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異世界から来た人格  作者: 狼狐
第四章:連鎖反応
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闇夜からの手

[サラ]

今日も通常通り一仕事を終えた。

内容は色々ある、各地で行われた様々な凄惨な犯罪を一つ一つ潰して行く。

そして空いた時間でマークを追う。

私の部署での基本的な勤務時間は個人によって変わってくるが朝7時から夜の8時まで。

少々辛いかもしれないが現在はそれだけ人材不足という事だ。

廃れた、捨てられたこの街ではマトモに教育を受けた人間の方が少ない。

100近い書類の中から一部のマークに関する文書だけを抜き取り、持ち帰る。

PC内部の情報記録は小型のデータ保存用のUSB等に投入する事にしよう。

考える事は多いがそのために残された時間は少ない。

サムの死が第三者にバレるのも時間の問題だ。

後何回ここに出勤出来るかもよく分からない...だが今はどうする事も出来ない。

今日は何故か蝮からの情報提供も一切無かった。

「一体どうすれば....」

挨拶をする部下を無視し、署の表門を叩くように開ける。

いよいよ焦りが目に見えている事を自覚し始めたが、自制は難しい。

鼓動は早くなり、息はいつも以上に切れる。

早歩きで車に向かおうとしているが異常なまでに他人の目が気になる。

嫌な予感がするがこの状況、何が起こっても打開策はないだろう。

その時突如背後で空気が大きく乱れた。

直後私の首は絞められ夜の闇に身体は引っ張られていく。

咄嗟に対応する事も出来ず、盛大に腰から転んだ。

呼吸が不可能なため抗う力も徐々に抜けて行く。

私はそんな中その者の腕を掴み、助けを請う事より奴の顔を見る事に専念した。

...奴は奇妙なマスクを着用していた。


[マーク]

奪取した民家でコーヒーを飲み干し、引き戸から取り出したこの家の元持ち主の写真を見る。

写真は数年前の物のようで1975年4月30日と書かれている。

という事はこれはベトナム戦争終戦日に撮影した物らしいな。

若い女性と写っている...奥さんだった人だろうか。

殺し屋にとって他人に、それも殺めた者に対して情を抱くのは一番いけない事だ。

そんな事は分かりきっていたはずなのに何故か涙が零れ出る。

俺は言い換えれば雇われ傭兵か殺人マシン、影に生き、人間の下を行く堕落した犬以下の者。

当初は殺人の快感に浸っていたが今は最悪な気分だ。

毎晩殺した人間が夢の中で俺をどこまでも追い掛け回し、罵声を浴びせ、最後は奴等に殺されかける。

睡眠をとるのが怖い程に罪悪感に苛まれている。

しかし何故か自身に対する怒りはない。

抑制しているわけではないが、恐らくテッドを殺したからだろう。

冷静な考えが出来る分それは人間として成り下がったにすぎない。

俺はゆっくりと椅子から立ち上がり深呼吸をした。

窓から外を見ると何やら雲行きが怪しい、嫌な予感がするようなそんな気分だ。

今や大勢の人間が俺を狙っている。

その内の一部は俺を宗教のように慕い、また一部は俺を殺そうとし、また一部は俺から逃げようとする。

俺は捕食対象を求め荒野を彷徨う一匹狼ウルフだ。

獲物を執拗に追廻して喰らう。

他に出来る事などないんだ。

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