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第四十九幕 青龍島最終決戦…最強最悪の液体妖怪・十六夜甚内登場

青龍島の中にある虚空の迷路の番人である毒蛇龍を撃破した導満たちは、最後の試練である最強最悪の妖怪・蛮雷鬼との決戦を控えていた…。

しかし、導満は蛮雷鬼との対決を前に不安の表情を浮かべていたが…それを見た太公望は導満を落ち着かせる意味で秘伝の霊薬《万金丹》を飲ませ、しばらくして導満はすっかり心を落ち着かせた様子で太公望に礼を言ったのである。

その後導満たちは、遂に蛮雷鬼との対決を迎え…緊迫した状況の中でただ一人、孫悟空だけは神妙な赴きで蛮雷鬼に対峙していたのであった…。

「あ、あいつは…。」

「悟空殿、あの妖怪に何か心当たりでも…。」

「あの蛮雷鬼は…かつて東勝神州とうしょうしんしゅう傲来国ごうらいこくにある祥來殿しょうらいでんの元護衛兵で、その昔ある事件が原因で祥來殿から追放されていたと聞いています。それ以来、蛮雷鬼は消息不明とされていたのですが…まさかこんな所に隠れていたとは、さすがの私でも正直驚いています。」

「しかし、普段は大人しい蛮雷鬼が…何故あんなに恐ろしい姿になっているのでしょうか。」

「それは恐らく、あの聖剣から放たれている〔魔咒氣ましゅうき〕が原因でしょう…。」

「太公望殿、その魔咒氣とは何なんですか…。」

「魔咒氣…それは全ての能力を極限までに高める究極の霊気。あの霊気を浴びれば…今までに無い恐ろしい魔性の姿へと変貌し、例え相手が誰であろうと見境なく攻撃する戦闘妖怪へと姿を変えるのです。」

「では、あの蛮雷鬼を元に戻すにはどうしたらよいのですか…。」

「分かりません…。しかしながら、あの蛮雷鬼を元に戻す事の出来るのは…孫悟空殿しか考えられません。神仙術を学ばれている孫悟空殿なら、恐らく蛮雷鬼を正気に戻せるのでは…。」

「孫悟空殿、あの蛮雷鬼をどうにか鎮める事が出来ないのか…。」

導満は孫悟空に、蛮雷鬼を何とか鎮める事が出来るのかを問い質すと…孫悟空は導満に対してこんな言葉を口にしたのである。

「確かに、私は師匠である須菩提祖師様より神仙術を学んでおり…これまでに数多の妖怪を退治してきました。しかし、今回は元護衛兵である蛮雷鬼なので…勝てるかどうか分かりませんが、とにかく全力で戦うしかありません。」

「孫悟空殿、決してあまり無理を為さらないようにお気をつけ下さい。」

「ありがとうございます…流ノ介殿。」

そして遂に、孫悟空は蛮雷鬼との対決が始まろうとしていた…。

孫悟空は如意金箍棒を構えて蛮雷鬼に攻撃を仕掛けるが…蛮雷鬼は孫悟空の攻撃を避けながら目にも止まらぬ素早い攻撃で孫悟空をあっという間に打ちのめしていくのであった。

「な、何て素早い奴なんだ…。あの蛮雷鬼、想像以上に強い魔咒氣を放出しているせいなのか…一向に私の攻撃が全く当たらない。いったいどうすれば蛮雷鬼を倒す事が出来るのか…。」

素早い瞬発力を誇る蛮雷鬼を前に、悪戦苦闘を強いられる孫悟空だったが…何としてても蛮雷鬼の動きを完全に封じ込めようと、孫悟空はある作戦を実行しようとしていた。

『そうだ…。あの術を使って蛮雷鬼の動きを封じ込める事が出来れば、もしかしたら蛮雷鬼を打ち負かす事が出来るかも知れない。』

そう言って、孫悟空は得意の神仙術〔無限太極結界陣むげんたいきょくけっかいじん〕を使い…蛮雷鬼の動きを封じようと四方八方に結界を張り巡らせ、蛮雷鬼が結界に入ったのを見計らって一気に攻めようとしていたのであった。

「来いっ、蛮雷鬼…。この孫悟空が相手になってやる…。」

『グルルルル…ッ!』

「さぁ…その調子だ。もっとこっちへ来い…。あともう少しで、結界陣地へ突入する…。そうすれば、一気に勝負が決まる…。」

この時孫悟空は、蛮雷鬼が結界陣地に必ず入る事を予見しており…八ヶ所ある結界陣地のいずれかに入れば蛮雷鬼を撃滅する事が出来ると確信していたからだ。

「もう少しだ…。もう少しで、あの蛮雷鬼を撃滅させる事が出来る…。」

そして遂に、その瞬間を迎える時が訪れようとしていた…。

蛮雷鬼が結界陣地に足を踏み入れた次の瞬間…結界陣地が赤く反応し、蛮雷鬼は完全に動きを封じ込められてしまい…このまま孫悟空が止めを刺そうとしたその時だった。

『タ…タスケテ…。』

と、言う叫び声が孫悟空の耳に届き…術を解いて蛮雷鬼を助けようとした。

「今の声…まさか、お前が助けを求めていたのか。」

蛮雷鬼は孫悟空の問いに軽く首を縦に振り、孫悟空は蛮雷鬼を助けようと魔咒氣の元凶である聖剣・法水院闇烏の所へ駆け寄り…自ら剣を手に取って魔咒氣を鎮めようとするも、その強い邪気が孫悟空の身体を纏わりついて離れようとしなかった…。

「悟空殿ぉ…。」

「し、心配無用に御座います…。これくらいの魔咒氣…どうって事ないですよ。しかし、このまま放置しておけば…蛮雷鬼は魔咒氣の毒牙で死んでしまいます。私は全ての命を掛けてでも蛮雷鬼を守ります。」

孫悟空の蛮雷鬼を助けたい一心で法水院闇烏から放たれる魔咒氣を自らの体内に取り込もうと試みるも…最初はほんの一瞬だけ苦痛を感じるが、しばらくして孫悟空の体内に取り込まれた魔咒氣は浄化され、霊神氣れいしんきと呼ばれる神界や仙界に存在する特別な霊気を孫悟空はそれを自分の物としたのである。

「孫悟空殿、大丈夫なのですか…。」

「導満殿、私の方は大丈夫です…。し、しかし…蛮雷鬼の容態が急変している様子なので、何方どなたか蛮雷鬼の手当てをして頂けないでしょうか。」

すると、初音自ら蛮雷鬼の治療に当たらせて欲しいと導満に話すと…導満は「例え相手が妖怪であろうと、命ある者を救うのが我等の使命…。恐らく蛮雷鬼も、同じ考えをしているのかも知れない。初音どの、そなたの霊力で…蛮雷鬼の命を救ってくれぬか。」と初音に言うと、初音は光明真言で蛮雷鬼の身体を治癒していったのであった。

『オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン!』

すると、蛮雷鬼の身体が少しずつではあるが…傷口が段々塞がり、蛮雷鬼は何とか一命を取り止めたのであった。

「蛮雷鬼…大丈夫か。」

『…そ、孫悟空様。』

「何故、俺の名前を知っているんだ…。」

『それより、此処を早く脱出して下さい…。』

「どう言う事だ…。」

『もうすぐ、この洞窟に…冥府十神の一人である十六夜甚内がやって来ます。』

「何だって…。」

「そいつは大変だ…。もし、冥府十神がこの聖剣を奪いに来たとなれば…これまでの苦労が水の泡になってしまうぞ。」

「何としてでも、冥府十神が来る前に此処を脱出した方がよろしいかと…。」

「そうだな…。いつまでも此処に居ると、また厄介な事に巻き込まれてしまうからな…。」

「導満様、急いでこの洞窟を出ましょう…。」

「ああ…。」

導満たちは法水院闇烏を入手し、青龍洞を脱出しようと急ぎ足で出口まで駆け抜けようとしたその時…導満たちの行く手を阻むは冥府十神の一人である十六夜甚内が現れ、持っている聖剣・法水院闇烏をこちらに寄越せと切り出したのであった…。

『待てっ…。我が名は婆沙羅将軍様に支えし冥府十神が一人…十六夜甚内と申す者。貴様たちが持っている聖剣・法水院闇烏を大人しくこちらへ渡して頂こうか…。』

「て、てめぇは十六夜甚内…。まさか、此処まで来るとは正直驚いたぜ。」

「導満様…。あの十六夜甚内とは如何なるやからに御座いますか。」

「奴は冥府十神の中でも変化の術を得意とし、その戦闘能力は未知数とされているんだ…。だが、それだけでは無いんだ。奴のもう一つの特殊能力が…。」

「それはいったい…。」

「奴は…吸血鬼の如く人間の血を吸い、吸われた人間はその場で液状化する特殊能力を持つ…いわば〔液体妖怪〕なのだ。」

「すると、あの十六夜甚内は元々この世には存在しない液体から生まれた妖怪と言う事ですか…。」

「その通りだ…。これまでに多くの人間が十六夜甚内のせいで亡くなっているとの報告を帝様から直接聞いた事がある。」

「それじゃあ…我々も下手をすれば十六夜甚内の餌食になってしまう可能性もあると言う訳ですか。」

「大丈夫だ…。奴の行動体系さえ覚えていれば、相手にとって不足は無いはずだ…。けど、油断するなよ。相手がどんな攻撃をしてくるか分からないから、みんな気を引き締めて戦い挑むんだ…。」

「分かりました…。」

「我々には導満殿が付いているんだ。もし、この戦いで負ける様な事があれば…晴明殿に何てお詫びをしたらよいのか。」

「左源太殿、そんな弱気な発言をなされてはなりません。晴明様の分まできっちりと戦い抜きましょう。」「流ノ介殿…。そなたの言葉で目が覚めた。よしっ、気合いを入れて一気に十六夜甚内をぶっ倒して青龍洞を脱出するぞ…。」

「万事承知しました。」

「導満様、私たちは背後から援護致します…。」

「頼んだぞ…。全ての勝敗は、お前たちの手に掛かっているのだからな…。」

「分かりました…。万事お任せ下さい…。」

そして遂に、導満たちは十六夜甚内との対決が…今まさに始まろうとしていた。

「十六夜甚内、貴様の目的は…この法水院闇烏を狙っているらしいが、そう簡単に渡す訳にはいかないな…。この聖剣をどうしても奪うと言うのであれば…全力で法水院闇烏を奪ってみるがいい。」

『ふっ、滑稽だな…。幾らお前たちがその聖剣を手に入れたとしても、本来の持ち主でなければ扱う事すら出来ぬ厄介な剣ぞ…。』

「本来の…持ち主だと。」

『その聖剣・法水院闇烏は…元々魔界に代々伝えられた魔剣・邪極黒龍刀じゃきょくこくりゅうとうが変じたとされる代物。そして、魔剣・邪極黒龍刀の本来の持ち主である降魔大元帥が長きに渡り探し求めていた〔魔界五剣まかいごけん〕の一つ。それさえ見つかれば、我が使命を果たしたのも同然と言うもの…。何度も言うが、その法水院闇烏をこっちに渡すのだ…。』

「冗談じゃない…。折角苦労して手に入れたお宝なんだ。そう易々と貴様に渡す様な馬鹿な真似はしないぜ…。」

『ならば致し方が無い…。何が何でも法水院闇烏を我が手にしてみせる…。』

すると、十六夜甚内は妖術を施して法水院闇烏を奪おうとしたが…太公望が咄嗟の機転で十六夜甚内の妖術を打ち消し、反撃を開始しようとしたその時…何処からか響き渡る唸り声が孫悟空の耳を轟かせていったのである。

『孫悟空よ…孫悟空よ…。我が声が聞こえるか…。』

「まさか…法水院闇烏が私に話しかけているのか。」

『そうだ…。孫悟空よ、今こそ我が力を解放させるのだ…。』

「しかし…。」

『何を戸惑っておるのだ…。このままでは、此処に居るそなたの仲間が十六夜甚内に全滅させられてしまうぞ…。さあ、あまり悩んでいる時間は無い。我が力を解放させ、あの十六夜甚内を討ち滅ぼすのだ…。』

「…分かった。」

そして孫悟空は、法水院闇烏に念を込めながら呪文を唱え…十六夜甚内との戦いに挑むのであった。

「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌…。悪を滅ぼせし聖剣・法水院闇烏よ…。今こそ此処に…新たなる正義の力を解放せよ。」

孫悟空が聖剣・法水院闇烏に新たなる力…覇王極炎剣はおうごくえんけんとして復活させ、十六夜甚内の攻撃に備えていったのである。

「こ、これが法水院闇烏の真の姿なのか…。」

『さぁ…孫悟空よ。思う存分暴れるがいい…。』

「ああ…。これさえあれば、如何なる妖怪が攻めて来ようと…何も恐れる者はこの世に存在しない。それが、天より与えられし試練なのだから…。」

それから孫悟空は、覇王極炎剣を片手に…十六夜甚内との対決を開始し、一進一退の攻防が続いたが…十六夜甚内も冥府十神の名誉を掛けてでも孫悟空を撃破せんとあらゆる手段で攻めようとしていた。

『そ、その剣は…。』

「ああ…。法水院闇烏に新たなる力を宿した神剣・覇王極炎剣だ…。」

『まさか、あの魔界五剣の一つである邪極黒龍刀が…。おのれ、よくも邪極黒龍刀をその様な愚かな剣に変えるとは…。こうなったら、此処に居る輩共を殲滅させるしかあるまい…。』

十六夜甚内は導満たちを殲滅させようと妖術を施して一気に攻めようとするが、孫悟空は覇王極炎剣で十六夜甚内の攻撃を阻止せんと…導満たちを守りながら獅子奮迅の如く立ち向かっていくのだった…。

『孫悟空よ、もはや貴様の命運は尽きた…。潔くその剣を大人しく渡すんだ。』

「残念だが、そう易々と渡す訳にはいかない…。早々に退散するんだな。」

『ならば、こちらとて本気で戦うしかあるまい…。』

両者一歩も譲らない激しい攻防が続く中で…孫悟空はある秘策で十六夜甚内に戦い挑もうとしていくが、果たして孫悟空は十六夜甚内に勝利する事が出来るのか…。






第五十幕に続く…。


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