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世にも奇妙な『悪辣姫』の物語  作者: 玉響なつめ


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第七十六話

 アレンデール様はまだお戻りになっていない。

 だけれど、王城を出発したという連絡が先に来たので一安心だ。


 といっても、こちらでも特別に何か進展があったわけではないのだけれど。

 例のお香の影響なのか、相変わらずフルゴーレ様の奥方とそのご両親は魂が抜けたようにぼうっとしてらっしゃるのだとか。

 時折正気に戻ることもあり、その際にはフルゴーレ様の姿を見て涙を流して謝罪を繰り返し、とても痛々しい姿だという。


 私も一度ご挨拶に行った方がいいのだろうかと思ったけれど、それはアンナたちに止められた。

 フルゴーレ様は確かにアレンデール様の親族だけれど今は平民であり、そして彼の妻たちは私と関係がないのだから、と。

 言われれば確かにその通りだし、私に何かできるわけでもないのだけれど……ううん、とても難しい。


 フルゴーレ様は憔悴しながらも、ご家族のために献身を続けているようだ。

 シンナ・バァルはシュタニフ先生と共にお香以外に何かしらの毒が使われていないか、その検査を医師と共に行っている。

 シンナ・バァルは私に毒を使ったし、彼の罪状としてはパトレイア王国内で彼の親族が毒を使っていてその共犯ということだけれど……そこに関して自分は関与していないと主張している。

 パトレイア王国に対して王女である私が口を利けば、有利になると思ってのことのようだ。


(私に嫌われているとわかっていて、よくもまあ)


 ただまあ、シンナ・バァルに対しての悪感情は強いかと問われるとよくわからない。

 正直なところ、ユルヨ・ヴァッソンの存在が強烈すぎてシンナ・バァルに対しては遠ざけてもらえただけで十分といったところだったから。


 結局彼に関しては私がでしゃばることによってややこしくなるのが目に見えているので、一時保護として保留としてアレンデール様のご帰還を待って判断をすることにした。


 とりあえず、シンナ・バァルはシュタニフ先生の姿を見るとものすごく嫌な顔をしていた。

 どうやら顔見知りらしいけれど……学者同士は顔見知りが多いと先生が仰っていたので、そういうものなのかもしれない。


「奥様」


「アンナ、どうしたの?」


「先ほど、旦那様からの先触れが参りました」


「……アレン様から?」


「はい。三日後の夕方、到着するとのことにございます」


「よかった……」


 帰ってくる。

 当たり前のことだけれど、その言葉にようやく実感が持てた。

 そのことにホッと胸をなで下ろす私を前に、アンナも嬉しそうだ。


「ただ何か大切なお話があるとかで、その際にはアデラ様、イザヤや先生方だけでなく、アールシュ様たちにもご同席いただけるよう調整をしておいてほしいとのことです」


「大切なお話……?」


 アデラ様もそんなことを仰っていたけれど、おそらくこれはきっと違う内容なのだろう。

 ほんの少しだけざわつく胸を前に、私はアンナに向かって頷いてみせるのだった。


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― 新着の感想 ―
いや、どんな言い訳しても王女に毒を盛ってたわけだから普通に極刑でしょうに 口利きって重罪化してほしいのかこいつはw
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