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最弱研究者の異世界探行  作者: 鏡華楓月
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決意と区画整理

遅くなりすみません。ちょっと内政チートします。まあ、他国では既に魔法で補っているので、大丈夫でしょう。そう考えると他国の方がチート。

 悠は立ち上がる。無くなった右足方向の腕に木の棒を持つ。それを杖にして立ち上がるが、直ぐに倒れる。松葉杖のように脇で体を支えるようにするならまだしも、ただの棒だ。体重は掛けにくい。更に…。


「足が無い方じゃなくて、その反対でつくのが正解って奇妙だったけど、分かった気がするよ。」



 悠は何とか歩いて外にでる。すると数人が悠を見て直ぐに小走りで避けるように逃げる。今まで仲良くしてくれた人も何かと逃げる。悠が声を掛けるまでもなく、あからさまな態度だった。



「ちょ!?なんで逃げるの?」



 その声に反応せずにそそくさと皆避けていく。悠は仕方なく工事現場に行ってみる。すると、そこでは工事は続けられていたが、人数は半分にまで減っていた。



「おーい!ジャン」



 一番良くしてくれた人、はげオヤジのジャンに声を掛けた。ジャンはこちらを見ると、気まずそうに近づいてくる。



「なんだ?俺が怪我して作業は進んでないのか?」



 二カッと笑って見せる悠。人は雰囲気で動いている物だ。悲壮感漂う相手のペースに乗ってやる必要はない。そもそも、人を巻き込みこれから大きな事を成すのだ。一人の影響を与える事が出来なくては大事は成すことは出来ない。


 ジャンはホットしたように、向こうも笑ってくれる。



「そういう悠こそ下手打ったな。その、悪かったな。俺たちが水を…」



 人は脳のスクリーンという物がある。簡単に言うと意識している物は必ず1つだという事。そしてジャンのそのスクリーンに映っている物というのは今回でいうと、”悠が怪我をした”という事だ。しかし、脳の仕組み上、そのスクリーンは簡単に変える事が出来る。



「ああ、元々力仕事無理だから。丁度良かったよ。でも、安心してくれ!その分頭脳で挽回するから。どう?また地震が来てたけれど、建物壊れる気配ある?」


「いや、無いな。これは凄いぜ!確かに頭脳戦なら悠は凄いな。これなら定住が出来る。夜自身に怯える必要が少なくなるな」




 先ず空気感でポジティブに感じている事を伝える事によって、マイナス感情を持つ必要がないという事で、ジャンの持っている申し訳なさを否定させる。そして、次に悠が進めたい建築の方の話をすることで、ジャンの頭のスクリーンを建築へと変える。


 ついでに地震がまた在った後に建物が壊れてない事も確認している上で聞いている為に、確実に自分の頭脳戦としての有意義及び悠の価値を示す。


 また、頭脳戦特化にするという宣言に一貫性を持たせる布石にもなる。



「このまま家をいくつか建ててしまうな。」


「ああ、頼んだ。因みに建物だけでなく、土木工事としての区画整理、道路と上下水道の案、治水の案を作ってきてあるから、ジャンに頼みたい。ちなみに許可も取ってる。」


「ん?どれどれ?は?なんだよこれ!こんな細かく?なるほど、道路の区画は中央に大きな道を作ってそれを基準に四角く道を引く感じか。そして、道の端に土魔法で側溝?を作って貯水池に流れるようにする。


 川からの流入を上流から大通りに沿って地下を排水し、余った分を下流へと流す。各所水が引けない場所に井戸?を作る。穴掘るだけで水が貯まるのを利用するのか。


 排水はまた排水する池?を作って森に流すと。ああ、あそのこの木は水を良く吸うからな。汚い水でも処理はしてくれるか。半分魔物の木だから栄養になる?え?魔物図鑑に載ってる?」





 ジャンは一つ一つ悠が作った案に沿って丁寧に確認する。悠は補足しつつもジャンの質問にも丁寧に答える。






「え?測量器具?スチールテープ?簡易レベル?水平器?こんな長い糸どうやって使う…、ああ、区画するのに確かに直線が分かると便利だな!」




 悠は測量道具を図に書いて作成依頼もする。






 スチールテープとは50mまで、メモリを振った紐状の物だ。これを使えば、引いた図面を元に現地にポイントを振る事が出来る。


 例えば四角い建物を建てるとする。一つの角に立ち、図面のその場所に立つ。そして図面は200分の1の縮尺で書かれているため、定規で測りその数字を200倍にしたポイントが現地に落とすポイントだ。


 大体の区画整理をしてからある程度この測量を歪ませる必要はあるが、(測量誤差があるため。紐のよれや、引っ張った時の弛み、風の影響、ヒューマンエラー等による微量の誤差が積み重なる為)凡そこの通りに家の配置を決める事が出来る。


 



 簡易レベルについては、簡単な望遠鏡を土魔法でつくり、その中心に十字の刻みをいれる。その望遠鏡に三脚と水平器(小指程の円柱のガラスを上面だけ微妙にドーム状にして中に水を入れる。気泡を少しだけ入れれば水平器の完成。)


 使い方は、望遠鏡を水平器で水平にセットして、望遠鏡で高さを見たい場所に置いた棒をのぞき込むだけだ。現代日本でも使われているが、おそらくそこまで正確な物ではないだろう。チルチングの機能、ましてやオートで水平を合わせる機構の作り方は知らないし、細かく作る技術も無いのでここまでが限界だろう。




 もう一つ。水平器を作る。直方体の棒に円錐を横にしたものに上になる部分だけすこし弧を描くように作る。後は前述のように水をいれ、気泡で水平が分かる。




「これで家を作ってくれ。後、それぞれの職業に沿った建物の計画もするから、商業施設に関しては設計を要求してくれ。」


「分かった。けど、ちょっとは寝ろよ?よく見たら目の下に隈が出来てるぞ?」


「ああ、後は任せた。」


「ああ、任された」


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