウェアークは滅ばなかった。それで十分じゃない?」

「ああ、そうだな」


 家を失っても町は残ってる。町があるんなら人が住む場所を造れる。

 その住む場所を造るために、復興を頑張らねぇと。


――――――――――――――――――――


「あ~、腕痛ぁい!」


 風間はテーブルに顔を伏せて手を上に向ける。腕が少し震えてるように見える。

 今回の復興作業には、流石の皆も疲れたみたいだ。


「あ。そう言えば光野君。クラスの女の子が言ってたんだけど……」

「ん?」


 そう言えば昼に何か話してたな。


「なんか光野君とレイン、結婚してると思われてたよ」

「はぁ!?」

「せやなぁ。子供もいると思われてたで」


 あの時俺を指差してたのはそういう事か!!


「一応結婚してないとは言っておいたけど」

「……俺とレインってそんな風に見えるのか?」

「見えなくもない」

「せやな」

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