交流会と謎の少年
数日たって、交流会の日が来た。
今メグたちは、会場である隣吏小学校に来ている。
「すごい・・・大きな校舎!」
初めて入った校舎、全校生徒は桜小と変わりはないが、校舎はずっと大きくて綺麗だった。
そんな校舎の中のある一つの教室に入ると、そこにはメグたちと同じ小学六年生が待っていた。
代表の先生の話が終わると、いよいよの交流会のスタートである。
(ここにいるひとたちが、中学校で一緒になるんだ…あ、あの子なかなかかっこいいかも…。)
キョロキョロと周りをみながら進んでいるとメグはだれかにぶつかってしまった。
「あ!!ごっ・・・ごめんなさい!!」
「私こそ…ごめんなさい!」
とっさにメグが謝ると相手も同じように返事をする。
メグが顔をあげてみると肩までの綺麗なストレートヘアの女の子がメグの方をみて、にっこりと笑っていた。
「私、月野 若菜っていうの、良かったら仲良くしてね。」
そういってワカナはメグに向かって手を伸ばした。
メグもあいさつを交え自己紹介する。
「私、佐々木 芽久といいます!こちらこそ仲良くしてください!」
「メグちゃん!よろしくね!!」
二人はすぐに仲良くなった。このあとワカナやそばにいた女の子たちと話し込んでいたメグ。
ふと誰かに見られているような、そんな気配を感じた。
振り向くと、そこにはメグより少し小柄な男の子が立っていた。
伸ばしっぱなしの茶色の髪の毛。顔がよく見えないがじっとメグを見つめていることはわかった。
もしかしたら顔見知りかもしれないと、記憶を辿るが思い当たる節はない。
ただその男の子はなにも言わずただまっすぐメグの方を見つめている。
その目は怒りを表しているような、でも少し悲しみがかった、そんな表情だ。
メグを見つめる男の子の存在にワカナも気づいたようだ。
すると素早くメグの手を引き男の子との距離を広げた。
途端にワカナの顔が曇る。ワカナだけではなくさっきまでメグと楽しそうに話していた周りの女の子もみんなそのような顔を男の子に向けた。
「なにジロジロみてんだよ、どっかいけ。」
静かにワカナは告げる。口調もどこか怖い。
でも男の子はひるまず、その場に立ち止まったままメグを直視する。
周りにいた女の子がメグと男の子の間に立った。まるでメグを男の子から守るように手を広げる。
メグはわけがわからずただ立ち尽くす。
「どっかいけっていってんだよ、消えろっていわなきゃわかんないの?」
強い口調で言い放ったかと思えば女の子は勢いで男の子を強く突き飛ばした。
よろけて尻もちをついた男の子はメグから視線をはずして下を向いた。
その瞬間、どっと笑いが起こる。みんな隣吏小の子だ。
だっせーだの、女の子に負けるなよ、だの声が聞こえた。
でも男の子は動かない。
下を向いたまま止まっている。
その間に周りの声は止まない、あまりにひどく見ていられなくなったメグもは声をかけようと口を開いた。
が、その前に下を向いていた男の子はぐっと首を上げてものすごい喧騒でワカナ達を睨んだ。
驚いて固まってしまったメグをみてワカナが再び手を引いた。
「ごめん、もう行こ。」
「う・・うん。」
状況が把握できないままその場から立ち去ることになった。
あとから周りの子にきいてみた。しかし、
「あの子には近寄らない方がいい。」
みんなその言葉の一点張り。
どうしてみんながあの子に白い目線を向けているのかきになったメグはワカナに尋ねることにした。
するとワカナは割とすぐに話してくれた。
「あいつね、小五の時、いじめられてさ、だから友達も一人もいなくて。
めっちゃ自慢男で。初めは女子がウザイウザイっていってたんだけど、それが男子にまで広まっちゃって。いまはみんなあんな感じだよ。しかもあいつさ、なんか予言するんだって。それがすごく気味が悪くて、おもしろがって近づいていた男子たちも近づかなくなったの。小六になったばっかりのとき、うちのクラスの子に
お前は明日死ぬから。
とかいっちゃってさ、嘘だと思ってたら、本当に当たっちゃって…その子、死んじゃったんだよね。」
「予言・・・・??私さっきあの子に見られてたんだけどなにかあるのかな。」
メグはあの子に直視されていたことを思い出した。
「気にすることないよ、なんもいってなかったしさ。でもじっと見つめられるの気味悪かったよね。」
不安そうにうつむくメグをワカナは優しく慰めてくれた。
疑問が残る中交流会を終え、帰路につくメグであった。