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チート転生者は平凡を目指す  作者: 瓜生ヶ崎
22/70

3章7話 お母さん。

お母さんが出てきます。

朝になった。

「…ふふ。ご主人様の香りがします。こっそり早起きしておいて良かった。昨日はいい夢を見れましたし」

「どんな夢を見たんだ?」

「え?私の攫われた宿屋が物理的に潰れて、黒騎士さんやご主人様があの宿屋の人達をみんな断罪したてうぃえぃ!?ご主人様起きてたんですか!?」

「ああ、起きてた」

「どこから起きてたんですか?」

「ふふ。ご主人様はいい香りが…「わーわあー!最初から全部聞いてるじゃないですか?!忘れてください忘れてください!」

「やーだよ」

そんな子供っぽい事を言うと、修斗はユーをベッドに残したままシャワー室に行った。

「俺は朝のシャワーを浴びてくるから、ユーは先に着替えてくれ。あとはそろそろお前の装備を整えようと思うから、色々準備しておいてくれ」

「わっ、わかりました!」

修斗はシャワー室へ、ユーは修斗に貰ったカバンを何やらガサゴソと用意しだした。


シャワー後


修斗が新しい服に着替え、水魔法と生活魔法で脱いだ服とかを洗濯していると、ユーが大声を出して固まっていた。

「うおっ!?急に大声を出してどうしたユー!?」

「ご主人様〜ぐすっ。ご主人様に貰った下着が〜ぐすん」

「え?下着?洗ってるけど?」

修斗は水魔法で生み出した水球の中でぐるぐるしているユーの下着を指差しながら言った。

「あー!なんだ、ご主人様が持ってるですねきゃぁああ!ご主人様恥ずかしいですのでやめてくださぃいいい!」

「え?自分で洗うの?【生活魔法:中級】まで使える?」

「う、私は初級までしか使えません」

「まあ別に自分で洗ってくれてもいいんだが、中級の【衣服洗剤】がないといくらフクが作ってくれたとは言え流石に着心地悪化するぞ?」

「うっ。それは」

「それに俺は上級の【高級下着専用洗剤】も使える。それでも自分でやるか?」

「いや…お願いします」

「ん。だろうな。生活魔法を真面目に勉強しなかった罰だな。…むしろあえてユーにやらせるべきか?」

「ええ!?それはご勘弁を!ご主人様ぁ〜!」

「ええい!わかったからくっつくな!」


そんなこんなで支度をし、部屋を出た。

「ユー。とりあえず飯だ。俺はスキル【調理】がカンストしているがやはりきちんとした物が食べたい」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

スキル【調理】

あらゆる食材の〈調理方法〉について上手くなる。

味付けとか見た目とか極めたいなら、【料理】と言うスキルがいる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あれ?ご主人様は【料理】もカンストしてませんでした?」

「いやまあそうなんだが、ここはセイラちゃんの言っていた料理が食べたい」

そんな会話をしつつ、修斗はふと気づいた。

「ユー、フード被ってないし、耳は元の姿のままだがいいのか?」

「ええ。昨日冒険者ギルドを見に行った時に、他の種族の方も一般的な扱いを受けていたのでまあいいかなと」

「まあ、お前がいいなら俺はいいや」

そんなたわいもない話をしているとセイラが元気に挨拶してきた。

「おはようございますお兄さん!ユーフェミアさん!今日もいい日になりそうですね!」

「ああ、おはようセイラちゃん」

「おはようございますセイラさん。それから私はユーと呼んでください。なんだがその名前は慣れなくて」

「わかったよユーお姉ちゃん!」

「お、お姉ちゃん…」

ユーは耳まで顔を真っ赤にして感激しているようだ。

「セイラちゃん。とりあえず食堂に案内してくれないか?」

「はい!良いですよ!こっちです!」

セイラに案内されて食堂へのドアを潜った。

木の机と椅子でなかなか清潔感のある食堂だった。

朝はどうやらビュッフェ形式らしく、目を惹く料理が所狭しと並んでいた。その中でも特に目を惹くのは、おそらく料理長のパフォーマンスだろうか。

女性にしては背が高く、おそらく180cmあるだろう身長に、ドワーフもびっくりするような腕の太さ、そして何よりも目を惹くのがその女性の前に並べられた10数個あるフライパンのような物と中華鍋だった。

「ん?おはよう冒険者諸君!今日も一日しっかり食べて頑張ってくれたまえ!朝はブッフェ!昼もブッフェ!夜はコースメニューだ!横に木の皿があるから、皿に入れたものは綺麗に食べてくれ。食べ残しは許さん!」

まだ20代にも見えるような綺麗な顔なのに言ってる事が50代の貫禄あるおばちゃんその物だった。

「お母さんおはよう!今日はお客さんがいるよ!やっと1人捕まえてきたんだ!」

「何!本当か!ここ数年全く客がいなくていつも料理を近所にお裾分けしていたがその必要もないようだな!よし!今日はもっと奮発するぞ!」

そう言うとお母さんはさらに5つの中華鍋を取り出そうとした

「ちょっちょちょ!待ってくださいお母さん!」

「誰だお前は!貴様にお母さんと言われる筋合いはない!」

お母さんがこちらを向いたかと思うと、同時にフライパンを五つ投げてきた。

「うぉっ!?」

修斗はユーを庇ってその場に伏せるように回避した。

「もう!お母さん落ち着いて!昨日夜にお姉ちゃんの手紙読んだでしょ!」

「ん!?なんだそれは!?知らんぞ!」

「もう!ちゃんと読んであげたでしょ!思い出して!」

「ん?……あっ!うちのセリアの婿候補か!」

「そうだよ!もう!私は先に買い物に行ってくるね!」

そう言うとセイラは部屋を出ていってしまった。

「なにそれ聞いてないんですがぁあ!?うおいなんでこのフライパン追尾してくんの!?」

修斗は未だにフライパンから逃げていた

「これはすまない婿候補殿!そこらへんに腰掛けてくれ!」

セイラのお母さんが空中でフライパンに手招きするとフライパンがまるで躾けられた犬のように一直線に帰っていった。

「た、助かった…」

「婿候補殿、いきなり攻撃してすまなかった。お詫びにここの料理は自由に食べてくれ」

「は、はい。いただきます」

「ご主人様!どれもとても美味しそうですね!どれも出来立てみたいですよ!まだアツアツです!」

「ああ!そうさ!私の料理は〈出来立て〉〈満腹〉〈絶品〉をモットーにしているからな…まあ、食べてくれる人がいないのなら意味はないが……」

そう言うとお母さんは悲しそうに俯いてしまった。

「…やっぱり料理は食べて欲しいですよね…」

「ああ、そうだな。食べて喜んでもらう事こそ料理人冥利に尽きると言うしな」

「なら、今から大量の腹ペコ達を呼ぶんですけど良いですか?」

「…腹ペコ?一体何処から?うちは見ての通り閑古鳥が鳴いているが…」

「僕の召喚獣などです。秘密にしてくれるならここの料理を食べ尽くしてくれるかもしれませんよ?」

それを聞くとお母さんは修斗の肩を掴んで期待に満ちた顔で聞いてきた。

「かまわん!私は料理さえ食べてくれれば誰だろうと構わないし言いふらす気もない!もとより宴会場のような広さの食堂だ!存分に呼んでくれ!」

「いいんですね?後悔しても知りませんよ?」

「構わん!足りないのならまた作るさ!」

「はは。それじゃ、行きますよ?」

そう言うと修斗は地面や空中に無数の召喚陣を展開した。

「ふぁ〜。キレー」

ユーは無意識に、朝日に当たって幾何学模様に輝いている魔法陣に向かってそう言っていた。

すると、その魔法陣から見た事もないような生き物達が出てきた。

オークのような顔なのに一切の贅肉がない引き締まった身体を持つオークや、近くもの全てを焼き払う炎龍が擬人化した綺麗な女性のドラゴニュートや、可愛らしい子供を持つ触れたもの全てを凍らす白虎や、死してもなお炎より再び生まれる鳥や、もはや言い伝えにすら残らない伝説の妖精など、さまざまな生物が出てきた。

「ほら、お前ら、飯だ。ここの飯は絶品らしいからな。タレ一つ残さず食えよ?、ただし?料理を貶すな!貶したやつは二度と飯をやらん!いいな!」

「はーい!」

そう言うと数多の召喚獣たちは種族の垣根を超えてみんなで楽しくご飯を食べた。

その中には当然ユーや修斗の姿があった。

(絶対に仲良くする事のない犬型の召喚獣と猿のような召喚獣が食事を分け合っている?そっちのエルフのような美形の兄ちゃんはドワーフの兄ちゃんと笑いながら酒を呑んでやがる。どうなってるんだ!?)

セイラのお母さんは戸惑っていた。だが内心とても嬉しかった。まるで自分の料理でみんなが一つになっているような感じがした。

(なんだい。これじゃあ私の現役の頃と変わらないじゃ無いか。なんて嬉しい事してくれるんだい)

そんな事を考えていると、目の前に犬のような召喚獣がお皿を目の前に来て置いた。

何事かと思い、犬と目が合うと

(料理長殿。さぞかし敏腕の料理人と見た。またあの、骨のついたほろほろの煮込み肉をくれないだろうか?)

(な!?これはテレパシー!?上級精神魔法のはず!?なんであんたが使える!?)

(まあ、そんな事よりあのほろほろの骨つき肉を…じゅるっ)

セイラのお母さんはそんな犬の気持ちを聞くと、突然大笑いした。

「あっはははっはは!やってくれるじゃないか婿候補…いや婿殿!あんたの事気に入ったよ!こんなに腹ペコ共を用意しやがって!腕がなるじゃないか!本気で行くよ!食いたいものを私に言いな!なんだって出してやる!」

「ワン!(ほろほろ骨つき肉を!)」

「にゃー!(白身魚の白ワイン煮込みを〜」

「ガオー!(息子に鳥の丸焼きを食べさせてやってくれ!」

「くかー!(小魚の素揚げ!レモン付きがいいです!」

「俺はこのドワーフ野郎と今から飲み比べをするから一番いいつまみをくれ!」

「ああん!?俺と飲み比べだと!?いいじゃねぇか!木の実ばっか食ってるお前には負けちゃいらねぇな!」

「「がっははは!」」

そんな光景を見たセイラのお母さんはこれ以上ないほど興奮していた!

「うおっしゃー!任せなぁ!」

そう言うとお母さんは急に蹲った。

みんな何事かと思うと、お母さんの体が急激に大きくなり、まるでミノタウロスのような高さになり、オーガよりもゴッツくなった。

そして目の前には20を超えるフライパンや中華鍋が並び、それに使って一斉に料理しだした。

「ワンワン!(何!?なぜ1人しかいないのに一斉にフライパン達に火がつくんだ!」

「にゃ、にゃー!(違うはよく見てワンさん!コックが5人!?いや6人!?」

「くかーくかー!(これは分身!しかし実体を持っている!)」

「ぐるるる、がおぉおおおおお!(ワシはこれを知っておる!昔に戦った事あるわ!分身してるのに全てが実体!しかも全て独立した思考を持っておる!このスキルは【実体分裂】じゃ!」

「「そんな事より飯だぁ!つまみをくれぇ!」」

最終的に30を超えるフライパン等を20人のお母さんによって使いこなし、常識外れの腹ペコ達をこれほど無いくらい満腹にさせた。

「うおーあいつらはあんなにはしゃいだのいつぶりだー?」

「あらあら〜皆さんったらはしたないですわよ〜、この豆のスープはとても美味しいですわね〜。いくら飲んでも飽きませんわ〜」

「この炒めたご飯超美味しいです!はっ!?新しい服のアイデアが浮かびました!」

「この麦から作られたお茶も美味しい。喉を通る清涼感が好き」

修斗の精霊達も非常に満足した模様だ。


数時間後


「全員食ったなー?満足したかー?」

「「「「「はーい!」」」」」

みんな幸せな顔でお腹をさすりながらまた召喚陣から帰っていった。

それを見届けたお母さんも通常モードに戻った模様。

「婿殿!」

「修斗だ。今回はうちの召喚獣達を満腹にしてくれてありがとう。彼らの幸福感が全部俺の中に流れてきた。どうやら本気であんたの料理は気に入ったようだ。またよろしく頼む」

「ああ!私のことはセラって呼んでくれ!私も久しぶりに本気で料理が出来て楽しかった!いつでもいいぞ!」

セラは修斗と同じくらいの身長なので、まっすぐと修斗の方を見るとこう言った

「お代は入らない。その代わりあのネバとか言う冒険者に勝ってくれ。私もあいつの事はあまり好きじゃない。対して私の料理を食べない癖にやたらと文句ばかり垂れるんだ」

「任せてくださいセラさん!セラさんの野菜ハンバーグを悪く言う人は絶対に潰します!」

「ユーお前そんなキャラだっけ?…」

どうやら食べ物の前ではどんな人も本当の姿が出るようだ。そんな会話をセラとしていると、食堂に1人の男性が入ってきた。




























「あれお母さん!僕の朝ごはんは!?」

エルフのような綺麗な男性が入り口でショックを受けていた。

通常時のお母さんはラ○ウをイメージしてくれると大丈夫です。

本気時のお母さんはもはや魔物と見間違えられます(笑)

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