表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンターズ  作者: 至田真一
先代エレメンター
117/203

決意と誓い

「……以上が、21年前に魔王の島で起きたことじゃ」


 話を終えたジーリュ、そしてヒレア、ラースさん、ディノ先王の顔は、とても悲し気だった。


「封印状態になったライトカリバーを持ち、ワシは皆を背に乗せセアノ王国の王都に戻った。王都の広場にワシは下りようとした時、ライトスに力を送った反動が来てしまい広場に落ちてしまった。そして力を失い、このように小さくなってしまった」

「エレメンターから全てを聞いたワシは事実を広めるのが酷になり、二人は魔王と相打ちになったと広めようとした。だが、兵士の一人が部屋の外で話を聞いてしまっていてな。それにより事実が広まってしまい、ダーケル殿は裏切り者と国民に広がってしまい、闇のエレメントの名に傷を与えてしまった。迂闊だった。部屋の前に兵士を配置しておくべきだった。歴代の闇のエレメンターに申し訳ない」

「気にせんでくれ、ディノ」


 後悔しているディノ先王をジーリュは慰める。

 ダーケルの絵画が傷だらけなのはそう言う事か。


「その後、メーシャを弔ってライトスとメーシャの墓を建てて葬式を終えた後、仲間の預言者ゴサが例の予言を言ったの」

「そしてワシ等はその予言を信じ、エレメントアーマーを各地に封印した後、次の代にエレメントを伝承させるために各地に散らばり、ワシとヒレアはウェアークに残った……そこからは、お主等も分かる通りじゃ」


 先代の話を聞いた俺達は言葉を詰まらせる。

 俺が光のエレメントを受け継いでこの世界に来たことを知った人達があそこまで喜んでいた理由を更に理解出来た。


「ジーリュ」

「何じゃ?」

「俺、光のエレメントを絶対途絶えさせない様にする」

「うむ……頼んだぞ」


 俺の決意を聞いたジーリュの顔は嬉しそうだった。


――――――――――――――――――――


 その日の夜、王都に滞在中は城に泊まることになった俺達はそれぞれ用意された部屋で過ごしていた。

 俺もベッドの上で横になるが、昼間の話であまり寝れそうになかった。


「眠れないの?」


 窓から夜空を眺めていると声が聞こえ、振り向くと自分の部屋から来たレインがベッドの上で横になっていた。


「ちょっとね……エレメントの重要さを改めて思い知ったんだ。それに、先代のエレメンターがどんな思いで俺が来るまでの20年を過ごしていたのか」

「うん……。私もね、お母さんとお父さんが活躍してた時の話をする時ね、たまに悲しそうな顔をしていた時があったの。あの時はどうしてあんな顔をするのか分からなかったけど、今日の話を聞いてその理由がよく分かったわ」

「そっか」


 多分レインだけじゃない。

 他の皆も先代のエレメンターである親を見て、もしかしたら同じように思っていたかも知れない。


「だから、早くお母さんとお父さんを見つけて報告したい。光のエレメンターが来たよって」

「……そうだね」


 そう言えばレインの両親は行方不明だったんだ。

 先代のエレメンターと言っても、もうエレメントは使えないから心配だ。レインの為にも、早く見つけてあげよう。


「それに……」


 レインは呟く様に言うと、顔を近づけて唇を合わせた。


「早く勇也の事を紹介したい。私の恋人って」

「はは……」


 頬を赤らめて言うレインに俺は微笑すると、レインは目を閉じて寝始め、俺もちょっと気が抜けたのか眠気がきた。


(悲しいことが起きない様に、もっと頑張ろう)


 俺はそう決意し目を閉じる。


――――――――――――――――――――


「こうしてゆっくり話すのも久しぶりじゃな」

「そうじゃな」


 先王の部屋でディノ先王とジーリュはテーブルを挟んで向かい合うように座ると、ディノ先王は紅茶を飲む。


「どうじゃ? 国の景気は?」

「王位を継承させたばかりの頃は大変だったが、今は落ち着いている。不安要素があるとすれば、まだ闇のエレメンターを悪く言う者がいるという事じゃな」

「そうか……どうしたもんかのぅ」


 未だに闇のエレメンターの悪評が続いてしまっている事に、ジーリュは頭を悩ませる。


「事の発端は、国民の闇のエレメンターの偏見なのだが、国民を守る者としては『お主達が悪い』と言ってよいのか悩んでしまう」

「下手をすればクーデターが起きてしまうかも知れんしのう」


 ジーリュの言葉にディノ先王は頷く。


「20年以上経った今でも続くとは。先代の時代は悲しいことが起き過ぎた」

「そうじゃな……」


 ジーリュは前脚でカップを持つと紅茶を啜る。


「特に一番は、()()()()()()()が途絶えてしまった事じゃな」 

「だがその内の一つ、光のエレメントは復活したではないか」

「そうなんじゃが……ワシとしては、残りの二つも復活してほしいんじゃ。じゃが、エレメントが途絶えたことは無いし、光のエレメントの場合は特別だとしても……やはり……」

「今は当代のエレメンターを見守ろう。途絶えてしまったエレメントがどうなるのか分からないが、今のお主の役目は、先代の様に悲劇が起きない様にすること……。21年前にそう言っていたではないか」

「……そうじゃったな」

「ワシも出来る限り力は貸すぞ」

「すまぬ」


 ジーリュとディノ先王はかつての約束を再び誓い紅茶を飲む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ