ゼウス!!
初めてのラブコメ。
まあ、予定ですけど。
ただのコメディになるか。はたまたバトルものになるのか。どうなるんでしょうね。
この学園はおかしい。高校生の本業は勉学に励む事ではないのか。
確かに我々はもう年頃の人間だ。異性にだって関心が出てくるだろう。
だが、だとしても、だ。
この問題は即刻今日の生徒会で討論するべきだ。
ーガラガラガラ
ボクは勢いよく生徒会室の扉を開ける。
「みなさん、おはようございます」
今は放課後で午前中ではないが、生徒会での挨拶は『おはよう』だと決まっている。
もう、集まっている他の4人の生徒会執行部のメンバーも口々に「おはよう」もしくは「おはようございます」をピシっと言ったり、言わなかったり、寝ていたり、「ゼウス!!」と訳の分からない事を言ったり…。
とにかく「ゼウス!!」が気になるので張本人である横寺龍一に聞いてみる。
「横寺。生徒会での挨拶は『おはよう』に決まっている。しかし今貴様はゼウス!!と言ったな?」
「………。」
反応がない。聞こえてないのだろうか。ボクは横寺の肩を軽く叩く。
「おい、横寺?」
「その名で俺を呼ぶんじゃねえ!俺の名は疾風。猿飛家の8代目だぞ?」
猿飛…聞いた事ある名だな。確か忍者の家系だったかな。小説とかでたまに見かける。
「猿飛家と言えば……確か忍者か?だが、忍者が他人に名前を教えるというのはどうなんだ?」
「疾風の他にまだ名前がある。心配するな。俺に抜かりはない」
なるほど。なら、安全だな。思わず感心してしまった。
「そうか……ならいいんだが。……ちがう。ボクが聞きたいのはゼウス!!のことだ!」
「三上。ココでの挨拶は『おはよう』なんだろ?そして、俺はちゃんとおはようと同じ意味を言った」
ボクがマンガに出ていたら明らかにクエスチョンマークが頭上で踊っているだろう。意味が分からない。
「ゼウス!!がなぜ『おはよう』と同じ意味になる?」
「ゼウスは創造神だからだ」
「どういう意味だ?」
「おいおい、まだ分からねえのかよ?ゼウスは創造神。おはようは朝の始めの挨拶。この二つには始まりという言葉が共通している。よっておはようとゼウス!!はどちらも同じだ」
そう、なのか?横寺の話は時々難しい。
「そうか、じゃあボクも今度真似して見ようかな」
「好きにしろ……」
という具合にボクは今日議題にしようといていた事をすっかり忘れ、会長が寝ている事をよしとするかどうかで討論する事になった。