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眠り姫 (浸食)
夢と現実の間を彷徨う彼女。
そんな彼女がある時、ふと気が付いたことがある。
自分を取り巻く感情に対しての共感という行為。
見知らぬ者達の理不尽な感情は、その状況を知ることが出来る彼女にとっては
ただの恐怖でしかなかった。
それは、雨の中に傘を持たずに立っているにと似ていた。
だが、容赦なく浴びせかけられた感情によって、ずぶ濡れになった事が
彼女の、自分を取り巻く世界を知る手段となった。
恐らくこの時、彼女の中で生まれた初めての感覚は
みんなが笑顔でいられる世界という願望と、そんな世界を作らなければならない
という思いが、彼女を駆り立てる。
その世界を作り出す為に利用したのが
自分への好意。
両親、祖父母、親戚。
彼らの、自分に対する感情を利用して、その精神の中へ
侵食していく。
それから先は、簡単だった。
彼女の浸食は両親、祖父母、親戚に対して好意を抱く者達を次々に捕食する。
夢うつつの中、好意の連鎖によって造り上げられた彼女の世界。
それは大きく、強固な繭となって、人々を覆い尽くす。




