欲と暴力
[マーク]
ダメだ、どうしても奴の目と、態度が気に食わない。
俺は金属バットを奴のスーツを真っ赤にする勢いでフルスイングした。
だが奴はそれを屈んで避け、俺の足を引っ張る。
バランスを失った俺は立て続けに2回殴られ、首を絞められた。
ギリギリと音を立て俺の首は締め付けられていく。
俺は奴の腕を掴み、胸を思い切り蹴り上げた。
そして奴がヨロヨロと後ろへ倒れそうになった所にバットで追撃をぶち込んだ。
バットは顎にクリーンヒットし、歯が何本か欠けるのが見えた。
奴は口を押さえ、吐血する。
そこにもう一度攻撃を加えようとバットを振り降ろす。
が、それも簡単に避けられ腹に蹴りを入れられた。
間髪入れず拳が飛んできたが横に流し、武装解除をされないようにステップを踏んで距離をとった。
何て野郎だ...だが、まだまだだな。
モロトフと破壊力が格段に違いすぎる。
そもそも奴とは比べ物にならない位だ。
フンッ、と挑発するように鼻で笑った。
俺は奴のスーツの胸に刻まれた名前を横目で見る。
「...蝮か。蛇のように獲物を捕えて喰らう...」
なら俺はそんな蛇の身体を引きちぎってやる、そう言おうとした途端目の前に奴の靴が現れた。
目では追えない速度だった...俺の身体は一瞬の内に床に倒れ、脳味噌がグワンと動かされる。
一瞬何が起きたのか分からなかったが、俺はすぐに態勢を立て直し、蝮を目で捕捉する。
奴はまるでマシンガンのような物凄いスピードで俺の肩を掴むが、その腕を逆に掴み、床に叩き付けた。
形勢逆転だ。
右足で奴の肘を踏みつけそのまま腕を持ち上げる。
苦痛に声をあげるが男同士の殺し合いにギブアップも何もない。
「バキンッ!」
大きな音を立てて奴の腕の骨が外れた。
蝮は大声で悲鳴を上げ、床を転げまわる。
俺は急いでバットを拾い上げ、奴の首の付け根をグリグリと押しこむ。
そのまま窒息死寸前まで追い込み、命乞いをさせるんだ。
そこでここは何の会社なのか吐かせるつもりだ。
だが先に質問してきたのはあちら側だった。
「お...おいっ!何しに来たかって聞いてんだ!何でこんな事をする!?」
蝮は情けない声を出しながら俺を睨み付ける。
「ジェフって野郎の...依頼だよ。」
少し位話してもいいだろう、もうすぐ死ぬ奴だ。
そう思った直後、俺は全てのドンデン返しを喰らう事になった。
「ジェ、ジェフ!?馬鹿野朗、そいつはうちの債務者だぞ!」
驚愕の言葉だった。
は・・・?と俺の拘束が緩くなった途端蝮は俺を押しのけ、自室に走って戻っていった。
俺は我に帰り、奴を追いかけようとしたが数秒と経たずに戻ってきて手に持った紙を無理矢理握らせてきた。
「これが証拠だ!よく見ろ!」
そこにはジェフ・シャーマンと書かれた証明書と顔写真が記載されていて、住所や電話番号も一文字の漏れなく記入されていた。
俺はそれを受け取った直後、奴を押しのけ、これ以上ない程の全力疾走でここに記入された住所の元へと向かった。
何でか分かるか? 俺はハメられたんだ。




