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魔女の子

遠い昔。

地図にも載らないような誰も知らない場所に、村がありました。

高い山に囲まれ、常に氷で覆われた村は、1年中冬のようでした。


この村は、世界に冬を運ぶ「冬の結晶」と言う宝を守っていました。

誰も、この村にそんな物があるとは知りません。

誰も知らない場所なのですから。


そんな村のはずれ。家々から少し離れた場所に、一人の少女が住んでいました。

名前はユマ。

腰まである長い髪の、青い眼をした可愛らしい女の子です。


温かそうなコートを着て、ユマは村へ出かけていきます。

食料と暖炉の火を起こすためのマッチを買いに行くためです。

でもユマは、村へ行く事が嫌いでした。

なぜなら、悲しい思いをするからです。


白い息をしながら、ユマは一軒の雑貨を売るお店に立ち寄りました。

するとなぜかユマは、フードを被ってしまいました。


「この紙に書いてある物をください」


周りに聞こえないくらい小さな声で、お店のおじさんに話しかけます。

するとおじさんは、にっこり笑ってお店の奥に行きました。


「はいよ。ユマちゃん、今日もたいへんだね」


「そんなことないよ」


「あとで家に行くからね」


ユマは渡された商品を受けとると、足早にお店を出ていってしまいました。

外に出ると、村の人たちがユマを見ました。

そして目を合わせないようにユマを避けて歩きます。

大人たちのひそひそ話す声が聞こえます。


――魔女の子だ。近づいてはいけない。


――呪われてしまう。


だから村へは来たくなかったのです。

大人たちのひそひそ話だけならまだしも、小さな子どもになるとユマに直接言ってきます。


「村が呪われるから、もう来るな!」


「青い眼なんてきもちわりー」


ユマは急いで家に帰ります。

早くこんな場所から逃げたくて。


ユマは、村のみんなから嫌われていました。

なぜなら、青い眼をしていたからです。

村に伝わる古い昔話には、悪い魔女が出てきます。

その魔女は青い眼をしていたとされ、魔女と同じ青い眼をもつユマは、「魔女の末裔」と言われみんなから嫌われていました。


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