番外・元公爵令嬢の追憶3
自分磨きが出来た(と思う)のでアーサーに告白しようと自室に呼び出したのだが…
「お嬢様さっきから何してるんですか?」
アーサーが困ったように言う
それも当然だ。
私はさっきから彼の前で部屋の中を行ったり来たりだ。
呼び出しておいてこれでは彼も困るだろう。
これではいけない。告白すると決めたのだから覚悟を決めないと…
深呼吸をしてから彼を見て一気に言う。
「あ、アーサー!私あなたが好き、将来結婚して!!」
部屋の中が静まり返る
しまった!
どもった上に飛躍しすぎだ。
あぁもう本のように冷静に可愛らしく言う筈だったのに!!
頭を抱えたくなった。
実際抱えてしゃがみこんでしまった。
恥ずかしすぎて顔を上げられない…
「いいですよ」
「え?」
思わずしゃがんだまま顔を上げる
そこにはいつも通り笑ってるアーサーの顔があった
「いいって…いいの?」
「はい。僕もあなたの事が好きなので」
「え……どうして?私あなたに好かれるような事した?」
アーサーは笑いながらしゃがんで目線を合わせてくる。
「多分してないと思いますが…好きになるって自然となるものでしょう?」
「それはそうだけど……」
「まぁしいて言うなら面白いからでしょうか?」
「お、面白い!?」
ちょっとショックだった。
「最初から面白いと思っていたけど特にここ最近は挙動不審だったし」
「きょ、挙動不審!?」
更にショックだった。
「だってさっきも人を呼んだ割に部屋の中を歩いて見せるだけだし」
「うう……」
反論できない。
ちょっと悔しくて睨んでみるとアーサーは笑いながら手を差し出して立たせてくれた。
そのまま一緒に立つ。
「お嬢様と一緒にいたらきっと毎日が楽しいと思うし、一緒にいたいと思います。他にそう思う相手もいないし、この気持ちはそう簡単に変わらない気がします。今はそれで充分かと」
「そういうものかしら?」内心首を傾げる。
こういう場合ハッキリ恋だと言えないとダメなのではないのかしら?
「両想いだとしてもそれがずっと続く保証はないし、先の事なんて分からないから今お互いが1番好きだというだけでいいと思いますよ」
それもそうか。
それに……
「気持ちが変わるかもしれないなら、この先もっと好きになるかもしれないわね」
そう言うとアーサーは一瞬驚いた顔をして「そうですね」と微笑んで言った。
こうして私たちは恋人同士になった。
お友達から状態?(;^ω^)