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異世界から来た人格  作者: 狼狐
第三章:壊れ出した世界
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郊外

[デニス]

...ない...ない!

これが無くなったら、畜生、俺はどうなる?

昨晩新しい犯行現場を作る際に使用した拳銃が俺のタンスから消えている!

金庫も調べたし、ベッドの下も、物置も調べた。

深夜遅くまで犯行現場作りに没頭し、酒を飲んで寝たらこれだ。

犯行現場でこれが見つかれば大きな騒ぎになるし、少なくとも俺は容疑者扱い。

良くて無期懲役だ。

クソ、一体どうしたらいい?

頭を捻りに捻った結果、結局戻って取りに行く事にした。

寝起きでボーっとしているにも関らず、俺は走って車に乗り込み、現場へと走らせた。

晴れ渡った青い空が俺を嘲笑している気がする。

信号で一々止まるという行為がタイムロスになるが、信号無視をするわけにはいかない。

早くしろ、と強く念じる。

そして信号が青に変わった瞬間、前の車に思い切りクラクションを浴びせる。

「早くいけやボケェッ!」

まるでヤバい奴だ。

だが時間は待ってくれない。

焦りが頭をぶっ叩く!

車のアクセルを最大に踏み込み、法廷速度ギリギリで走る。

だが、かっ飛ばせるのも少しの間だけだった。

国道は通勤ラッシュという事もあり渋滞で、俺は回避策として車を道路脇に停車し、そのまま乗り捨てた。

「こんなオンボロ車、捨ててやるさ。」

そこからはずっと走り続けた。

痛む脇腹を押さえながら息を切らし全力疾走した。

子供の頃は長距離走などで上から2番目と良い成績を残していたが、俺も年老いたもんだ。

足腰が悲鳴をあげる。

肉体は力を失っていて、ただの重りにしかならない。

だがそれでも、俺は力を振り絞る。

止まれば死ぬ。

物的証拠として立件されれば俺は電気椅子から逃れられないはずだ。

涙目になりながら必死に足を動かした。


[マーク]

イーストゴースト12番地についた。

街から離れてかなり田舎に来た。

見渡す限り山、山、山だ。

そんな中にある小さな小屋らしき建物、ここが今日の仕事場か。

全く、こんな農村のど真ん中で殺しとは、嫌な依頼だ。

俺はブツブツ嫌味を呟きながらも、渋々だが建物内に侵入した。

侵入する際に、裏口の扉のドアノブを破壊しておいた。

この家は鍵すらちゃんと閉めないのか?

中ではバイカーのような姿のカウボーイハットを被った男達が酒を飲みながらポーカーをやっている。

なんとも仲の良い集団だ。

こういう浮かれた、平和的な連中こそ防犯に気を配らない。

だから俺みたいな奴の被害にあう。

まぁ、警備員が数人いた所で片っ端からぶっ殺してきたわけだが。

俺はバッグから刃渡り20センチ程の短刀を取り出した。

思わず手には力が入る。

そして表玄関近くの窓を勢い良く割り、ポーカーに飛び入り参加させてもらった。

そう、金を賭けたギャンブルは命を賭けるものへと、たった今から変わったんだ。

彼らも、突然窓から人が入ってきたわけだから驚きを隠せないようだった。

「おい、なんだこのワイルドなマスクメンは!?」

マスクメロン?俺はスイカ派だ、馬鹿にすんじゃねぇ。

そんな事を一人考えて、心の中で一人落語をやっていた時、彼らの内の一人が俺に話しかけてきた。

唯一カウボーイハットを被っていない金髪の青年だった。

青年と言っても年は23歳位だろうか?

彼は俺の肩に手をかけると、「大丈夫か?借金取りにでも追われたか?」と気を遣ってくれた。

何とも有難い、だが人を警戒しないとどうなるか、教えてやらないとな。

人を完全に受け入れてばかりいると後悔する目にあう。

「ああ...気分がいいよ。」

俺は一言、笑いながら言った。

「酒でも飲みすぎたのかい?気分がいいって、大丈夫?」

それでもまだ彼の優しさは俺を包もうとする。

だがそれを防ぐように嫌悪が俺の心を黒く染める。

最高の感覚だ。

「ああ...死神になった気分だぜ。」

俺はさっと右手で腕を引っ張り、左手に握り締めた短刀で彼の胸を刺した。

茶色い床の木目が赤く染まる。

次から次へと大量に血が流れ出し、それを見た他の連中は2、3歩下がった後一斉に逃げ出した。

だが残念、俺は先程裏口のドアノブを破壊しておいた。

出ようとしたって時間がかかる。

それは俺がそこへ向かうまでの良い足止めになった。

案の定、廊下の奥から「扉が開かない」と連呼する男女の声が聞こえてきた。

俺はゆっくりと、歩いて、恐怖を煽るようにその二人の元へと歩み寄っていった。

二人は恐怖で声を震わせ、廊下の隅っこでお互い抱き合っている。

女の方の化粧は涙で剥がれ落ちていて汚らしい。

一方男のほうは平静を取り戻したようで、立ちあがってこちらをジッと見ている。

どうした?心理戦か?

俺が二人の首に手をかけようとした途端、男が俺の腕を掴んだ。

反射的なものだろう。

「待て!僕の彼女に手を出すんじゃない!殺すなら先に僕を殺してからにしろ!」

それ結局最終的にどっちも死ぬじゃねぇか。

呆れてため息をつく。

だが、猟奇的殺人鬼を前にして威勢が良いという点は評価する。

短刀の刃を男の首に突きたて、反抗的な態度の割りには尚も恐怖に震えている事を確認した。

そしてそのまま力一杯押し込んだ。

俺の顔中に返り血が噴きつけ、視界が真っ赤になる。

男は首を押さえ、必死に声を出そうとするが、ヒューヒューと空気の通る音がするだけだった。

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