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異世界から来た人格  作者: 狼狐
第二章:交差する狂気
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彼は...ボスは自身を"モロトフ"と名乗った。

「火炎瓶か何かか?」

鼻で笑う俺をよそに、モロトフは俺が奪い取ってきた金を茶色い布袋につめている。

パソコンで積権書類を発行している部下の背中を笑顔で叩きながら。

彼は俺と同じ退役軍人らしく、過去は7ヶ国以上へ飛ばされた。

そこで何があったのかは知らないが、帰国後元軍人等を集めてギャング活動を開始したらしい。

このギャングは裏で慈善活動なども行っているらしく、僅かだが関心が沸いた。

ボス...その響きは体格の良い彼のイメージにピッタリだ。

「さて、じゃそろそろ帰らせてもらうぜ。」

俺が報酬を持ち、部屋を出ようとしたその時、30センチはありそうな豪腕が俺の手首を掴んだ。

「待て、もう一つ頼みたい事がある。」

鋭い狼のような目が俺を見下ろす。

身構える間もなく俺の肩に手をかけられた。

「こっから20キロ程離れたド田舎にノースゴーストギャングの集落地帯がある。そこを潰してきてくれ。」

またこの手の依頼か、自分でやる気にはならないのか?

俺は殺しの道具じゃねぇ。

「報酬は?」

「50万でどうだ。」

即答するモロトフの顔は笑っていなかった。

鬼のような形相がまるで地獄の亡者のように俺を睨み付ける。

だが俺は鼻であしらった。

俺の身体も疲労で一杯なわけだし、せめて100万は欲しかったんだ。

「馬鹿馬鹿しい、俺は帰るぜ。」

彼の依頼を一言で断った俺はモロトフの脇を潜り、エレベーターに向かう。

後ろからは彼の怒鳴り声が聞こえるが、耳を傾けない。


[デニス]

仕事の休憩途中、立ち寄った民間銀行から預金をおろす。

新しい鑢が必要になったんだ。

犯行現場を作るために、銃は必要不可欠だ。

だが同じ銃ばっかり使ってたんじゃいつか足がつく。

警察で働く司法科学者は銃痕から犯行に使われた銃を特定する事が可能だ。

普通は殺人に使った銃は海に捨てちまうんだが、そんな事するのは勿体無いし、リスクが大きい。

だから鑢で銃口を少し削るんだ。

しかしサムはそんな時もしつこく後をついて来る。

「刑事さん刑事さん、何で鑢なんて買うんですか?」

「買っちゃダメかよ。」

正直鬱陶しい。

持ち場に戻れ、と言っても助手だからという理由で俺から離れようとしない。

まるでアヒルの親子だ。

怪しまれないように鑢を買うついでに15センチ定規、ノート、ペンを買っておいた。

いつも現場検証の際にメモを取るから必要だ。

刑事は計画性が大事だ、几帳面じゃ無くたって、人付き合いが悪くたっていい。

だが俺は同時に犯罪者でもある。

犯罪は全て自己責任だ。

上手くやっていかなくちゃならない。

「俺なら出来る、こんな助手...いや、邪魔者がいたってな。」

気がつくと、声が漏れていた。

すぐにサムが反応する。

「ん、何か言いましたか?」

慌てて口を塞ぎ、平静を保つ努力をする。

「いや、何でもない。」

運よく内容は聞かれていなかったようで、安堵のため息をつく。

俺は心の中で彼を嘲笑っていた。

心理学なんか大した事ない、ってな。

指定された犯行現場につくと、既に20人近い部下達が調査を再開していた。

俺は警察手帳を見せ、大量殺人が引き起こされたというクラブの中へと入る。

中には大量の惨殺死体が転がっていた。

首の無い者、開腹された者、撲殺された者...まるで地獄絵図だ。

流石の俺でもこんな事は出来ない。

一体誰がこんな事をした?

監視カメラで映像履歴を見せてもらおうとしたが犯人によってその殆どは破壊されている。

僅かに生き残ったカメラ映像も画質が荒い上にノイズが走っていて犯人を映す事はなかった。

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