デジャブ
[マーク]
移動開始から4時間、俺は何とか目的のビル付近まで辿り着いた。
やはりこのビルは他の建造物と比べて郡を抜いて巨大だ。
見上げるだけで首が痛くなりそうな程高く、今にも倒れて来そうな恐怖感すら感じる。
その大量の窓からは今にも人が顔を出しそうな生活感が滲み出ていて少し不気味だ。
正面の扉の数メートル程手前に門が設置されており、そこには二つの影が見えた。
武器を手に近づいて行くとその影はみるみる近寄って来るようだ。
そして遂に影は姿を現した...。
「人間か!」
叫び声のような驚きの声を出した直後俺は硬直する事となった。
二人のスーツ姿の男達は小型拳銃を既にこちらに向けており、あからさまに敵対心をギラギラさせていた。
この状況で勝ち目はないと判断した俺は銃を地に置き、両手を空へ向ける。
男達は耳に装着された無線から指示を受けているらしく、「了解」と呟くとロボットのように門を開けた。
その動きはキビキビとしていて、相当訓練を積んでいなければこのような動作は無理だろう。
奴等は武器を預けろと要求したが俺の目には奴等が確実に何かを企んでいるように見えた。
街がこのような状態にあるというのに...ここは避難所か何かなのか?
スーツの男達が金属探知機のような棒を抜く、その時俺の身体は咄嗟に抵抗を始めていた。
俺の両腕は手前にいる男の首を絞め、そのまま背後に回りこんだ。
「舐めンじゃねぇぞこの野郎!」
条件反射のようにもう一人の男が銃を構え容赦なく銃撃を開始したが肉の壁で弾薬は俺の身体には掠りすらしなかった。
5、6発の風穴を開けられた人間の盾は即死し、その全体重が俺の腕にかかる。
返り血で前が全くと言って良い程見えず、考える暇もない俺はとにかくその死体を自身の身体ごと前方に押し込んだ...正確には押し倒したというべきか。
倒れ掛かった死体を抱きかかえるような形となったそいつの生んだ0.1秒単位の隙につけこんだ。
奴の頬に必死の右ストレートを叩き込んだんだ。
勿論それだけで倒れるはずもなかった、奴はすぐに体勢を元に戻す。
だがそれは俺にとっては好都合だ。
その立ち上がる動作に発生する反動に対抗するように俺の右足をぶち込んだ。
うまい事クリーンヒットした奴の鼻からは大量の血が流れ出し、そのまま力が抜けたように倒れた。
まだ軍で鍛え上げた技術は衰えていないようで正直安心した。
俺は倒れた二人を見下ろし、立ち去ろうとも考えたがやはり最終的には門を抜け中へと入って行く事を決意した。
こいつらのスーツにはどうも見覚えがあるんだ...以前タイマン張った野郎が似た服装だった。
しかしそいつの名前が思い出せない。
「まぁ、どうでもいいか」




