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生業
やばい、もれそう・・・。
心の中の悲痛な叫びに、誰も気付かない。
スマートフォンのほかに、関心を寄せるものがない空間。
人々は無表情で、何やら画面を操作している。
満員電車はきょうも、人々を吐き出してはのみ込むだけだ。
もう限界・・・。つり革を持つ手が汗ばむ。
暑い。朝方とはいえ真夏、全身から汗がふきだす。
渋谷まであと2駅。代々木で降りるか、いや、遅刻する。
思えば幼少期からお腹が弱かった。前の晩に食べすぎると、必ず翌朝に後悔する。
「ちくしょう」
絞ったはずの声は、思ったよりも遠くまで届いた。
座席を占領する女子高生たちが、汗だくの中年を侮べつの表情で見る。
「あのおっさんきもくない?」
肛門を閉じる筋肉は疲労し、限界が近い。
「代々木~代々木~」
あと少し・・・。いや、ダメだ・・・。
ブシャー!やっちまった・・・!
to be continued...
中年はこの後どうなるのか。超大スペクタクル長編の幕が開ける!