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エレメンターズ  作者: 至田真一
王立学園の怪事件
125/201

幽霊の行く先

 翌朝、また生徒が一人失踪した。

 失踪したのは例の三人の生徒の内一人、これで二人目だ。


「本当にあの白い光が出たら消えたな」


 王立学園で最近噂になっている謎の白い光。

 幽霊とも言われてるその光が目撃されたその次の日の朝には生徒が一人消えるらしい。

 昨日皆に話すと本当にそうなのかとウィド辺りは疑っていたが、その日の夜、寮の窓からその光を見つけた俺とエンは皆を起こして見に行ったが見つけられなかった。そして生徒が一人消えた。


「これで、生徒の失踪と白い光の関連性が上がったのう」

「次に現れるとしたら多分今夜だな。まだ例の三人の生徒の内、一人が無事だし」

「その光は校舎の方へ飛んでいたんじゃな。と言うと、校舎の何処かに生徒失踪の鍵が……」

「じゃあ今日は、校舎を重点的に調べよう」

「それとその白い光。いや、幽霊か? まぁどちらでも良いか。その情報も集めた方が良いじゃろう。何か役に立つかも知れん」


 俺達は頷くと早速今日の行動を開始した。


――――――――――――――――――――


「幽霊ですか……確かに、生徒の間でそんな噂を聞きますね」

「私も見たことはありませんが、友達が見たと言っていましたね」


 メーダ教頭とメク生徒会長もその噂を耳にしているみたいだ。

 今日はこの二人にも調査を手伝ってもらう事にした。主に校舎の案内や生徒への聞き込みに協力してもらう。


「その幽霊が生徒の失踪に関係あるんですよね?」

「可能性が高いだけだけど」

「これ以上生徒が消えてしまう訳にはいきませんし、私達も協力します」


 教頭と生徒会長。この二人なら十分心強い。

 早速俺達は調査を始めた。

 校舎を回ったり生徒から幽霊について聞いたりしていて、気付けば放課後になっていた。


「誰に聞いても、幽霊は校舎に向かって飛んでいたってだけだな」

「やっぱり校舎か? でも校舎は一通り調べたけど……」

「そうよね。人が滅多に入らない場所とかも見たけど」

「他に見てない場所にも心当たりはありませんし……」


 校舎じゃないのか? 思った事を言うと一旦俺達は校舎を出た。

 外に出ると、そこで分かれて調査をしていた皆とコーマス学園長に会った。


「皆。学園長もどうしたの?」

「校舎の裏にこれから向かうとしていてな。学園長とはさっき会って一緒に調査を手伝ってくれることになった」


 リューラが説明するとコーマス学園長は「はい」と答えた。


「私もこの事件を早く終わらせたいですからね」

「そうですか。でも何で校舎の裏に?」

「ある一人の生徒からこんな話を聞いたんだ。教室に忘れ物をしたのを思い出して、夜校舎に入ると、白い光が校舎の裏へ飛んでいるのが見えたと」


 校舎の中じゃなくて裏に向かってたのか。


「しかも学園長によると、校舎の裏には使われなくなった小さな倉庫があるらしいんだ」

「校舎裏に倉庫が? 聞いたことありません」

「随分昔に使われなくなりましたからね。生徒どころか教師にも知る人は少ないです」

「その倉庫、怪しさが上がったのう」

「ああ」


 使われなくなった知る人が少ない倉庫。怪しさ全開だな。

 俺達も一緒に行き、校舎裏に回ると、確かにそこには古い小さな倉庫が建っていた。


「これは知らなかったな」

「私もです。こんな所にあるとは」

「中を調べたいが……鍵が必要みたいだな」


 倉庫の扉には錠が掛けられており、このままじゃあ中に入れない。


「オラに任せるだ」


 スチアが前に出て錠に触れると、鉄のエレメントで錠の形を変形させ錠を外した。


「スチアがいれば鍵いらずだな」

「んだ」


 扉を開けてみるが、古いのに思ったよりスムーズに開いた。

 中を見て見ると、あったのは地下に続く階段だけだった。


「地下なんてあったんですね」

「私も初めて知りました。何せこの倉庫は長く放置されていたので、中どころか鍵も何処にあるのかすら知りませんし」


 現学園長でも知らないって相当長く放置されていたんだな。

 すると今度はビトが前に出て犬の力を纏うと鼻を動かしてにおいを嗅ぐ。


「階段の先からこの学園の生徒のにおいがする」

「じゃあやっぱ、この先に!?」


 階段の先を見る俺達は階段を下っていく。

 中は暗いがあんまり埃っぽくなく、まるで人の出入りがあったようだった。

 下りていく途中、ビトが足を止めると猫耳を生やし聞き耳を立てる。


「声が聞こえる。唸り声……泣き声? 怯えてるような声が聞こえる」


 ビトの言葉を聞き更に下りていくと、下りた先に部屋のドアがあり、ビトがドアに顔を当てて聞き耳を立てる。


「うん。この中だ」

「よし、なら突入だ」

「いやウィド。もうちょっと慎重に――」


 ウィドはバンッと勢いよくドアを開けると、中を見て「んなっ!?」と驚く。

 俺達も部屋の中を見ると、中は教室のようだったが、問題はそこではなく、複数の生徒が怯えた様子で椅子に座っていた。


「これは……」

「誰だ?」


 教卓の方から声が聞こえて目を向けると、厳格な表情をした男性教師らしき人が立っていた。


「何だ、お前達は? 学園の生徒ではなさそうだが」

「テメェか、生徒を此処に連れ込んだのは? テメェこそ何も――」

「エシオン学園長!?」

「え?」


 コーマス学園長は教卓の男を見て驚きながら名を上げた。

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