逆転の発想
「困っている友達を助けたい……?」
「うん……。どうしたらいいのかな。」
翌日、休み時間に、メグは幼なじみの松本光次に相談を持ちかけた。コウジは頼りがいのある、いわゆる"いい奴"である。
「僕だったら、相談にのってあげるかなあ、無理だったら、話だけでもきいてあげるとか??」
「……それはもうしたんだよね、」
「そっか、そしたらなんて言ってた?」
「うーんと……。」
コウジは、いつもメグの話を親身になってきいてくれる。いままでのこと、昨日のレンとの出来事、レンにいわれたこと。仲間はずれなんか許すもんか、そんなコウジは1つ、案をだしてくれた。
「じゃあさ、友達になるんじゃなくて、手を組んであげたら?」
「……手を組む??」
ぽかんとして首を傾げるメグに、コウジは付け加える。
「つまり、同じ位置にたつってこと。あ、別にメグもいじめられてこいってことじゃないからね。いま、レンくんはひとりなわけでしょ、ひとりって、自由だけど自分の視野でしかみれないから。狭かったら狭いままでしょ。…力を貸してあげるから、仲間に入れてって言ってきてみなよ。」
「それって、効果あるのかな?」
「友達になりたいって、なってからどうするのさ、メリットがなくちゃ友達になんかなりたくないでしょ、相手側の今の立場からすれば。」
「た、たしかに。」
「それにメグだって、レンくんのすべてを知ってるわけじゃない。自分だけが動くより、レンくんと一緒に動いた方が効率いいじゃん。」
この人はつくづく、頭が良く回るものだ。
メグとは根本的に頭の作りが違うらしい。コウジにごもっともな意見をもらったメグは、再度、隣吏小学校の方角を目指した。
「また……??本当懲りないな、おまえ。」
ワカナやユウリたちが通り過ぎたのを見計らって、メグはレンに声をかけた。呆れたような声をだして、レンは振り返った。
「レンくん、あなたに手を貸す。」
「はい???」
目的は簡潔に。
変な言い回しはしないこと。
「わたし、あなたの力になりたい、だから一緒に手を組みましょ。」
「なにいってんの頭おかしいんじゃねえの?だいたい、オレとなんか組んだら、おまえが標的になる。時間の無駄。かえって。」
言い返されても怯まない。
ビビらない。
「私とあなたには共通点がある。それは、超能力者ってこと。これが使いこなせれれば、バレずに手を組むことが出来るはずよ。」
コウジに言われたことを心の中で繰り返しながら、超能力者である案をだした。
レンは疑いながらも「超能力者同士」という言葉に耳を傾けてくれているようだった。
「超能力、つまりテレパシーを使えば、私達は声にださずとも会話ができる。私、この力上手く使えた試しがなくて。でも、折角持っているのだし、使いたいなって。」
「…作戦は?」
「今、レンくんがしなきゃいけないことは、自分の存在をみんなに知り直して貰わないといけない。あのとき、レンくんが声をあげたらみんなして逃げていったよね。」
「…喋らないって思われてるから」
「そう。つまり、もっと声をあげればいいの。それを私が指示するから、それに従って。」
真剣な面持ちで話を進めるメグ。しばらく耳を傾けていたレンは納得したように口を開いた。
「やだね。」
レンは淡々と続きを話す。
「そんなことしたって、誰も振り向いてくれねえよ、だって現に、幻覚のなかでオレは何度も助けを求めてる。でもあいつらは聞きに入らない。」
「逆よ。」
「は?」
呆気にとられるレンに、メグは続ける。
「助け求めてどうするのよ、あなたが"喋らないキャラ"なのに喋ったから相手は驚いて逃げたんでしょ。助けじゃないの、吠えるの。」
「歯向かうってこと、?」
「そうよ。あなたはいまのところ現状維持が精一杯で相手に威圧しか与えてこなかった。私とタッグを組んで、相手をもっともっとビビらせれば、理不尽な思いはしなくてよくなるはず。」
完璧なコウジのコピーアンドペースト。
これがレンと関わることで繋がるメリット。
へえ。ニヤリと口を歪ませてレンは頷いた。
「…わかった、じゃあ手を組んであげる。」
レンが自ら手を差し出した。
受けてやるよ、そんな雰囲気で。差し出された手には今も尚、いじめの惨劇や本人の葛藤の跡が残っている。メグはその手をしっかり握りしめた。




