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第十九幕 衝撃の結末、真実を見抜いた殺人事件の真犯人の正体

邪龍一族の首領・雑賀幻妖斎の登場で事態が一変し、緊迫した状況が続いた中で晴明たちは道中手形に隠された破壊神復活の暗号文が記されいる事を知るが、更に純金の簪にはもう一つの秘密を知る事になる。

それは、晴明たちが探し求めている七星宝剣しちせいほうけんの在処を示す鍵であると幻妖斎は晴明たちに告げるのであった。

しかし、それが事実かどうかは信用出来ないと晴明は疑うが…それでも幻妖斎は純金の簪に秘められた暗号文を解読すれば、真実が明らかになると告げるのである。

「純金の簪にそんな秘密があったなんて知らなかった…。」

「しかし、それが事実かどうかは信憑性に欠けるけどな…。」

『どうしても信じないとでも言うのなら、その簪に書かれている文字をよく読んでみろ…。』

早速晴明は、純金の簪に書かれている文字を読み…驚きの様子を隠せなかった。

「ま、まさかこんな文字が記されていたなんて…。」

その純金の簪には《龍神島りゅうじんじま》としか書かれておらず、それ以外の事は何も書かれていなかった。

「龍神島…何処かで聞いた名前だな。」

「確か、佐渡島から北北西に位置する離れ小島…。」

「噂では、太古の昔に暗躍した八俣大蛇やまたのおろちと言う妖怪を封印した伝説の島…。だが、龍神島と純金の簪に何の関係があると言うのだ。」

すると、雑賀幻妖斎から衝撃の事実を告げられる事になる。

『かつて龍神島には、伝説の七星宝剣が眠っていると言う言い伝えがある。その宝剣を護っていたのは…東方蒼龍とうほうそうりゅう〔又は東海龍王とうかいりゅうおうとも言う〕と名乗る四龍しりゅうの一人だ…。』

「東方蒼龍か…。」

「噂に違わぬ武術の達人であり、剣の腕前は超一流だと聞いています。」

「その東方蒼龍が護っていた七星宝剣が、何故八俣大蛇が封印されている龍神島にあるのですか。」

『それは分からぬ…。ただ、その七星宝剣が何時頃いつごろから存在していたのか謎に包まれていたとされている。』

「もしそれが事実なら、その龍神島へ行けば七星宝剣が見つかると言うのだな…。」

「晴明様、どうやら一つ目の神器じんぎの在処が見つかったようですね。」

「幻妖斎、どうして其処まで我々にその様な話をする…。」

すると幻妖斎は、過去に龍神島へ上陸して七星宝剣を手に入れようとしたが…それを守る武神像ぶじんぞうに阻まれ、結局七星宝剣を入手する事を断念したのだと言うのだった。

『晴明、お主…鞍馬山大僧正くらまやまだいそうじょう殿の事は存じておろうな。』

「ああ…。だが、何故大僧正様の事を知っている。」

『随分昔の話だ…。かつて鞍馬山を訪れた折りに…大僧正殿に命を救われた事があってな。それ以来、大僧正殿に恩義があるのだ。』

しばらくして、晴明は遠山村で起きた殺人事件の真相を幻妖斎に問い詰めていったが、幻妖斎は全く身に覚えが無いと身の潔白を証明してみせた。

「幻妖斎、一つだけ聞きたい事がある…。今から十日ほど前に、遠山村で起きた村長の娘が殺害された事件の事は知っているな。」

『ま、まさかこの幻妖斎を疑っていると言うのか。』

「そうではないが、現場に残された三つ首龍の根付けが遠山村近くの石灯籠にあったのを見つけたんだ。」

「それに、邪龍一族の署名が記されている犯行予告文も一緒に見つかった…。これがどう言う意味か分かるか…。」

『その根付けは確かに邪龍一族の物だ。しかし、何者かによって盗まれた事があって…それが誰の仕業なのか全く見当がつかないのだ。』

「間違いないんだな…。」

『この雑賀幻妖斎、天地神明てんちしんめいに誓って嘘など申さぬ…。』

「ならば、今度の事件の真犯人はいったい…。」

すると、正親は真犯人は別に居ると睨み…その実行犯が妖魔の仕業ではないかと推察するのであった。

「どうやら、この事件の背後には…妖魔の気配が関係しているのではと考えられる。けど、それが何者の犯行なのか特定するのは難しいだろうな…。」

「兄弟子、それだったら八卦羅針盤を使って犯人を探し出すと言うのはどうでしょうか…。」

晴明は八卦羅針盤で犯人を探すと言う方法でやってみてはどうかと正親に話すと、正親はその方法だったら見つかる可能性があるのではと晴明に全てを託していったのである。

「晴明、その方法だったら…今度の事件の真犯人が見つかると言うのだな。」

「はい…。ですが、その真犯人を探し出すには少々時間が掛かりますが…。」

「分かった…。」

早速晴明は、八卦羅針盤を使って事件の真犯人を探そうと…術を唱えながら右手で八卦羅針盤に五芒星を描いていくと、遂にその詳細が明らかになってきた。

「それで晴明、犯人が分かったのか…。」

「兄弟子、どうやら真犯人は…天竺屋藤兵衛でも、上総屋太左衛門でも…雑賀幻妖斎でもありません。」

「それじゃあ、いったい誰が真犯人なんだよ…。」

導満は誰が真犯人なのか…その真実を話して欲しいと晴明に詰め寄るが、しばらく沈黙が続く中で晴明は重い口をゆっくりと開き…真犯人の名前を告げるのであった。

「その犯人の名前は…闇の法術使い・蟆陀螺法師。」

「そ、そんな馬鹿な…。」

「あの時確か、奴を倒して撃退させた筈だぜ…。」

「だけど、その蟆陀螺法師はあの日以来姿を見せていないけど…何故今回の事件と蟆陀螺法師が関係しているのか詳しく説明して下さいませんか。」

すると晴明は、邪龍一族の手下との一戦を交えた時…ほんの僅か蟆陀螺法師と同じ障気を感じ、もしかしたらと思い慎重に八卦羅針盤で調べた結果…闇の法術使い・蟆陀螺法師である事が判明したのである。

「まさか、今度の事件の真犯人が蟆陀螺法師だったなんて正直信じられません…。」

「でも、奴がどの様にして今度の事件を引き起こしたのか…その詳細すら見当がつきません。」

「晴明様、何だか物凄く嫌な予感がしてならないのですが…。」

飛鳥は不安な表情を浮かべながら晴明に寄り添うが、晴明はそんな飛鳥を見てそっと両手を握りしめながら安心させていった。

「飛鳥どの、心配召される事はありません…。決して飛鳥どのを危険な目に遭わせる訳には参りませぬ。」

「晴明様がそうおっしゃってくれるだけで、飛鳥はすごく安心致しました…。」

「それで晴明殿、奴は今何処にいるのか…探し当てる事は出来ますか。」

太公望は蟆陀螺法師の居所いどころを探す事が出来るかどうかを晴明に聞いて見ると、蟆陀螺法師は既にこの近くまで来ていると言うのだった。

「蟆陀螺法師が、もう既に近くまで来ていると言うのか…。」

「はい。奴は恐らく…我々が来る前からこの神社付近に身を潜めているに違いありません。」

「もし、それが事実なら…相当ヤバい事が起きる予感がするぞ。」

「晴明殿、一刻も早く対処せねばなりませぬ。」

「晴明、蟆陀螺法師は神出鬼没の妖魔…。不意を突かれると酷い目に遇い兼ねないぞ。」

「分かっている…。過去にも奴と戦った時、苦戦を強いられた事があったけど…今度こそ奴を倒し、全てを終わらせてみせる。」

と、突然晴明たちの前に闇の法術使い・蟆陀螺法師が姿を現し…これまでにない緊張感が針積めていったのである。

『久しぶりたな、安倍晴明…。』

「蟆陀螺法師、やはりこんなところに現れるとはな…。だが、まさか貴様が今度の事件の真犯人だとは思わなかったぜ。」

『ふっ、さすがは安倍晴明…そこまで見抜いていたとは予想だにしていなかったが、これ以上我等われらの邪魔をすると命は無いぞ…。』

「事件の真相が明らかになったからには、この場にて成敗せねばならぬ…。」

「事件の被害者である遠山村の村長の娘を殺害し、また此処に居る罪の無い三人をも罪を被せ…あたかも容疑者に仕立て上げたる所業しょぎょう断じてゆるがたし…。」

「蟆陀螺法師、今度こそお前を逃がしはしない…。」

『逃がしはしないだと…。馬鹿め、この蟆陀螺法師がそう簡単には引き下がるとでも思ったか…。貴様たちには気の毒だが、我が妖術を以てあの世へ行ってもらう事にしようぞ。』

「一度ならず二度までも…我々の行く手を阻む不貞のやからめ、悪事千里を走ると言うことわざの通り…貴様の悪行あくぎょうは既に四方八方しほうはっぽうに知れ渡っているんだ。もはや貴様に救いの余地は無い…。潔く天の裁きを受けるがいい…。」

再び決戦の日を迎えた蟆陀螺法師との対決…。

晴明たちは一斉に攻撃を仕掛けながら一進一退の攻防が続くなか、突如蟆陀螺法師が印を結びながら妖術を唱えていった…。

婆羅門妖術ばらもんようじゅつ雷撃暫空覇らいげきざんくうは…。』

蟆陀螺法師の放った婆羅門妖術・雷撃暫空覇が晴明たちを直撃し、ほぼ壊滅的状態に追い込まれてしまったのである。

「な、なんて凄まじい力なんだ…。」

「蟆陀螺法師め、いつの間にあんな魔力を蓄えていたんだ…。」

「晴明様、このままでは全滅してしまいます。」

「こうなったら、俺が奴を倒す…。」

「数馬殿、そなた一人で倒すなんて無茶だ…。」

「数馬殿が行かれるのであれば、この兵馬も蟆陀螺法師を倒す事を助太刀致し申す…。」

「兵馬殿まで何を申されるのか…。その様な事をなされば、蟆陀螺法師に殺されてしまうぞ…。」

「晴明殿、せっかくのお心遣い感謝致します。ですが、これ以上晴明殿を傷付ける訳には参りません。」

「それに、皆さんを蟆陀螺法師からお守りするのが我々の役目と考えております。ですので、ここは一つ我々二人にお任せ下さいませんか…。」

数馬と兵馬の二人は、晴明たちを守る為に自ら身を呈して蟆陀螺法師を命懸けで戦うと宣言し…その言葉を聞いた晴明は納得した様子で数馬と兵馬を蟆陀螺法師との決戦を見守る事にしたのだった。

「数馬殿、兵馬殿…。そたた達の熱意、しかと聞き届けた…。思う存分戦われるがよかろうぞ。」

「晴明、いいのか…。」

「導満…あの二人は命懸けで我々を守ろうとしているんだ。だから、決して手出しはするんじゃないぞ。」

「晴明がそこまで言うのなら、俺は手出ししないけど…相手が蟆陀螺法師だから相当苦戦するのは目に見えているぞ。」

「導満様、晴明様の申される通り…あのお二方は決死の覚悟で晴明様をお守りしようとしているのです。」

「晴明だって本当はこんな事をしたくなかった筈だぞ。その気持ちをグッと堪えてまで決断を下した晴明の心の内が分からないのか…。」

わたくしも正親様に同感です。晴明様が仲間を想う気持ちが此処まで伝わって来るのが分からないなんて…。でも、導満様もきっと長年親友同志として連れ添った晴明様の気持ちを分かって下さると信じています…。」

「そうだよな…。あいつの気持ちが分からないなんて正直どうかしていたぜ。晴明が仲間を想う気持ちが犇々(ひしひし)と伝わって来るのが分かってきた様な気がしてきたぜ…。」

「導満、やっと晴明の気持ちが分かってきた様だな…。」

「正親様、晴明がこれ程までに苦しんでいた事など…今日の今日まで知りませんでした。ですが、晴明は元来優しい心の持ち主…。決して不正を許さない正義の心を持ち続けるのがあいつの心情ですから…。」

「導満、お前って奴はそこまで俺の事を思っていたんだな…。」

「そりゃそうだろ…。俺にとって大事な親友でもあるんだからな…。」

「その言葉を聞いて、何だか心のモヤモヤが一気に解消された気分だぜ…。」

「そうと決まれば、あの二人を死なせる訳にはいかないな…。晴明、導満、お前たち二人で数馬と兵馬の二人を命懸けで守ってやれ…。」

『はい…。』

「正親様、我々も援護するのを手伝わせて下さい。」

「私からもお願いします…。」

「正親殿、この太公望も蟆陀螺法師討伐に協力させて下さいませんか…。」

「…分かった。俺たちは絆で結ばれた仲間だもんな…。こうなったら、俺たちの力を思う存分発揮して蟆陀螺法師を撃破するぞ。」

そして遂に、晴明たち八人は蟆陀螺法師との最終決戦の日を迎えようとしていた…。

八人の絆が一つに繋がった時こそ、これまでに無かった晴明たちに秘められた奇跡の力が発揮されようとは…この時誰も予想だにしていなかったのである。

「蟆陀螺法師、俺たち八人の力を…今ここで見せてやる。」

『まだ懲りていない様だな…。あれだけの攻撃を受けてもまだこの蟆陀螺法師に楯突くと申すのか…。ならば、もう一度妖術を施して貴様たちを地獄に叩き落としてやる。』

緊迫した状況の中、遂に本気モードに突入した蟆陀螺法師は…晴明たちを窮地に追い込もうとするが、果たして晴明たちの運命や如何に…。







第二十幕に続く…。


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