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グラースの力

「『冬の結晶』……こんな所にあったのか」


突然聞こえた声に、ユマは驚きました。

グラースは首を起こし、低く唸っています。


「お前が、外界からの盗賊だな。結晶をどうするつもりだ?」


すると男は、大声で笑い始めました。


「金儲けに決まってるだろ。あれを使って、俺達は冬を操るのさ」


「無知な人間が、手をだして良い代物ではない」


去れ。と、グラースは言いました。

静かに。しかし、相手を威圧するかのように。

でも男は、そこを退こうとしませんでした。


「……ユマ、私の後ろに隠れていなさい。ここにいては氷ってしまう」


そう言われ、ユマはグラースの後ろに身を潜めます。


「この村の守護者として。お前の行いは見過ごせんな」


するとグラースは軽く息を吸いました。

そして、見ているだけで凍えてしまいそうな程の冷気を吹きました。

周りの空気が冷え、寒さがユマの肌を刺します。


「氷竜……!その強さは、見かけ倒しではなさそうだな」


「去れ。お前などに、『彼女』を渡す訳にはいかんのだ」


男は、腰に仕込んでいた短剣を取りだしました。

そして、グラースに向かって行きます。


「竜がなんだ。災厄がなんだ。俺達は、そんなものは恐れんぞ!」


男が、こちらに向かってきます。


「ユマは、洞窟から出ろ。巻き添えになる」


「でもグラース……心配だよ!」


「大丈夫。ユマは私が守ると約束しただろう」


そう言われ、ユマは洞窟から逃げるように出て行きます。


グラースは、鋭い爪を降り下ろします。

鋭い牙で、相手に噛みつきます。

相手の男はグラースに圧され、壁へと追い詰められて行きます。


「彼女は、自分の愛した村ために犠牲となった。悪者になった。それを……お前は奪い去ろうと言うのか!」


グラースが大きく吠えました。

それは、外にいるユマにも、盗賊に襲われている村にも聞こえました。


最初はグラースに向かっていた男も、やがて恐怖に怯えるようになりました。

攻撃のすきをついて、グラースから逃げていきます。


「ユマ……大丈夫か?」


男が逃げたことを確認すると、グラースは洞窟の外にいるユマに言いました。


「わたしは平気。グラースこそ大丈夫だった?」


怖さで思わずグラースに抱きついたユマが言いました。


「悪かったな。一人にして」


「ううん。平気だよ。それより、お願いグラース……村を護って!」


するとグラースは、首を屈めてユマを見ました。


「では、村に行こう。さあ、乗りなさい」


「うん。ありがとう……グラース」


洞窟を出て、グラースは空へと舞い上がります。


「一応、入口は閉ざしておこう」


グラースは、洞窟の入口に冷気を吹きかけます。

すると冷気はみるみる凍り、入口をふさぎました。


「さあ。村のために戦おう」


グラースはそのまま村へと飛んで行きます。


その時、グラースは「冬の結晶」についての話をしてくれました。




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