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第5.5話 とある少女の記憶。

 高校三年生の春、立花津雲(たちばなつくも)はある少年に恋をした。

その年、文芸部に所属していた築山司(つきやまつかさ)に興味を持ち、毎日のように友人を介しては、文芸部に通うようになっていった。



通うきっかけになったのは立花が二年生の頃。生徒会の生徒会長をしていた時の話である。

ある日、生徒会室から離れて自分のクラスに戻ろうとしていた、そんな時。生徒会室の隣にある文芸部の室内が窓ガラス越しに見えたのである。



パソコンに向かって一生懸命に何らかの文章を打つ一人の少年の姿が目に移り、心の中で思わぬ感情が湧いた。

立花自身、パソコンで小説を書いていた。初めては評価も感想もなかったものの、徐々にたくさんの評価やレビューをされ始め、瞬く間に書いた小説が書籍化されるまでに至った。



だが、しかし周りからのプレッシャーや文武両立できるかできないかの瀬戸際で立花は高校二年生にして迷っていた。

次第に初めの頃のような元気や、やる気はなくなり、大好きになれた小説も書かなくなっていった。



だからこそ、何かに没頭し、パソコンに向かって書き続ける少年に感情移入する事でその感情が《好き》というものへと変わっていったのである。



しかし、そんな少しの幸せもある事件以降、崩れ去ることになる。

突如として、少年の姿を見なくなったのである。



少し不安に感じた立花は、文芸部のクラスメイトに少年のことをあらいざらい聞くと、少年は交通事故で突然亡くなったのだという。



ショックを隠しきれない立花は、放心状態のまま数週間過ごし、心にぽっかりと空いた穴を塞ぎきれず、学生生活を過ごしていった。



立花の中での喪失感は大きく、トップクラスだったテストや点数などは下がり続け、挙げ句の果ては生徒会のいじめへと発展していった。



いじめ。好きだった人の死。親からの学業、将来へのプレッシャー。あらゆることが、立花の首を締め続け、それに耐えられなくなっていった立花は最後、街中の屋上から飛び降りること、自殺をすることで、その人生に幕を閉じた。



次の人生でまた、同じ人を好きになれますように……

死ぬ間際、そう強く願いながら…。


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