第三話 休み時間
キーンコーンカーンコーン
一時間目終了のチャイムが鳴った。休み時間だ。
「まだ一時間目か〜」
上山はそう呟きながら伸びをする。むろん彼はノートなどとらず、ぼーっとしているだけだったのだが。
「なあ上山、お前怪我はもう治ったのか?」
と上山の前の席の風間瞬が上山にきいてきた。
「ん?ん〜まあぼちぼちだな。痛みはもうないけど傷が軽く残ってんだよね」普通なら有り得ないのだがこの学校の保健室には体の自己回復力を高める装置があるのだ。それになにより南野が撃った弾、あれはうつと弾のほとんどが崩れる仕掛けになっており、皮膚にあたる頃には威力の少ない形になっている。その他にもこの学校には、いや、この世界にはいろいろと進化した機械が発明されている。しかしこの世界には科学者や発明家はいない。全て各学校の校長先生が会議を行い、その結果を元に教頭先生がつくりだしているのだ。
「またか、お前それでいくつめだ?」
と次の理科の準備を既に終え、復習を始めている原田が言った。今の原田の言葉とか上山の普段の態度とかでわかると思うが、上山は常日頃から『先生』達に逆らってばかりいる。そのため、特別処置を行われ、回復する、を繰り返しているのだ。
「うるせーな、てめぇみてーな優等生にゃ関係ねーだろ」
「さっき黒井が言ってた事もう忘れたのか?」
「あっ!」
見ると黒井を含む女子のほとんどが上山をにらんでいる。
「いや今のは口がすべったというかなんというか、いやその・・・ホラ!くせでさ!」
「 」
黒井が口パクで何かを言った。それを見ると上山は、上山はなぜか泣き出した。
「どうした上山!」
「あいつだ!黒井の仕業だ!」
数人の男子がそう言ったが黒井はしらをきっている。
「お前!一体何を!」
「とぼけんなー!お前がやったんだろ!」
それだけ言われるとさすがに何かを『言う』かと思ったが何も『言わなかった』ただ、オーラを出しているのだ。そのオーラは自分のしたことを自覚している。その上でそのオーラはこう言っていた。
『それがなにか?』
キーンコーンカーンコーン
休み時間が終わった。動きだす者はいなかった。ほとんどの人が黒井のオーラに圧倒されていた。