好きな人
初投稿です!ふと思いついてざっくり書きました!なろうの仕組みを理解するためのお試し投稿だからね!内容が荒くても仕方ないね!
とある高校の昼下がりの教室、隣の席の女子から声がかかる。
「ねえ、あいつの好きな人、知らない?」
あいつとは小•中学と同じクラスの中村のことだろう。高校に入学してから、別のクラスになってしまったが、前に「LINEで一ノ瀬から、好きな人はいないのか」とか聞かれると、体育の授業で彼とペアになった時に愚痴られた。
「いや? 知らないけど。前に聞いた時は、気になってるだか綺麗だとか思ってる人ならいる、とは言ってたけど」
「そっか〜。いやね、ちょくちょくあいつに『好きな人できた?』とかLIMEで聞いてるんだけどね、流されてばっかで……」
この元気な女子は中村と同じく小•中学と同じクラスの一ノ瀬だ。まぁ、高校でも同じクラスだが。
中学の時、中村と俺とで吹奏楽部に入っていた際に話すようになった。
親しみ易い性格で、俺が小学生の頃から好きな相手だ。
……にしても
「そのせいじゃないの?」
「何が?」
一ノ瀬は心底不思議そうな顔をして、首をかしげる。言葉足らずなのは俺の悪い癖だ。
「いや、流されるの。何回も聞かれたら、答えたくなくなるだろ。女子ならなおさら」
「えぇ〜なんでよ?中学の頃から聞いてるのに……」
なお悪いな。逆に尊敬するレベルでしつこい。中村の疲れた顔が目に浮かぶ……いや、割と楽しそうだったか?止めよう。悪い方向に向かってはいけない。
「なんでもなにも、男子はそういうもんなんだよ。てか、中学からって……」
ちなみにこの時、俺の心境は複雑だった。告白もしてない俺が悪いのだが、一ノ瀬が中村を好きなんじゃないかと、一抹の不安がよぎったからだ。
「むぅ、絶対好きな人がいるはずなんだけどなぁ」
「その絶対的な確信はどこから来るの……」
「女の勘」
と、真顔で言い放つ。いや、女の勘とか……
「はぁ……そうですか」
「と•に•か•く! あいつに石橋から聞いてみてよ」
石橋は俺の名字だ。慎重で臆病な俺にピッタリな名字だ。俺の呼び方が名字なのは呼び易いかららしい。
「まあ、聞いてみるけど……今日は聞いたりするなよ? 同時に聞いたら怪しまれる」
「本当? わかった! たのんだよ」
「それにしても、なんでそこまでして、知りたいかねぇ」
「え? 中村から色恋沙汰とか聞かないじゃん? 好きな人がいるなら、協力してあげたいんだよ」
と、楽しそうに笑った。
俺は軽い安堵と中村への同情を込めて苦笑した。
◇ ◇ ◇
その日の夜。家に帰宅した俺は中村にLIMEを打つ。
『突然だけど、女子でかわいい系ときれい系、どっちが好み?』
あいつの性格上、直接好きな人を聞いても教えてくれないだろう。だったら、好みのタイプや性格を聞いて、ある程度的を絞た方が早い。あとは一ノ瀬の勘を頼りに、中学のクラスメートから目星をつけて聞くだけだ。
少しして返信が来る。
『お前からそういう話題が来るのは珍しいな。なんかあった?』
予想通りの内容。まあ、こう返すわな。これを否定してはいけない。いらん深読みをされても困る。ここで一ノ瀬の名前を出すのは論外だ。つまり返答は
『いやぁ、お前から色恋沙汰とかあんまり聞かないからさ。もしかして興味無いのかと思って。で? どっちよ』
これが正解。何かあったのかという質問を誤魔化しつつ、俺の質問の答えへと軌道修正。いやぁ、我ながら完璧!
『特にどっちとかは。それで? 何があった?』
ーーんんんんんんん!!!
クソが!なぜこいつはこういう時は勘が良いんだ! それも俺の質問は有耶無耶にして面倒な問いを蒸し返しやがって!
『いや、本当にただの興味本意だから。それに、もう少しで文化祭だろ? 去年は高校初の文化祭だったのに、俺ら2人で回ったからさ、青春してないなーと思って』
少し苦しい理由だが、勢いでいけるか?
『あーね。てっきり一ノ瀬の差金かと』
あっぶねぇ。その通りだよコンチクショウ! あいつどんだけ中村に好きな人聞いてんだ?
『んなわけねーだろ。じゃ、性格は? 明るいムードメーカー? 委員長タイプ? それとも物静かな清楚系?』
『そういうことなら、ちゃんと答えようじゃないか。顔はかわいい系かな? 性格は、あー柏木みたいな?』
柏木は俺たちの通う高校を受験するとき、クラスが一緒で話すようになった女子だ。今じゃ中村、一ノ瀬、柏木、俺で出かけたりするほど仲が良くなっている。
……まぁ、一ノ瀬と俺、中村と柏木で別のクラスになったんだが。
それで、柏木みたいな性格ってことは、明るくて勉強ができてノリが良いヤツってことか。
……わからん。もう少し聞いてみるか。
『おぉ、なるほど。じゃあ背丈は?』
『低めかなぁ。150くらい?』
『ちなみに、中学のクラスメートで好きな人に似てるのって誰?』
『あー、柏木かなぁ』
ほうほうなるほど。かわいい系の顔で、明るくて、勉強もできて、背は低めで、ノリが良いヤツか。
……一ノ瀬ではないな。柏木とは違った明るさだし、あいつは勉強が苦手だからな。
えぇ? てかその条件が会う女子で中学のクラスメートと言ったら……
『え、柏木?』
『……なんか駄目?』
あ、また悪い癖が。
『あぁいや、お前の好きな人が」
華麗な既読スルー。おぉっと? 当たったか?
その日、中村からの返信はなかった。