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逝ってきます!ですわ

「髪型」

「毛先も可愛らしくカールし、光を浴びればエンジェルリンクが出来る程艶やかです。椿油様様ですね」

「服」

「深い緑の色にワンピースドレスは襟元や裾に白を使い、落ち着いた色使いに。服には皺ひとつ、染み一つございません。」

「ブローチ」

「グリスの国花である赤いマーガレットをアクセントに致しました」

「靴下と靴」

「靴下は、黒のタイツを。靴は茶色のショート編み込みブーツです。しっかりと磨いておきました」


「顔」

「死んでおります」

「やはりか」


重い溜息をつきながら、私は部屋にある椅子に座るとランファは苦笑を漏らした。


あと30分後にはグリスの城から迎えの馬車が来るため、準備をして最後の確認をランファと行っていた。


しかし、どんなに着飾ろうと緊張などから顔は死ぬわけで、私の専属メイドは物をはっきりと死んでいると言う。


まぁその素直さが、ランファの良い所でもある。

逆に死んでいなかったらどんな顔をしているのか気になる。


するとドアからノックの音が聞こえ、ランファは部屋のドアを開けた。


顔を覗きドアの方を見ると、兄さんが立っていた。


「兄さん、どうしたの」

「よぉシフォン・・・・あぁもう!めちゃくちゃ可愛いぃぃぃ!」

「また訳の分からない事を・・・」

「いえシフォンお嬢様。ロジャード様はシフォンお嬢様の可愛さに耐えていらっしゃるんですよ」

「訳が分からない」


兄さんであることを確認した私は、兄さんの方へ向かうと何故か私の姿を見た瞬間両手で顔を隠し天を仰ぐように可愛いを連呼していた。


ちょっと気持ち悪いが、まぁこれも私の兄さんなのだから仕方ないだろう。


しっかりして欲しいと思うときもあるが、いざという時には本当に11歳か?と疑いたくなるほどしっかりしてくれるので安心も出来る。


けど、しっかりしない時は常にこうな為他の人に舐められないか心配な部分もある。


「兄さん、今日出掛けるんでしょう?」

「あ、あぁ、グリスの街をゆっくり見てみようと思ってな。午後からはカーティスとお茶する予定だ」

「カーティスさんと?」

「サフィラスの展示会以外じゃあまりカーティスには逢わないからな。カーティスも仕事で色々と忙しいからな、一対一で話すのは1年ぶりだ」

「そんなに・・・カーティスさん、普段は何していらっしゃるの?」

「聞いて驚けシフォン。カーティスなあんな良い顔してるが、実際の家は国を守る護衛の家系なんだぞ。しかも裏で働く暗殺を専門とする家系」

「ひえぇ・・・人は見かけによらないね」


なんでそんな偉い人が、絵の管理を任されているのだろうか。


まぁでも、それはカーティスさんに任せておいても大丈夫だと、国王が判断したからだろう。


カーティスさんの家の意外な裏側が分かり、緊張を紛らわせるために兄さんと単純な会話を交わしていると、奥から軽装備を身に付けたラムが近づいてきた。


「シフォンお嬢様、城からの馬車が到着したとの事です」

「もうそんな時間・・・有難うすぐ向かうわ」

「頑張って来いよシフォン。もし何かやらかして死刑になったとしたら俺も一緒に死んでやるからな!」

「兄さん・・・・・本当に洒落にならないからそんな事言わないで」

「おいおいそこは『兄さん、カッコいい!大好き!』ってなるところだぜ?」

「ごめんなさい兄さん、今の私にそんな余裕はないの。じゃあ逝ってくる」

「シフォンお嬢様、文面でしか分からないミスはやめてください」


ランファの突っ込みに耳を傾けながらも、私は兄さん達の元を離れた。


その時、ランファから「右手と右足が同時に出ております」と忠告され、何とか人間らしく真面に歩く事は出来るようになった。


今回城にランファは着いて来ることは出来ない。

着いて来れるのは、近衛騎士であるラムであり、プレッシャーに震えながら私は馬車に乗り込んだ。


「大丈夫ですか、お嬢様」

「えぇ平気よ・・・変な事を言わない様にしないと」

「そうですねぇお嬢様は、物をバッサリというお方ですし行動も少々お転婆ですから」

「ラム、貴方も大概バッサリ言うわよ」


本当に、私の周りにいる人たちは良い性格をしている。勿論皮肉を込めているけど。


けど、そんなランファやラムのお陰で緊張が解れている事も確かだ。


大きく息を吸い込んで、吐き出す。

そして、窓を覗き込んで外を見てみると、ほのぼのとした良い気候で改めて平和だという事を思い知らされる。


「シフォンお嬢様は、ウィル王子に逢われるのが嫌なのですか?」

「えぇ?!いきなりね・・・別に嫌じゃないわよ、ただ」

「ただ?」


如何しよう。なんて言えばいいんだろうか。

さすがに『小説の中のキャラクターに会う事により、これ以上変な運命を作りたくないから会いたくない』だなんて言えない。


正直言って如何して私が此処まで、小説のキャラクターに会いたくないかと言えば簡単な話だ。


『リリーと魔法の王子様』という話しに巻き込まれたくない・・・ほら至極全うな理由でしょう?

私は考えに考えた。寝る間も惜しんでどうしたら幽閉されず、死なない未来を迎えられるだろうかと。

そしてついに私はある考えに辿り付いたのだ。


元々関わらなければ良いんじゃない?と。


この小説の中では、リリーが落ちてきてアンタークがリリーを城に招き入れる事から始まる。


アンタークの人脈やらで、アクアやウィルたちに出会い仲良くなっていく。


その過程でアンタークの婚約者である私、シフォンとリリーは出会う。


シフォンは自分には向けてくれないアンタークの顔を見るリリーに激しく、嫉妬する。


それで、なんやかんやあってシフォンは断罪され幽閉。のちに発狂して死ぬのだ。


それを何とかして阻止したい私は、考えに考え抜いた結果リリーとアンタークを会わせないという考えに至ったわけだ。


リリーを助けるのがアンタークではなく私で、アンタークの城ではなくラピスラズリ家の屋敷に招き入れれば良い。


そして、リリーの事は内緒にして・・・いや隠し通せるのだろうか。

今現在私はアクアと婚姻を結んでいる身。


お互い家を行き来する事もあるだろう。

だとすれば、どうやってリリーの存在を隠そうか。


「お嬢様?」

「あ、あぁごめんなさい。なんで会いたくないかだったわよね、まぁ単純になんていうか王族の方にお会いするのが怖いだけよ」

「公爵家のお嬢様のシフォン様でも、ご緊張なさるんですね。でもそれはアクア王子の時で僕も学習していますが」

「ならもう良いでしょう。あ、そうだラム。私貴方に質問したい事があるのよ」

「はい、答えられればですが」

「もし貴方がかくれんぼをするとして、貴方だったら何処に隠れる?」

「かくれんぼですか・・・」


ラムは顎に手をやり俯き、如何にも考えてます感を出しながら考えていた。

しばらく考えていると、思い付いたのかハッとした顔をして、此方を向いた。


「僕だったら、人込みに紛れますね」

「人込み?人の多いところに隠れるという事?」

「ランファさんの国ではこういう言葉があるそうです。木を隠すなら森の中、人を隠すなら人の中、だと」

「つまり、人の多い所に紛れて視界から消えるという事ね」


だとしたらリリーを隠すなら、人の多い所?

ラピスラズリ家で人の多い所と言えば・・・そういえばラピスラズリ家はメイドが多いわね。


じゃあ、リリーをラピスラズリ家のメイドとして雇えば万事解決じゃない?!

小説の中でもリリーは掃除や料理を熟す家庭的な子だったはず。


なら、ラピスラズリ家のメイドぐらい出来る!!

そしてリリーを【ラピスラズリ家のメイド】であり、空から降ってきた不思議な少女にしなければ良い!


アクアやアンタークたちにはリリーの事は内緒にして、あくまでリリーはラピスラズリ家のメイド!


リリーとアンタークの出会いをなかった事にし、リリーをメイドとして雇い主人公の座から引きずり落とす・・・。


そうすれば、リリーの存在はアンターク達には知られず、そしてリリーもアンタークという存在を知らないままに終わる!


そしてアクアと結婚する事になったら、リリーをラピスラズリ家の力を使ってそれなりに幸せになれる家へ嫁がせてしまおう。


その為に、なんとしても乗馬の許可を母様に貰わないとね。


私の考えは完全に悪役っぽいが、仕方ない。

だって私、元悪役令嬢なのだから。


思いっきり原作をぶっ潰す事になるがこれも生きる為。

自分を正当化させろシフォン。


どうにかなる!どうにかなる!!


「あ、お嬢様。城の門に到着しましたよ。ご準備ください」

「・・・・・まぁどうにもならない事のほうが9割よね、うん知ってますのよ、私」


その時、私の目は据わっていたと後々ラムは私に教えてくれた。

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