仲間(前編)
アレ?コメディにならないの?どういう事なのw
ボクはリノリウムの床をツカツカ音を立てながら生徒会室まで歩を進める。
昨日は、ゼウス!!の事で頭がいっぱいだった為に本来議題にしたかった事を議題にする事を忘れていたが、今日こそはなんとしても議題にしたい。だが、最近また一つ新たな問題が発生した。そっちを即刻検討するべきだろうな。と言うのも最近龍忌学園の生徒が内の生徒に無差別に暴行を加えているらしいのだ。ボクの所に相談に来る生徒が最近増えている。どうやら、集団で襲ってぼこぼこにした後、金等をせしめてくるらしい。まったくもって不愉快だ。
と、そこで一人の少女が目に入った。
冬風氷姫。ボクと同じクラスの1-2組の生徒で生徒会にも所属している。役職は会計だ。ちなみにボクの幼なじみでもある。
氷姫はなぜか床をペタペタと触っている。
「おい、どうしたんだ?」
「……」
ボクが声を掛けてもなお床をペタペタと触り続けている。
「氷姫?」
「なんでもない…」
「なんでも無くはないだろう。どこの世界に床をペタペタと触る女子高生が居るんだ」
「床を触ってるわけではない」
「何をしてるんだ?……もしかしてこれを探してたのか?」
ボクは床に落ちていたコンタクトレンズを拾い冬風に差し出した。
氷姫は無言でボクからコンタクトレンズを奪い取る。
そして、足早に去ってしまった。
礼ぐらい言ってから行けば良いものを。
まあ、いいと再び生徒会室まで歩を進め始める。
△
△▼△
生徒会室につくとすでにそこに氷姫の姿があった。氷姫は黙々と自分の業務をこなしていた。
ボクも自分の席に座り、適当に仕事を始める。
ただ、あまり仕事ははかどらない。なぜなら、氷姫がうかない顔をしているからだ。さっきの事を気にしているのだろうか。それなら、気にする必要はないと言ってやろうか。
などと考えていると氷姫は席を立ち、生徒会室にある古ぼけたタンスにプリントをしまおうとしていた。しかし、タンスを開けるのに苦戦しているようだ。新しく買う必要があるだろうか。
「三上、開けてやったらどうだ?」
隣の横寺がそう言って来た。まあ、良いだろうと席を立つと
「いい、自分でやる」
と拒絶を込めらた声でいわれたが臆せずに
「遠慮するな。男女には腕力の差がある。特にボクは色々な格闘技を習ってたから腕力には自信がある」
「………っ」
しぶしぶと言った感じで氷姫はその場をどいた。そして、入れ替わりでボクがタンスの前に立ち、タンスを開けてみせた。
「開けたならどけろ」
と冷たい声色で氷姫。
「な、せっかく開けてやったと言うのにその態度は無いだろう」
「私は別に頼んでなどいない」
「いや、確かにそうだが……いや、そうなんだが……いや、もういい」
氷姫はさっさとプリントをタンスにしまいタンスを閉める。閉めるのはあまり力が要らなかった様子だ。
「今日は、もう帰る」
「あれ、どしたの氷姫ちゃん」
と言ったのは生徒会長の紺野優朔。いつも寝ている会長が起きているのは珍しい。
「……っ。うるさい。黙れ」
「はいはい、要らない詮索をしました。すいませんねえ。」
そう、会長が言うと氷姫はさっさと生徒会室から出ていってしまった。
「会長。どうして起きてるんですか?」
「悪いかよ!!いや、今日はな。」
「今日は何かの日でしたかね?」
「いや、氷姫の事だ」
「え?なにかあったんですか?」
「ああ。あいつ最近ナンパされたらしいんだよ」
氷姫のルックスなら珍しい事ではないだろう。ルックスは学年一位を争うレベルだしな。
「それだけっすか?」
「いや、その時相手があまりにもしつこかったんでケリ倒したらしいんだ」
「……マジですか?」
「ああ、大マジだ。俺はその現場を偶然にも見てしまってな。しかも相手は――」
「龍忌学園の生徒だ。」
そう、聞いた時ボクは既に氷姫を追いかけようとしていた。