招き鳥
今日の午後からアメリカ帰省の飛行機に乗るので今日は午前中に投稿します
[マーク]
電話先の家はここからそう遠くなく、車で国道飛ばして10分とかからなかった。
ハッ、この俺が他人の家にお呼ばれされるなんてな、世話になったサツのパーティ以来だ。
俺はあのパーティで11人の頭を吹き飛ばした世界記録保持者だ。
相手がお嬢さんならもっと紳士な服を着てきたってのに、残念だ。
ジミーの家は結構な豪邸でエリックの屋敷に酷似している。
庭が広く、インターフォンを押すまでに30メートルは歩かされた。
呼出をすると咄嗟にジミーが応答してくれた。
扉からジミーが禿げかかった頭をヒョイと出す。
「や、やぁマママーク!い、いいよあがってよ。」
やっぱり彼の言っている事は聞き取りにくい。
殺し屋を前に緊張しているのか?まぁ、どちらでもいいさ、責めるつもりはない。
俺は誘われるように家に入った。
するとそこで俺はある悪臭に気づいたんだ。
何かが焦げたような臭い、俺がこれは何の臭いだと聞こうとした矢先、異質な光景が目に入ってきた。
「か、かか彼女が僕のガールフレンドさ!綺麗でしょ?」
ジミーの指差す先には椅子の上に座らされた...というより無造作に置かれた白骨化した死体があった。
この異臭は恐らくこの死体の脳やら内臓やらが腐食した臭いだろう。
死体を見るのには慣れているがここまで頭のイカれてる奴を見るのは自分以外に初めてで少し気まずくなる。
この時俺は気の利いた事が言えなかった。
「ああ、綺麗な人だ。まるで"現世"で舞うダンサーみたいに生き生きしている。」
褒めようとしたがこれじゃただの皮肉だ、だがジミーはそれに気付いていない。
素直に喜んでいる、アホで助かったよ。
彼女の死が惜しみきれないのか?それとも喧嘩か何かか。
その後俺は居間へと連れて行かれそこで話を聞く事になった。
そこで俺は驚愕する話を聞かされたよ、全くこいつには意外な所で驚かされる。
どうやら彼は一度俺を殺そうとした事があるらしい。
集団で動き、見張り役として立たされていて双眼鏡で俺の動きを監視していた。
つい昨日の事だという。
だが仲間が全滅し逃げ出したらしい...そしてその総指揮官、いわば隊長がモロトフだったんだ。
「という事はお前はサウスゴーストギャングの唯一の生き残りか?」
ジミーは首を横に振った。
彼が言うにはモロトフが指揮していたのはあくまで支局だけで本部はまた別の場所で別の行動をしているのだという。
60年代のマフィアみたいな奴等だな、俺は鼻で笑った。
またモロトフにコキ使われるのが嫌だから俺側についた、そういう事か。
単純な野郎だ、そう思っていた。
...だが一番単純なのは俺だったのさ。
俺達が居間で話していると、インターフォンがジミーを呼び出した。
ジミーは「ちょ、ちょちょっと待ってて。」と相変わらずの喋り方で言い、玄関へ駆け出していった。
俺はあたかも退屈そうに溜息をつきながら右手を顎につけて待っていたよ。
次の瞬間ジミーの頭が吹き飛んだ。
肉片と化した頭部は居間まで飛散し、俺は反射的に壁に身を隠した。
玄関の扉を開け、返り血塗れでズンズンと家に入ってきたのは憎いあの男、モロトフだった。
憎悪が身体を駆け巡る。
死んだジミーの亡骸を踏みつけながらモロトフは嘲笑していた。
「俺が部下を監視出来ていないとでも思ったか?てめぇに買ってやった服にはGPSがついてんだよ!」
荒々しい声をあげながらその図体を揺らす。
彼も俺を殺したくてもたまらないだろう、だがそれは俺も同じだ。
会う機会があれば殺そうと思っていたよ...これは唯一の好機だ。




