旧友
[蝮]
今頃になってようやくノースゴースト本部の方へモロトフの死亡報告が届いたらしい。
彼は本部の連中から一目置かれる存在だったため、生死の差はデカかった。
働きぶりも良かったようで月に数百を超える収入があったという事だ。
そして警察がその遺体を発見する前にノースゴースト本部の人間がその遺体を盗み出した。
後の事は知らないがこの話はどこか臭うぞ。
ノースゴーストは衆目に対する表向きは収入源不明の巨大株式会社で、この事からノースゴーストがモロトフの遺体を引き取り警察から自身の存在を隠蔽しているという事は分かる。
だが遺体の取引先や盗み出した手口等を仲間にすら教えないというのはどういう事だ?
報告用紙に記入ミスはあり得ないだろう、だとすると相当ヤバい場所なのだろうか。
「ピピピピピ....」
そうこう考えている内にカップ麺が出来上がってしまった。
うーんやはりカップ麺こそ至高だ。
...今回の件、少し興味が沸いてきた。
[マーク]
街を出てからストレスが溜まる一方で、ガス欠を起こして動かなくなった車に蹴りを悪態をつき蹴りを入れ、足の指先の骨が何本かイカれてしまった俺は仕方なくトボトボと一人歩き出した。
真夏の照りつけるような晴天の下、蝉の鳴き声が異様なまでにうるさく感じる。
ゆっくりと山道を下ると目の前の景色は広大な畑へと変化した。
地平線まで続く畑はまるで警察の目を逃れる楽園のようにも見えた。
サイレンはもう追いかけてくる事はないが、いつまたあの赤いランプが姿を現すかは分からない。
4時間前...あの忌々しい高速道路の上は地獄絵図と化していた。
数え切れない程の警察官達が俺の手によって次々と命を落とし、運よく死を免れた者も重傷だった。
絶望的な混沌の中響き渡るサイレン音と悲鳴、そして銃声。
引き金を一回引く度に人体の一部が損傷し、没落する。
肉片と化した"それ"は道路上に散らばり前進する仲間に踏まれる。
車同士は前後左右から激しく衝突し、派手に火花を散らす。
幾つかのパトカーは高速道路上から飛び出していった。
俺は何が何だか分からず、ただただ迫る追っ手を的にしていただけだった。
そしてそれに耐え切れずに市民に向け発砲後車輌を奪い、逃走した。
ふと俺はサラを思い出した。
サムは死ぬ間際彼女を罵倒していたが、その最中幾度も彼女の事を助手と呼んでいた。
だとすると彼女が検問配備に加担している可能性もあり得なくはない。
他にも助力していた者がいない事はないと思うが...取りあえず彼女には注意しよう。
少なくとも元警察だ、何考えてるかは分からねぇ。
あれがただの囮作戦だったって事も考えの範囲内に入れておかなければ。
自分の身は自分で守る、それが自然の摂理、生物の極意だ。
俺は先程の銃を懐にしまい直した。




