1章 6話 朝ごはん
朝です。
朝
修斗は横で寝ているディーネをよそに、先にお風呂に入ろうと部屋を出た。
流石にまだ日が出て間もないので、二人はまだ起きてないようだ。
着替えを持って修斗はリビングに出た。
そして結局昨日夜は入り損ねたので、早朝にゆっくり入る事にした。
シャワールームは昔とは大違いで、壁に植え付けられた赤い魔石で調節するようだ。
赤い魔石には目盛りがついており、ひねるだけで温度が調節できるようだ。
温度は同じ℃単位になっているようで、試しに40℃に合わせてみたら体感温度40度くらいの温度のお湯が出た。
そのほかにも多くの事を振り返った。
そして一番気になった事は、
「魔力を持つ動物、いわゆる魔物は別次元にすべて消えてしまいました。いわゆる魔族もです。かれらがこちらの世界に来る時は、上空に【ディメンジョンゲート】と言う魔法を発動して、別次元よりやってきます。
なんども襲撃されました。彼らは昔ほどではないですが、以前強力な存在です。今の魔術では到底かないません。やはり、昔のような強力な魔法がまだ欠かせないようですが、今では古代魔法や失われた魔法として誰も使えません。私や修斗さん達以外。なので、決して【魔法】を使わないでください。もしその力がバレたらあらゆる国があらゆる手段を使って修斗さん達を手に入れようとするでしょう。いいですか?くれぐれも、お願いします!」
柑橘系のにおいがするセリアの洗髪料と石鹼を拝借し、その後お風呂から上がった修斗はその事についてまだ考えていた。
今の自分の姿は昔と同じ姿だ。
見る人に寄っては10代後半に見えるだろう。
キッチンの巨大な冷却器の中からいくつか食材を拝借すると、コンロらしき物に魔力を通して鍋を温め、朝ごはんを作る事にした。
幸い、食材は昔と同じものがほとんどで、未知の食材に慌てふためく必要はないようだ。
ただ、いくつか存在しない食材もあったので、修斗は魔法で作りだす事にした。
熱した平鍋に卵を入れて、目玉焼きを全員分作る。油は必要ないようだ。魔術で【不粘】が付与されている優秀な鍋らしい。
それと同時にシャキシャキとした野菜を小口に切っていき、柑橘系の酸味があるタレをかけて目玉焼きと一緒に食卓に並べた。
「女性が朝に弱いから、少なめがいいのかな?」
それから魔法で作り出したフランスパンに切り口を入れて、冷却器にあったトマトのような果物と、レタスのような葉っぱと、新鮮な豚肉を薄く切って挟んだ。
「サンドイッチには少し隙間を開けておこう、目玉焼きを挟むのも美味しいよな」
修斗は嬉しそうにそう言った。
修斗は魔法で、食卓にならんだ料理の時間を停止させて、別の料理に取り掛かった。
「そうだな、コーンスープとか好きかな?」
修斗は小さな底深鍋を取り出し、鍋の中に牛乳、少しのバター、トウモロコシを入れて迷うで撹拌、圧縮、加熱しながらキッチンの片づけを始めた。
丁度コーンスープも出来上がり、盛り付けを終えて時間停止させてキッチンの片づけが終了した頃、セリアが寝ぼけ眼でリビングに出てきた。
「....ふぁ~おはようございます~すぐにご飯作りますね~」
「おう、おはよう、朝は紅茶?」
「はい~....カモミールがいいです~」
そう言いながらセリアは洗面台に向かったようだ。
次に起きてきたのはセイラのようだ。
「うーん、まだ眠い....」
目をこすってふらふらしながらリビングに出てきた。
「おはようセイラ、牛乳でいいかい?」
「はい、牛乳がいいですお兄ちゃん....」
「分かった、ごはん出来てるから顔を洗ってきてね」
「....はーい」
セイラもセリア同様、ふらふらしながら洗面台へ向かって行った。
最後はディーネが起き上がってきた。
「ディーネ、顔が怖いぞ」
寝起きのディーネは恐ろしい。
長い髪は寝ぐせで広がり、顔色は青白いが、眼だけが爛々としている。
「わが君.....うーんわが君ぃいいいいい!」
ディーネは修斗を発見すると、物凄い速度で抱き着いて来た。
「あああわが君わが君くんかくんかいい香り....わが君二ウムが足りませぬクンカクンカ」
「ハイ、ディーネは甘えん坊だな」
修斗は胸に顔をうずめたディーネを頭を撫でながらそう言った。
「くぅ~ん。朝はわが君がいないとだめなのですぅ...」
撫でられながら嬉しそうにそう答えた。
それからしばらくして、ディーネは満足したようで、修斗から離れた。
「わが君、この食事はわが君が?」
「ああ、そうだ、口に合うかわからんがな」
「いいえ!いいえ!わが君の作ったご飯が美味しくないはずがありません!」
ディーネはそう言って食卓の椅子に座って待機した。
魔法で時間停止されているので、先に食べる事ができないのだ。
それから修斗もディーネの横に座って、ディーネとイチャイチャしていると、物凄い勢いでセリアとセイラが飛んできた。
「しゅしゅしゅ!?修斗さんのご飯!?」
「おおおおお!?お兄ちゃんのごはん!?」
二人はものすごい勢いで席に着いた。
「【再開】、それでは、召し上がれ」
修斗は魔法を解除すると、おのおのご飯を食べ始めた。
「う~ん!この牛乳美味しい!なんでだろう!いつもと同じはずなのに!」
「この紅茶の香ばしい匂い、一体どんな入れ方をすれば....」
「わが君、このサクサクとしたものに挟んだものはなんですか?」
それぞれ食事に満足しているようで、修斗は嬉しそうに質問に答えながら自分も食事を勧めた。
食事も一段落した頃、セリアがこう切りだした。
「修斗さん、ディーネさん。うちの学園に通いませんか?」
「それだ!お姉ちゃん!」
「理由を聞いても?」
「いくつかあるんですが、修斗さんはもはや伝説上の英雄になっています。魔人殺しの英雄、武闘大会の制覇者、温泉村の救世主などなど、修斗さんを神として崇める宗教も出来てるんですよ?なので、修斗さんには私達の元で保護しようと思いまして」
「......................」
修斗は少し考えた。
「お兄ちゃん!いいよね!?」
セイラも修斗にそう言った。
「まあ、俺はまだ今の状況をよく理解していないし、国外から帰ってきたばかりだし、ちょうどいいかな」
「そう言えば修斗さん達はどこに行っていたんですか?」
「うーん、別次元かな」
「え?修斗さんも魔族と同じ次元を移動する魔法を持っているんですか?」
「ああ、いけるぞ」
「絶対に使わないでくださいね」
「ああ、分かった」
修斗は最後にもう一つ付け足した。
「セリア、学園長って言われてたよな?それに昨日襲ってきたのも?」
「そのことですか。まあ、今は学園も休みですし、今話しますね」
セイラは一息置いてから切り出した。
「今ではそよ風商会は世界最大の企業になった事は説明したと思います。その中でも、最先端の教育機関である【聖シュウスト学園】の学園を統括しているのがこの私、セリアなんです」
「そしてその学園の中で風紀委員長をしているのが私なんだよお兄ちゃん!」
「そうか。ところでなんでセイラは俺の事をお兄ちゃんと呼ぶんだ?」
「お兄ちゃんは私より年上でしょ?だからいいよね?」
「まあ。いいか」
「やった!」
「それでセリア、学園に入るためには何がいるんだ?」
「そうですね。制服や教科書はこちらで用意するのでいいのですが、修斗さん達の実力を測定する必要があります」
「ギルドカードではだめか?」
修斗はアイテムボックスから長らく使用しなかったギルドカードを見せた。
「修斗さん。先ほども言ったように修斗さん達が生きた時代は今では古代です。そのような古代の超文明の物を取り出すと研究者に奪われて研究された挙句に博物館に飾られますよ?忘れないでくださいね。あなた方は歩く化石のようなものなんですから」
「....歩く化石って....」
修斗はなんとも言えない気持ちでいっぱいになった。
「とりあえず、まずは制服を作りに行きましょう。いつまでも魔法で偽造してても仕方ないですし」
「そうだな」
四人は私服に着替えて街に出た。
これ実質デートでは?
うらやましいです。




