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復讐に乾杯  作者: 一発ウサギ
4/19

懐かしい日々の終わり

父から裏の仕事を聞いた翌日、王家から正式にフランツと私の婚約発表があった


コンコンコンコン

「入れ」

「失礼します」

部屋に入ると今日も父が机の上で書類仕事をしていた

「エレナか、どうした」

「お願いがあります」

「何?」

「裏の仕事で代理の許可を頂きたいのです」

「何だと?」

「先日お父様は『裏の仕事を私がやれ』『殿下には気づかれるな』と仰いました」

「ああ」

「しかし慣れていない仕事を隠し通すのは難しいです。隠したい相手と一つ屋根の下で暮らすならなおのこと」

「………」

「ですから今のうちに慣れておきたいのです」

「……………」

無言で考えこむ父

じっと目を逸らさずに見る

婚約が決まってから父は機嫌がいい

今なら許可するだろう



「………わかった。ただし一度に全ては駄目だ。まずは商品の収集についてのみ許可を与えよう」

「ありがとうございます。あ、でも女子供だからと侮られることもあるかしら?」

「男装していけばいい。声は布越しで低く出せば分かりにくい。書状にもお前の名前を書かないようにしておく。そうすれば女だからと侮られることもないだろう」

「ありがとうございます」

「出来たぞ。失くさないようにしなさい」

「はい」

その場で確認し受け取る

「ところでこれから王宮に行くのか?」

「はい」

「そうか。王子の機嫌を損ねないようにしなさい。また破棄は御免だからな」

「心得てます」

一礼して部屋を出る

さぁ次は王宮だ




「エレナ!」

フランツの部屋に向かう途中で呼ばれ振り向く

「久しぶりだな、元気だったか?」

「フリッツ!久しぶりね。元気だった?」

そこにいたのは騎士団長子息のフリッツだった

「おう!俺はいつも元気だぜ」

相変わらずのようだ。しかし丁度良い

「騎士団の訓練はいいの?」

「今は休憩だ。お前の姿が見えたんで追いかけてきたんだ」

フリッツと並んで歩きながら話す

卒業後フリッツは騎士団に入り訓練に明け暮れていると聞いた

「訓練の方はどう?」

「それが親父の奴『まだまだ鍛錬が足りん!』って扱くんだ毎日ヘトヘトだ~~」

「ふふっ」

「ところで何持ってるんだ?いい匂いがする」

「クッキーよ。これなら執務の合間にも摘めるでしょう?疲れた時は甘いものがいいというし」

「……ふーん」

「せっかくだからフリッツもいただきましょう?たくさん焼いたから4人分にしても足りるわ」

「4人?」

「ええ。アルベルトも一緒よ。ちょっと相談したいことがあって……」

「何だ悩みか?俺も相談に乗るぜ!!」

「ありがとう」

もちろん乗ってもらう


コンコンコンコン

「「どうぞ」」

「こんにちは。フランツ、アルベルト」

「エレナ!早かったね。さぁ座って」

「殿下。まだ書類が終わってませんよ」

「休憩だ休憩。せっかくエレナが来てくれたのに待たせるのも悪いだろ?」

「はぁ~~仕方ないですね。終わったらちゃんと頑張って下さいよ?」

「うんうん」

クスクス笑いながらフリッツが用意してくれた椅子に座る

アルベルトが机の上を片付けてくれたのでそこにクッキーを並べる

フランツがメイドを呼んで4人分の紅茶を頼む


「うん美味いな。エレナの菓子はしばらくぶりだが腕は落ちてないな」

「ありがとう。でも久しぶりだからちょっと焦がしちゃったの」

「え~~全然わからないぞ?これは確かめてみないとな!」

「こらフリッツ!クッキーを独り占めするな!!」

「「ふふふ」」

リスのようにクッキーを頬張るフリッツと怒るアルベルト

それを見て笑うフランツと私

まるで学院にいた頃のようだ。現実を忘れてちょっと和む



「ところでエレナ相談って?」

「そういえば来る途中も言ってたな」

「殿下だけじゃなく僕まで呼ぶなんて相当深刻そうだけど…」


「うん…」

俯いて考えこむ

どう切り出せばいいかここにきて迷う

この先を言ったらこの居心地の良さも終わる

でも引き返したくはない

あと一歩なのだ


「言ってエレナ。どんな事でも君の力になりたい」

「どんな事でも協力は惜しみませんよ?」

「水臭いな~~友達だろ?遠慮するなって!」


「ふぅ」

一息ついて顔を上げる

今さらだ

覚悟はとうに決めてた筈

「ありがとう。実は……………」







次はヒロインの過去話です

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