エピローグ
あの事件があってから、もう何日もたちました。
ユマはまだ、グラースが死んだことを信じたくないようです。
お父さんとお母さんは、また仕事で村を出ると言っていました。
「一緒に来ないか?」と聞かれましたが、ユマは村に残ることを選びました。
村の人たちはもう、ユマを嫌うことはありませんでした。
グラースが、みんなを説得してくれたからです。
ある日の朝、村の長がユマの家にやって来ました。
「ユマ、あの氷竜がいた場所へ行こうと思うのだが……」
「グラースの……?」
「これを、持っていこうと思うのだ」
そこにあったのは、「冬の結晶」でした。
「我々は場所をよく知らんのだ。案内してくれんか?」
ユマは、なにも言わずに頷きました。
洞窟の入口に着くと、そこは全く違う場所のように感じました。
もう、ここには誰もいないのです。
「こんな所があったんだな……」
長は関心したように言いました。
「あとは……わたしがやりたい」
「大丈夫なのかい?」
「うん。わたしが運びたい」
「それじゃあ、任せるよ」
長から結晶を受け取り、ユマは洞窟の奥へと入って行きます。
洞窟の奥に結晶を置き、出口へ向かおうとした時、まるでグラースがそこにいたような感覚を感じました。
――これからも、ユマを護るからな。
グラースの声が聞こえたような気がします。
ふと、洞窟の端を見ました。
天井からの光が当たるその場所には……
二匹の雪うさぎが、寄りそうように置いてありました。




