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異世界から来た人格  作者: 狼狐
第三章:壊れ出した世界
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アンデッド

今日から日本にまた来ましたので投稿を再開したいと思います。

故郷はどうだったって?最高だぜベイベ

投稿時間がめっきり遅れた事については申し訳ありません。

[マーク]

俺は家の中で大きく輝くシャンデリアの下、奴と睨み合い続けた。

5分か10分、もしかしたらそれ以下だろう、だが俺には何時間にも感じた。

体力的には充分だが、精神的には参ってくる。

奴の目は何だか...考えている事を見透かしているような感じだ。

まるで脳味噌の中身、思考を垂れ流されているような...しかし恐怖を覚えてはそこで終わりだ。

俺は無理矢理、何とか顔の表情筋を持ち上げ笑顔を作り出した。

「GPSとはまたストーカーみてぇな陰湿極まりない手口だな。それがテメェら流か?」

カラカラに乾いた喉から声を押し出す。

最後のほうは痰が絡まって思うように発声出来なかった。

モロトフはニヤニヤしているがそれが何か嬉しい事があったりだとか、勝利を確信しているからだとか、そういう理由でのニヤつきではない事はハッキリと見て取れた。

奴もまた、恐怖を隠蔽いんぺいしている。お互い様ってわけだ。

俺はジミーの壊滅的な損傷を受けた死体を視界に捕え続けながら2、3歩前に出た。

瞬きも一切加えずにただ一点、焼死体のような濃い色彩の遺体をただ凝視する。

相手の恐怖心を煽るやり方だが、これはこちらにも反動は少なくない。

何せ敵対している相手に自ら近寄っていくのだから。

これが出来るのは俺が軍でみっちり鍛えられたからだろう、銃声が聞こえたら本来逃げるはずなのに、俺達はその方向へと走っていった、良い思い出だ。

モロトフも同様にジミーに目をやる...その瞬間を俺は見逃さなかった。

脚を素早くステップさせ、奴の視線とは反対側...後頭部、つまり背面に回りこんだ。

そして刃渡り15cm程のナイフを腰から取り出した。

あの巨体ならどんなに磨かれた反射神経を持ってしても速度は遅いはず...そう踏んだんだ。

だがそれは間違ってた。

奴は驚異的な速度で後ろに振り返り、木のように太い豪腕を俺の脇腹に抉り込ませた。

恐らく胸骨をやられた。

痛みが波のように内蔵に響き渡り腹の中でこだまする。

結果的に身体が異常反応を起こし俺は胃の中の物をその場に全て吐き出した。

俺が奴を睨み付けると奴は俺を見下すような体制で笑顔を零している。

今度は先程とは違う、完全に勝ちを確証した...調子に乗った笑みだ。

奴は跪いた体制の俺の手の甲に釘を打ち込んだ、それも金鎚なしで。

なんて奴だ、俺は苦痛に床を転げ周りあのクソったれの追撃から逃れるのが精一杯だった。

手首を伝って血が床に垂れる。

このままじゃ出血多量でくたばる、心の中の焦りが俺の鼓動をヒートアップさせた。

すぐ脇のショーケースの棚に手をつき何とかその場に立ち上がるが、血圧の低下による目眩が俺をもう一度床に叩き落した。

10cm程の大きめのサイズの釘を左手の指で何とか掴み引っこ抜こうとする。

だが汗で指は滑り、何とか動かせたとしても苦痛が電撃のように右半身を駆け巡る。

戦争の時以来の苦痛が脳内麻薬に中指を立てて、まるでカーペットが板目を覆い尽くす感じだ。

俺は覚悟を決めて、腸を掻きだす思いで釘をもう一度抜こうと努力した。

次の瞬間、俺のカラカラの喉を裂くような叫び声が部屋中に轟いた。

血液が真っ白な壁中にペンキのように飛散し、肉が捲れ、骨が外れた。

これを抜いたからといって助かる根拠や確信はない。

皮肉にももう右手の人差し指、中指、薬指が使い物にならない事だけは確かだ。

地獄のような30秒が俺の全神経を支配し、俺は何とか釘を抜き取る事に成功した。

モロトフは依然として不気味な笑みを浮かべている。

「お前は死ななけりゃならねぇんだ兄弟。お前は...お前は殺し屋としては有能すぎた。」

一歩ずつ床を踏みしめこちらへと歩いてくる、仲間の死の復讐を遂行するために。

俺から奴までは数フィートの距離が存在したが奴の一歩は人間サイズじゃない。

一歩、もう一歩とみるみる内に俺達の距離は狭まっていった。

そしてついに奴が俺の首に手をかけた瞬間、俺は先程のショーケースを右手の親指と小指だけで何とか開き、その中に置かれていた金鎚で左手にまだ握っていた釘を奴の首に力強く打ち込んだ。

何度打ち込んだか、どのような言葉を発していたかは覚えていない。

釘は上手く頚動脈に差し込まれたようで噴射した返り血が俺の顔を真っ赤に染め上げた。

その瞬間だけは俺は勝利を確信した。

しかし奴は尚も倒れなかった、まるでゾンビのように。

俺はそのアンデッドのような男を前にして恐怖にヘナヘナと座り込んだ。

情けなくも腰を抜かしたその場から奴の顔を見上げた。

...奴は立ったまま絶命していたんだ。

瞬き一つせずに、死んでも尚あの鬼のような顔のままその場に立ち続けていた。

死んでも尚、俺を殺そうとしていた。


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