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異世界から来た人格  作者: 狼狐
第一章:汚れ仕事
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先輩と後輩

[エリック]

僕はローンの残った愛車でマークの家の前まで来た。

刻々と時間を刻む腕時計は10時ピッタリを示している。

まぁ実際、5分程遅れてはいるが、彼なら許してくれるだろう。

そう思い、僕はマークの家の扉を軽く3回、ノックした。

久しぶりに彼に会うと思うと少し緊張する。

顔は変わっただろうか?僕の事覚えているだろうか?

期待と不安が胸の高鳴りを加速させていく。

数十秒程して、彼が扉を勢いよく開けた。

彼は....僕の持っているマスクにどこか似ている不気味なマスクを被っていて、手にはナイフを持っている。

反射的に数歩下がってしまったが、彼は「なんだ、お前ぇか」と言い、マスクを外してくれた。

久しぶりに見た彼の顔は昔と変わっておらず、相変わらず丸坊主だ。

彼は笑顔で僕を家に招き入れてくれた。

まぁ、なんというかとても殺風景、いや、サッパリした部屋だ。

本音を言うと、綺麗とは言い難い。

だけどこのご時勢、仕方がないのだろう、格差社会って事もあるし。

そんな事を考えていた僕に彼はビールを渡してくれた。

プシュっという音が気持ちよく、ひんやり冷えていて、旨い。

「そんな厚着じゃ、相当暑かっただろう?」

どんな時でも彼は僕を気遣ってくれる。

彼とは高校で別れたが、その後アメリカンフットボールをやっていたらしく、筋肉質で逞しい。

いつもパソコンで仕事をしている僕とは大違いだ。

ビールの手助けもあり、僕の緊張はすぐに解消され、中学生の頃に戻ったかのように楽しく話せる。

そんな会話を楽しんでいる時、タイミングが悪く電話がかかってきた。


[マーク]

クソッ、誰だよ、人が楽しく話してる時に電話なんかかけやがってよ。

舌打ちをして見るからにイラついた俺にエリックは気をつかったのか静かにし始めた。

何だよ、俺が悪いみたいじゃねぇか。

大股で電話に歩み寄り、受話器を取る。

「もしもし?」

「こんにちは、マークさんですよね?」

電話の相手はやけに声が暗く、響く。

合成音声だろうか?言葉のリズムがおかしい。

「ノースゴースト24番街のアパートに行って、雑草を刈り取ってきて下さい。やらなかったら命の保障はありません。あなたの友人も連れて行って下さい。」

淡々と内容を告げるだけ告げて、ただただ呆然と聞いている内に奴は電話を切ってしまった。

我に帰った俺は急いで呼び止める。

「おい、ちょっと待てよ!もしもし!?」

予想通り、返答は勿論返ってこない。

クソッ!と受話器を叩きつける。

今の野朗は誰だ?雑草を刈り取る?命の保障はない?どういう事なんだ?

とにかく、やばい何かが絡んでるのに間違いはないはずだ。

奴の言っている事が全く理解出来ないが、行動しなけりゃ状況は変わらない。

俺を心配するエリックをよそに俺は街の地図を広げる。

ノースゴースト24番街はここから北に10キロだ。

俺はさっきのマスクとナイフを取り出し、エリックに電話の内容を伝える。

「どっかのクソ野朗が俺に雑草刈りを頼んできた、やらなかったら殺すと脅迫までされたんだ。とにかく、お前も連れていかないとならねぇ。とっとと行くぞ!」


[エリック]

車の窓から手を出す。

久しぶりに招待されて彼の家に行ったら、これだ。

謎の脅迫電話の言う事を聞いた彼の巻き添えを食らって、馬鹿みたいだ。

僕は勿論断った、「脅迫電話なら警察に言え」ってね。

でも彼はこう即答した。

「俺は足がついていないだけの犯罪者だ」

人が嘘をつくとき、必ずその人の目は泳ぐ。

だけどマスクを被っていたせいでその判断は出来なかった。

僕はビールを飲んでいたから車を運転できない。

代わりに彼に運転を頼んだが、荒すぎる。

ローンが残っているだけあって不安だ。

彼はマスクを被る準備をしている....これはホントに雑草を刈る依頼なのか?

そうだ、と僕は気づいた。

雑草を刈るだけなら彼は何でマスクとナイフを持ってきた?

何故僕はその事に気づかなかったんだろう。

僕はマークに問う。

「ねぇ、何で雑草刈るのにマスクとナイフが必要なの?」

咄嗟にマークが答えた。

「そりゃ....プライバシーを守るためだ。」

ふざけるな、僕は大声で怒鳴ってしまった。

「何がプライバシーだ、僕には家族がいるんだ、変な事に巻き込むな!」

怒りに任せて次から次へと攻める。

しかし、マークの一言でそれは打ち切られた。

初めて聞いた彼の怒鳴り声だ。

「止めたら困んのてめぇだぞ!」

....?どういう事だ。

困る?僕が?

「俺は何も失うもんはない。だけどここでお前が止めたら、真っ先に殺られんのお前だぞ。家族がいるんだから、踏ん張れ!」


[マーク]

エリックはえらく落ち込んじまった。

申し訳ない事をした、けどそれが真実だ。

ある意味俺は彼を助けてるのかもな。

罪悪感と正義感が入り乱れて俺は心が爆発しちまいそうだった。

手汗でハンドルが滑る。

焦る俺に、彼は問いかけてきた。

「....何か知ってるんだね。以前にも....こういう依頼が?」

クソッ、いつか言おうと思ってたが、バレちまったからには話さなきゃなんねぇ。

それに、さっき俺は自分を犯罪者って言った。

その時点でバレてるだろうと内心思ってたけどな。

「14年前、2001年に遡る。俺は戦争帰還兵だったんだが、度重なる殺人で精神を病んで強制的に除隊させられた。それ以来、俺はまともな職にはつけなくなってた。だから、俺は裏の仕事を探したんだ。そこで出くわしたのが....奴等だったんだ。俺は仕事として毎週10人以上は殺してた。刺殺、撲殺、絞殺、銃殺、、、何でもアリだ。でも、サツの調査の進行が予想以上に早くて、俺はこの街に身を隠した。今俺が普通でいられんのも、精神科からヤクを処方されたからだ。」

エリックはこれを聞いてさらにショックを受けたようだった。

そりゃそうだ、昔ニュースで大々的に報じられた大量殺人鬼と一緒に仕事をしようってんだから。

「....さぁ、ついたぞ。」


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