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ある伝説の物語(不定期)  作者: 佐藤 太郎
3/6

力の片鱗

世界を支配する魔王。

悪の存在の代表として存在する彼は

24H勤務で休みは無かった。

そこで彼は考えた結果、部下に命じた。

「居城を移す。

物件を探すように。

条件は、人里離れた山奥か、絶海の孤島が最低条件だ。

天空浮遊物件や闇世界などがあれば、金に糸目はつけん。

即、契約してくるように。

それと同時に村から人間を雇い、私のCVとせよ。

人数は、そう・・・・・・。

七人。

八時間勤務の三交代、二十四時間で勤務させるように。

有給消化も忘れるな。

くれぐれも、魔王城がブラックだ

などと噂されぬように!」


やがて二週間後、魔王の要望を最大限に取り入れた移転が終わった。

そして魔王城の謁見の間には、七人の人間が集められ

彼らに対して玉座にいる魔王が

「では、後を頼む。

ちょっとこれから異世界バカンスに行ってくる」

とだけ言い残して、姿を消した。


トイレの扉が勢いよく開かれる。

過去の記憶を取り戻して以来、危険を察知する能力が鋭敏になっていた俺にはわかっていた。

扉との間はほんの数ミリ、神のごとき見切りによって避けた後

覚醒した自分の才能に改めて恐怖を感じた。

これほどの能力だ、組織が黙って見逃すはずはない、か・・・・・・。

この時、一瞬だが俺の心はこの世界を離れ、元の世界に捕らわれていた。

そのせいで、トイレから出てきた者への注意を怠っていた。

同時に、個室へと入った瞬間の猛烈な異臭に思わず放った

「くさっ!」

という一言が、この日

朝から俺に不幸を呼ぶ呪文になってしまう。


意識を持った人間は、理性によって自分をコントロールすることが出来る。

但し、それを超える状況に出会った時、人は本能によって行動するのだろう。

俺の言葉は、個室に充満する危険な香りに対して周囲の者達に発する本能的な緊急事態(エマージェンシー)

として家族に伝えられたはずだった。

所が突然、背中をバシバシ叩かれる!

「バカ! 変態! 無神経!」

同時に浴びせられる言葉によって、犯人が姉貴だと確信するが

今は男にとって、最も無防備な瞬間だった為に抵抗する事が出来ない。

ようやく処理が終わって個室を出た時には、姉貴はもういなかった。

今日の事で、小さい頃から親父が言っていたことがやっとわかった気がする。

トイレのドアはちゃんと閉めろ!

っていうのは、こんな危険に対するアドバイスだったんだな、と。

もう、どうしていいやらわからないです。

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