魔法スッゲー
夜、焚き火をしながらルベリーとチーザースが作った料理を頬張る。衛兵、傭兵といってもお嬢様も囲う食事だと普通になるらしい。まずもって一緒にっていうのは何か違っている気がするが、サキがどうしてもとごねた為ルベリーは諦めているらしかった。
「美味しいー!流石ルベリーのチーズフォンデュは美味しいよ!」
サキが舌包みを打つ。
「やっぱりチーズ関係なのね。それにしても衛兵の皆は干し肉のフォンデュで大丈夫なのか?」
「大丈夫です。普段の遠征はレーションだけなのですが・・・。」
「マジかー!俺だったら無理ですわー!」
「マジなのよ!これが。衛兵って言っても傭兵起用だから金が無いらしくって、他の任務就けなくなっちまうぜ!あーうま!」
赤髪クラインはそう言ってガツガツ飲み込んでいく。彼らにとってはどうやら相当なご馳走らしかった。
「そう言えば焚き火焚いてますけど、モンスターは寄って来ないのか?」
「虫だけは寄ってきますけど、獣系モンスターと虫系モンスターは大抵は寄り付きません。」
「虫系も?普通火に寄ってくると思っていたけど。」
「よく分かりませんが、知能ある虫系は寄って来ません。無能が寄っては・・・・・・・・・・・来ました!」
クルルは悠に説明していると、途中で話を切り上げてある方向をみた。
(確かあっちは森があったはず。)
悠は日が落ちきって無いうちに見えていた森を思い出した。
「アルルヘヴィア・・・・・・・・」
黒髪の衛兵プラマラスは寄ってきたモンスターの名前を言う。悠には全く見えなかった。
「アルルヘヴィアだと?‼あれは確か森の奥にいるはず。何故ここに?」
「今ここで言っててもしょうがない。障壁を頼む。」
ウィリアムがメガネのニコラスに指示を出した。
「う、今出せるのは銅の壁だけですよ!」
「構わん‼早く防御を。」
『地に散らばりし精霊よ、銅よ、我が願い聞き入れよ。銅杓壁』
ニコラスは地面に手を付いて詠唱すると、銅らしき壁が出来上がる。平ぺったい壁が花弁のように周りを囲う。
その数瞬後、羽音とともに何かがぶつかる音が聞こえる。
「3千はいる」
プラマラスが数を言う。
「3千だと‼」
「団長!アルルヘヴィアは酸を出す魔物。銅杓壁では直ぐに突破されますよ!」
「では、炎の魔法で・・・」
ウィリアムがそう言うと
「私に任せて!」
『三唱奉る。炎霊よ・・・・・・・』
とそこで副団長が止めに入る。
「お待ち下さい!壁がある時にやっても効果が有りませんし、窒息してしまいます。また壁を解除しても炎の魔法で酸を完全にはどうにも出来ません‼触れたらお仕舞いですよ!」
「くっ、どうすれば」
皆が絶望的状況に陥ったと思った時。
「スッゲー。魔法スッゲー!」
場違いな声が聞こえる。もちろん悠だ。
「あ、あの、悠?この状況分かってる?」
「分かってるって・・・。ニコラス。鉄かマグネシウムの壁って出来るか?」
「は?鉄は出来ますけど、鉄何て銅よりも弱いでしょう?」
悠は黒髪の反論を無視して続ける。
「酸で溶けた金属粒子をその場で固定出来るか?」
「何言ってるんですか?さっきから」
「出来るのかって聞いている!」
「え、ええ出来ますけど。」
「ならよし。次に言うことをやってみてくれ!」
「へ???????」
何故鉄かマグネシウムと言ったか悠君の考えを当てて見てください!(本当に出来るかは・・・・・魔法無いので実験は出来ませんが、高校化学の知識です)